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パン屋は今日もお話を聞きます!

そろそろ題名が苦しくなってきたよ


カウンターを挟んで男に今しがた入れた趣向品を出す。

このジルキア産の豆にジルキア山脈のケーフ滝で採取した水を使ったコーヒーは人気が高い。豆の味を十分に引き出しつつも、そこに水のうま味を主張できる相性のよさがその秘訣だろう。。


「おう、ありがとよ」


男、レイヴが礼とともにカップに手をつけ、口へと運ぶ。やがて三十代も折り返しに入った男だが、こういった仕草には年相応でない年季を感じる。


「流石は、今や知る人ぞ知るカフェ・フジのマスターだな」


「それほど有名ではない」


「嘘をつけ」


実際、この時間帯に来店する人間は少ない。いや、多いのはあくまでリリーがいる時間帯に限る。


「それほど客は来ないのだがな」


「そりゃ、客足が増えるとお前がプレッシャーを出すからだろう」


出してはいない。と思う。


まぁ、人の多いのは余り、好かん。


「・・・そうか?」


「そうだ」


レイヴの顔に若干の呆れが見える。失礼な奴だ。


「・・・で、話とは何だ」


「逃げたか。んー、たいした話じゃないさ。ただの愚痴だ」


「愚痴を言う職場だったのか?人事部は楽だと言っていたように思うが」


「人事部はな」


レイヴは人事部―――アンサレス王国王都防衛隊人事部の部長という肩書きを持っている。


アンサレス王国にはいくつかの部隊・騎士団がある。


近衛隊、近衛竜騎士団、王都防衛隊本隊、並びに獣装騎兵団、王家から七公爵家に貸し出されているという形式の七聖騎士団、そして各貴族領地守備のための領守備兵隊。


このうち、王都防衛隊人事部が関与"出来ない〟人事権は近衛だけである。近衛隊、近衛竜騎士団は近衛人事部が管理している。


つまり、俺の目の前にいるこの男は、アンサレス王国の軍部の人事権を掌握しているということだ。

各領地の人事権はある程度領主に貸与しているし、七聖騎士団の人事権も公爵家と王家のシガラミで決まるとはいえ、中々に重要なポストだ。


だが本人は権力にさして興味が無いのか、私的人事は行わないと彼の部下から聞いている。一応このカフェで彼の部下が漏らした情報で、特に調べたわけではない。


仕事も部下に満遍なく分担し、その管理をしている程度の仕事で何が起きたか。



「王命をな、受けた」


「王命か」


王命とはそのまま、アンサレス国王からの直接命令だ。主に騎士団の団長の任命といった組織の長を決めるときに出されるらしい。

彼を人事部部長を任命したのも、また現王だ。


「それが愚痴か?」


「『人事部部長の任を解く。しかる後国軍総長の下命を待て』だと。めんどくさいことに成りそうだ」


「・・・なにか思い当たる節があるのか?」


「・・・ああ」


苦虫を噛み潰した様な顔でカップの残りを煽る。


らしくない、顔だ。




「替わりはいるか?」


「ん?奢りか?」





普段は倍額だろうと払わせるが、な。




「今日は特別だ」










~厨房にて~

「ううううう」

「ミーナちゃんがんばって!」

「めからなみだがぁ」

「あ、こすったら」

「ぴぎゃっい、いたひっ」

「だめだよミーナちゃん、たまねぎ切ってるときに目をこすっちゃ~」

「これもっ、しゅぎょうっ」




「・・・なるかなぁ?」




ミーナリア、罰ゲームちぅ

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