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予想外?

笑っている俺達を不思議そうに見ているカナサリ。

「あら、仲直りしたのね?良かったわ」

おばさんがニコニコしながら言う。

「で、二人はお付き合いする事になったのかしら?」


ガタン!


遥がずっこけている。

相変わらずリアクション大魔王だなお前も。


「なななななななななな…!!」

真っ赤になりながら口をパクパクさせる遥。

お前…それ思いっきり肯定してるのと一緒だぞ。

「あら、図星?それは良かったわ!

 ね、ショウくん」

ウインクするおばさん。

「はあ、まあ…」

他になんと答えればイイやら…

「ちょっと待ってよ!なにそれ!!」

突然沙里が叫ぶ。

「わっ!いきなり大声出さないでよ〜?」

びっくりした香奈が文句を言う。

「なんで!芳野さんの事はどうするの!?」

沙里がキッと遥を睨みながら叫ぶ。

俺達は呆気に取られていたが、まず我に返ったのはおばさんだった。

「沙里、何を言い出すの?あなたには関係無いでしょう?」

少し強い口調で言うおばさん。

「だって!それじゃ二股じゃない!そんなの不潔よ!」

「沙里!そんな言葉どこで覚えたの!いい加減にしなさい!」

おばさんが本気で怒る。

「この間、ハル姉だってママだって、ショウ兄ちゃんの事忘れてたくせに!」

「あ、あたしも忘れてた〜♪」

のほほんと言う香奈。

「香奈は黙ってて!!」叫ぶ沙里。

「ふえ…!」沙里に怒られて半泣きになる香奈。

「どうしたって言うの、沙里!お姉ちゃんも怒るわよ!」

遥が強い調子で叱る。が、沙里は止まらなかった。

「バカ姉!ショウ兄ちゃんの事忘れて芳野さんとイチャイチャしてたくせに!

 私はそんなの認めないんだから!ショウ兄ちゃんの事を一番好きなのは私だもん!!」

最後は涙声になっていた。


「!何ですって…!」

おばさんが驚いている。

「沙里、あなた…」

遥も絶句してしまった。

「なに?なんなのぉ?」

半泣きの香奈は意味が解らず戸惑っている。

俺は…

「沙里、あのな…」

「ショウ兄ちゃんにとっては私は妹みたいなモノなのは解ってるもん!

 だけど、昔から私はショウ兄ちゃんの事が好きだったんだから!

 ハル姉みたいに、ショウ兄ちゃんの事が好きなのに

 他の人と付き合ったりなんてしないもん!!」

はあはあと肩で息をしている沙里。

病室にしばらく静寂が訪れた。

「ハル姉のバカぁっ!!」

沙里が叫びざまに病室を飛び出す。

「あっ!沙里!待ちなさい!!」

おばさんと香奈が沙里を追って飛び出した。

後に残った俺と遥は気まずい空気に包まれてしまった。

「なあ、遥、沙里の気持ちは気付かなかったのか?」

「…ええ、ショウの事を好きなのは解ってたけど、まさかあんなに本気なんて思わなかった…」

俯いて答える遥。

「…まあ、単なる憧れみたいなモノだと思うけどな」

「うん…でも、最近の小学生高学年は結構進んでるみたいだから…

 私達の頃みたいに、男女でいがみ合ってるなんて事は無いし、

 カナサリのクラスでも彼氏彼女みたいな付き合いしてる子もいるらしいし…」

う〜むと唸って黙る俺達。

「まあ、気を揉んでても仕方無いさ。おばさんにフォローしてもらおう」

「…そうね」

遥が頷いた時、誰かがドアをノックした。


「はい、どうぞ」

俺が答えると、「ショウくん、入るね」と亜由美の声がして、

亜由美を先頭に、まどかさんと俺を殴った男性が現れた。

「ねえ、遥ちゃんのおばさんが泣いている沙里ちゃんを

 ロビーで抱っこしてたけど、 何か有ったの?」

開口一番、亜由美が不思議そうに聞いてくる。

ほっ、なんとか沙里は保護されたか…

「ああ、ちょっとね。まあ大したことじゃないから気にするなよ」

俺が答える。

「ふ〜ん…あ、パパ!もっとこっちに来て、早くショウくんに謝ってよ!」

亜由美に怒られて、中年男性が俺の傍にやってきた。

「…あー、…昨晩は、あー、私の勘違いで、あー、済まない事をした。あー…」


…なんか、謝られてる気がしないんですけど…


「パパ!いい加減にして!全然心が篭ってないじゃない!」

亜由美が鬼の様な形相で怒る。

と、またもノックが聞えた。

「…どうぞ」

俺の変わりに遥が答えると、ドアを開けて眼つきの鋭い男が二人入ってきた。

「あ、刑事さん…」

遥の親父さんが気まずそうに呟く。

「どうも、南さん。いやね、被害者の少年にちゃんとお詫びなさってるか気になったモノでね」

歳の若い方の刑事が親父さんを見ながら言う。

「あ、キミが被害者のショウくんか。俺は担当刑事の南雲だ。こちらは上司の近藤。よろしくな」

「あ、はい、こちらこそ」

二人の刑事は親父さんに向き直った。

「で、南さん、ちゃんとお詫びはしたんですか?

 さっき、警察署(うち)から出た時の感じじゃああんまり納得デキて無さそうでしたがね?」

黙って俯いている親父さん。

「そりゃまあ、半裸の愛娘を押し倒していた少年にお詫びってのも辛いでしょうが、

 実際の所勘違いなのは解ったんだし、何よりも凶器で大怪我させてるんだからねぇ」

若い刑事が親父さんに鋭い目を向けながら肩を叩く。

「ショウくん、南さんはちゃんとお詫びしてくれたかい?」

突然、近藤と言う年配の刑事が俺に聞いてきた。


正直、まともなお詫びをしてもらったとは言い難いけどな…

でも、亜由美の親父さんだし、なんとなく気持ちは解るしな…


「はい、きちんとお詫びしてもらいましたから大丈夫ですよ」

俺の言葉に親父さんが驚いた様に顔を上げた。

「…そうかね、なら良いんだが。

 所で、今回の件で南さんを告訴する気が有るかね?

 有るのなら然るべき手続きを取らねばならんのだが」

上目遣いに俺を見ながら近藤刑事が聞いてくる。

亜由美と親父さんとまどかさんが息を呑み、はっとしている。

「いいえ、そんな事は考えていませんので無用です」

俺がはっきりと答えると、三人がほっとした様に息を吐いた。


「…そうかね。それでは問題無いな。じゃあ、我々はこれで失礼するが、

 もし何か相談とか有るようなら電話をくれたまえ」

そういうと近藤刑事は俺に名刺を渡し、南雲刑事と共に帰っていった。




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