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衝撃!?

午前七時、朝食の配膳が始まる。

俺の所にも看護婦さんが食事の乗ったトレイを届けてくれた。


そう、俺は今病院に要る。

左手にはヒビが入り、右足は酷い打撲で歩けない。

「ショウくん、一人でごはん食べられる?」

看護婦さんが優しく聞いてくれる。

「はい、大丈夫です」

どうせ、食欲なんか無いしな…


なんでこんなことになっちまったのか、

もう一度昨晩の出来事を整理してみる。

あれは、俺の迂闊な一言から始まったんだっけ…


「いやマジで!ホント、俺がお前に吊り合える位の男だったら

 絶対求婚(プロポーズ)しちまうけどな」

亜由美の作ってくれた食事の美味さに興奮した俺は、

最大級の賛辞の積りで亜由美にそんな言葉を言った。

その時、お茶を入れていた亜由美の手がピタ、と止まった。

「…ホント?」

俺はお茶を啜りながらのほほんと言う。

「ああ、ホントさ!だけど、残念ながら俺程度の男じゃ

 とてもお前の相手は務まらな」

「絶対に!ホントなのね!!」

俺の言葉を遮り大声を上げる亜由美。

思わず呆気に取られる俺。

「…どうしたんだ?亜由美。そんな大声出して」

亜由美の瞳から大粒の涙が零れだす。

「!おい、亜由美、どうしたんだ?何で泣いてるんだ?」

顔を掌で覆い、泣き出した亜由美。

俺はどうしようも出来ずおろおろするばかりだ。

「ショウくんって、残酷だよ…!」

な、何がだ!?意味が解らないぞ!

「だって、だって…!そうやってすぐにトボけて!

 私が、どれだけショウくんの事を好きなのか気付きもしないで!

 ずっと、ずっとショウくんの事好きだったんだよ!」

…ええ!?

「それって、小学校の頃だろ?」

「…気付いてたの?あの頃」

やべぇ!墓穴掘ったか?

まさか最近遥に聞いて知ったなんて言えないしな…

「さ、最近あの頃の友達から聞いたんだよ。お前が俺の事好きだったって」

「遥ちゃんから聞いたのね…」

三秒でバレた。なんてこった。


「ショウくんは嘘つきじゃないよね…」

真っ赤な目をした亜由美がすくっと立ち上がった。

「ねえ、さっき言ったよね。私をお嫁さんにしたいって」

ちょっと待てぇっ!!

「アレはだな、お前の料理が凄く美味かったから、いい嫁さんになるなって」

「ごまかさないでっ!だって、その後言ったじゃない!

 俺だったらプロポーズしちまうって…!」

普段はほんわかした雰囲気の亜由美が物凄ぇ恐い。

「だ、だからあれは、もし俺がお前に見合うほどの男だったらの話で」

「ショウくんは私なんかには勿体無い男の子だよ!

 だから、私をお嫁さんにしてよっ!嘘はつかないよね!?」

亜由美の目が完全に据わってやがる。

「ど、どうしたんだよ亜由美!なんかおかしいぞお前!」

「もうやだ。もうこんな気持ちでくよくよしてるのやだもんっ!」

亜由美がいきなり服を脱ぎ出した。


「でぇえっ!待て!亜由美!早まるな!!」

ブラウスを脱ぎ捨てる亜由美。可愛らしいピンクのブラがこんにちは。

…やっぱ、なかなか胸有るな亜由美。

って、そんな場合じゃねぇよ俺っ!!

俺が内面世界(インナーワールド)で右往左往している内に

無情にもスカートがハラリと床に落ち、ブラとおそろのピンクのショーツがこんにちは。

ウエストは細くていい感じにくびれている。お尻は大きめで安産型だな。

だああ!ヤベぇ俺!錯乱してるよ混乱してるよ!!


「亜由美ぃっ!!止めろってぇ!!」

手を後ろに廻し、ブラのホックを外そうとしている亜由美を止めようとして

亜由美に向かってダッシュを掛ける俺。

しかし、焦った俺は亜由美と俺の間に有るテーブルの存在を失念していた。


どがらっしゃああああああ!!


物凄い勢いでテーブルに蹴躓き、テーブルをひっくり返しながら宙を舞う俺。

スローモーションで近付いてくるのは、赤い目をしたびっくり顔の亜由美。

いや、逆だ。俺が亜由美に近付いて行ってる。

そう、空中をウルトラマ○の様に飛びながら。

俺の顔は亜由美の胸に飛び込んでいく。そのまま、亜由美を押し倒しながら床に転がる。

そこには、ふたつ折りにしてたたんで有る布団が有った。

勢い余って布団に突っ込む俺達。

またうまい具合に布団がざーっと滑りつつ床に広がった。


どざーーっ!!

「きゃああああ!!」

「痛ってぇええ!!」

スローモーションが終った時、俺は亜由美の胸に顔を押し付けながらぶっ倒れていた。

しかも、その勢いで亜由美のブラと胸の間に顔を挟むようにして、だ。


「何いまの凄い音!!どうしたのショウ!!」

ガチャガチャ!!バンッ!!

遥の声が聞えると同時にカギが開きドアも開き、遥が部屋に踊りこんできた!様だ。

なにぃっ!!と顔を上げようとした俺の頭には亜由美のブラが引っ掛かっており、

ガバッと頭を上げた瞬間にブラのホックががブチン!と音を立てて弾けた。

そして頭を上げ、ドアの方を向いた俺の目には唖然と立ち尽くす遥と見知らぬおっさんが映った。


「な、何やってんのよバカショウっ!!」

我に返った遥が鬼の様な表情で叫ぶ。

「お、落ちけつ遥!」俺が落ち着け。

「コレは不可抗力だ!ワケが有るんだ!!」

「ふざけんなぁっ!ブラ頭に被って何やってたのよ!!」

ハッと気付き、頭に手をやると亜由美の可愛らしいブラをしっかり被っている俺。

急いで外そうとするがどこかに引っ掛かっていて外れない!

「このガキぃっ!よくも亜由美の純潔をぉっ!!」

見知らぬおっさんが吼えながら俺に向かってくる。

なんだ、誰だ、どうしたってんだ!!

「止めてよパパっ!」

亜由美が叫ぶ。って、パパあっ!?

お父様でいらっしゃいますか。娘さんにはいつもお世話に…それどころじゃネエだろ俺っ!

良く見るとお父様の手にはマグライトのでかいのが握られている。

それ、警棒としても使われるんですがネ?

あっという間に距離を詰めて俺にマグライトを振り下ろすお父様。

あんなモノを頭に直撃食らったらマジ死ぬわ!

咄嗟に横にかわそうとする俺。その時、さっきテーブルでしこたま打ち付けた右足が

ズッキーンと痛みやがった。交わすのが遅れたぁっ!!

両手を上げ、頭を庇う俺。


ガッ!!


左腕に鈍い痛みと痺れが走り、ひっくり返る俺。

「痛っ!!」

俺の後ろにはショーツだけとなった亜由美が居た。

「貴様ぁっ!亜由美から離れろ!卑怯者っ!!」

「おじさん!ショウに何すんのよ!止めてよっ!!」

お父様を羽交い絞めにする遥。

「そうよパパのバカっ!!私はショウくんのお嫁さんになるんだからあっ!!」


…あっ。亜由美さん。貴女ね。もうね。火に油、って知ってる?



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