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迂闊?

バイトが終ったのは午後十時、今日は意外とヒマだったな。

DT50を飛ばして部屋に帰る。

亜由美、まだ居るかな?途中で弁当でも買っていこうかと思ったが、

亜由美がまだ居るのならどこかに食べに出ても良いかと思い

とりあえず何も買わずに帰る。弁当のお礼もしないとな。

アパートに着くと、俺の部屋に電気が点いている。

うん、まだ居るみたいだ。


「ただいま〜」

自分の部屋に入るのにただいま、なんて言うの違和感が有るな。

というか、なんか久し振りだな、こう言うの。

「お帰りなさい!」

ドアが開き、亜由美が嬉しそうに顔を出す。


結婚すると、こんな感じなのかな…


ふとそんな事を考えてかあっと顔が熱くなる。

いかんいかん、何考えてるんだ俺は!

「どうしたの?ショウくん。突然頭ぶんぶん振って?」

亜由美が不思議そうな顔をする。

「あ、なんでもない。気にしないでくれ」

慌てて答える俺。

って、何か部屋の中から凄くいい匂いがしてくるな。

「亜由美、メシ食ったか?」

「ううん、まだ」

「どっか、食べに行こうか?弁当のお礼に奢るよ」

突然亜由美がにこーっと笑う。

「えへへー、まあこっち来てよショウくん!」

俺の手を握り、部屋の中に引っ張る亜由美。

「な、なんだよ。どうした…って、うおおお!」

俺は部屋の中に入り、思わず歓声を上げてしまった。


部屋のテーブルの上には、美味そうな食事の支度が出来ていた!

鶏の唐揚げ、鳥のササミのサラダ、肉じゃが、ジャガイモとワカメの味噌汁…

俺の大好物ばっかじゃん!!

「これ、亜由美が作ったのか?」

「へへへー、そうでーす!ね、嬉しい?」

俺はマジ感動していた。

「ああ、凄く嬉しい。ありがとう亜由美!」

「うふふ、ちょうど出来た所だから熱々だよ!

 冷めない内に召し上がれ!」

俺と亜由美はテーブルに着き、「いただきます!」と叫んで食べ始めた。


「…んまい!!」

思わず叫ぶ俺。

「わあ、嬉しいな!どんどん食べてね!」

「もちろん!むぐむぐむぐ…」

夢中で食べる俺を嬉しそうに見詰める亜由美。

めちゃくちゃ腹が減ってたのもあり、俺はあっという間に三杯飯で

おかずをほとんど食べ尽くしてしまった。

「ご馳走様!あ〜、美味かったぁ」

いつの間にかお茶を淹れてくれている亜由美。

お茶を飲みながら、俺は心の底から、

「亜由美、お前本当に良い奥さんになれるなぁ。

 美人で、優しくて、料理が美味くて、良く気がつく。

 うん、最高のお嫁さんだ!」

と思い、何も考えずにそのまま言葉にした。

「え〜、それ褒めすぎだよ。お世辞でしょ?」

「いやマジで!ホント、俺がお前に吊り合える位の男だったら

 絶対求婚(プロポーズ)しちまうけどな」

思わず口をついて出た言葉に、まさか亜由美があんな反応をするとは。

俺は夢にも思わなかったとも。ああ。思わなかったさ……



ただ今午前六時。

なんで俺はこんな所で朝を迎えているんだろう…


ベッドの上に寝転んだ状態で、痛む左腕を動かしてみる。

包帯とギプスで固められた左腕がまともに動くようになるには

一ヶ月は掛かると言われてしまった。

しかし、それ以上に痛いのは泣きじゃくる遥に引っ叩かれた左頬と、

遥の言った言葉…「待ってたのに!!」


最悪だな、俺…

不可抗力とは言え、遥と亜由美。大切な二人の少女を泣かせてしまった…


親父、俺は現在(いま)、最低な男に成り下がっちまったよ…。


さて、どうした物だろうか、この事態。


あと二時間程でみんながやって来て事情聴取になるだろうな。


担任の浅井先生も来るし、由香里先生も来るらしいし…


なんかもう、死にたくなってきたよ…

いっそ、大地震でも起こってくれないかな…


はあ………




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