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今回の僕の脳から消えないだろうこの四日間はまとめたらどうなるんだろう?
空飛んでた宛に出会って、
仲成に出会って、
世界の中心に出会って、
イミメランに出会って、
甘噛、運河、カザカザに出会って、
ゾンビもどきに出会って、
言伝腐に出会って、
東土龍出会って、
出会いづくしだったんな。
それにしても世界とか壮大なだけに能力も皆十人十色でバラバラで、何よりチートだったなぁ。
出てきたキャラのキャッチフレーズ!!
人間離脱の表現生物『目野前現』!!
正しさの残飯、善の後遺症所有者『宛陽菜』!!
頑固で変態な生命兵器『韜鏖飌』!!
普通な力、当たり前な必然
ジャスト・スタイル
所有者のマイペース『甘噛瑠羅』!!
寂しがり屋で真面目な幽霊『運河流』!!
多重人格で創造魔法使いの空想人『イラメラ・ソノ・イミメラン』!!
悪の塊、悪の現在進行形所有者の小さく強大な女の子『東土龍』!!
…バラッバラ。
ジャンルが散らかり過ぎている。
いやもしかすると世界の中心の狙いはそれかもしれない。
あえてバラバラにすることで、集団に見せない目的。
あえてバラバラにすることで、全員が仲間だと気付かせない目的。
…全員…?
東土龍はどうなんだ?
東土龍は世界の中心によって作られた『もの』だったのか?
んま、とにかく。
言伝腐は消え去った。
やはり、東 土龍を倒せば全てが解決した。
「これでよし」
「ふむっ!ふぅあ!!くはぁ…包帯!!」
僕は動くことが出来ないので、山の中で応急処置をしてもらった。
僕は何度も言うように、治癒力が凄まじいとか、不死身とか、そういうことはないわけで、全治一週間といった感じである。
宛はギャグマンガよろしく、僕を包帯でぐるぐる巻きにした。息ができないレベルに。
く、苦しい…。
「はぁ、はぁ…おい、お前は治療という言葉を知らないのか?」
「知ってるわよ。血液がどれくらいあるかってことでしょ」
「血量じゃねぇよ!!」
まさかお前何か?血量と思ってこれやったのか!?拷問じゃねぇか!!!
「よ」
「ちょまってぎゃぁぁぁ!!」
青いバケツいっぱいに入れられた消毒液を頭からかけられた。
どこから持ってきたんだ!?そのバケツは!?
「つか逆だし!包帯巻く前だから!!あ、ちょっ目がァァァァァァァァァァ!!!!」
「さ、早く東ちゃんを殺そ」
「いたた…。え、やっぱ殺しちゃうのか?」
あれ?それよりも今東ぁ、なんていったんだっけ?
「手紙に書いてあったでしょ?これは予想だけど言伝腐が消えたのは一時的で、また再来とかがあるんじゃないの?」
「再来、ねぇ…」
やっぱ殺さなきゃいけないのかな。
子供だから躊躇した、のか、子供、というよりも人を殺すことに躊躇したのか。さぁ?
「仕方…無いのかな…?」
「まぁ、気が進まないのはそうなんだけどね」
「うん、じゃあ東 ど………んん??」
気が付くと、東土龍はいなかった。
「まさか…逃げたか!!」
「やばくない?それ」
「やばいよ!!探そう!!」
と言っていると、甘噛、運河、カザカザの三人が来た。
「もう、倒したんですか?東 土龍」
「あ、実はな…逃がしちまった…。黒いシルエットとか、断末魔とか…倒したと思ったんだけどな…」
「シルエット…断末魔…ああ、それなら心配ない。確実に死んでいるぞ」
「え、なんで」
「なんで、とは…儂もよく分かっていないのだ」
「じゃあ何で知ってるんだ?」
「手紙…」
「手紙?」
「手紙が届いたのだ。儂の自宅に…『東土龍を殺してください』と書かれた後、詳細の下に記述されていだのだ」
「あ、それな、らあっしも届い、たよ。でもあっしはメー、ルで届きまし、たよ~」
「メールで…?」
「ほい」
皆貰っているのか。僕達は誰から頂戴しているのだろうか?
そういえば僕には来てないよな…。
(´・ω・`)ショボン…
「では、今日はもう帰りましょう。後は世界の中心が何とかしてくれます」
もう薄暗く、夕日が落ちていた。何だろうねこういうの、少し感動する。
「ああ、そうだな」
「じゃああねぇ~」
「それでは!!」
甘噛とカザカザは山を降りた。
「私も、それでは、さようなら」
「じゃあな」
運河も帰る。
………ん?何か僕、忘れてないか?
「んじゃ、私も帰るわね」
「ちょっと待てぇぇぇいい!!!」
「うお!!びっくりした…何!?」
「僕の左腕、一緒に探してくだちゃい(ハート)」
「…こんの変態」
僕は動けないため宛さんに見つけてもらいました(笑)
ついでに送ってもらいました(笑)
全治一週間の大怪我をした僕は当然の如く学校を休むハメになる。
腕が生えるとかがないため、元々ある腕をテープか何かでベッタベタ貼り付けでなければならない。
皮膚がくっつくのはすぐ終わる。問題は中身だ。
神経がくっつくのが一番遅い。
あと体中の傷だって、酷いったらありゃしない。
自宅で寝込み状態である。
「変態ー。来たわよー」
ちょうど昼頃、宛が僕の家に来た。
インターホンくらい押してくれ…。
「どうせあなた、動けないから何も食べられないんでしょ。私が作ってあげるから待ってなさい」
宛が張り切って台所へ向かった。
「あれ、ちょっと待てよ。その包帯、どうしたんだ?」
宛の右腕は包帯に巻かれていた。
「これは、昨日の東土龍にやられたのよ。骨折」
「あの時宛には効いてなかっただろ」
「そんなものハッタリよ。いい?確かに『悪』は『善』に勝てないけれど、余裕で善が勝利できるのとはちょっと違うのよ」
―『善』を生き物に例えるのならば、『善』は最底辺の生き物なの―
そう宛は言って台所に言ってしまった。
あの時宛はダメージを受けていたんだな。
すげぇぜ。宛。
本当に逃げる時たまたま見つけたのかな。
本当は僕が心配で助けに来てくれたんじゃないのかな?
…そんなわけないか。
でも、
最初、僕が宛に出会った時、ぶん殴られたんだよな。
四日前だっていうのに何だか懐かしい感じかするな。
少しくらい距離は縮まったのかな。
「できたわよ」
早い!!まだ五分も経ってねぇぞ!
出てきたのはお粥だった。
真っ白いお粥。
…別に僕、風邪をこじらせているわけじゃないんだけど。
「はい、あーん」
おお、何かいいじゃないか、男のロマンじゃないか。
「あーん」
僕は口を開けた。
頬にスプーンを付けられるお約束はなかった。少し安心。
やりかねないからな。宛だと。
「ん…ええと。これ、お粥?」
「お粥だけど」
「味…しないんだけど」
厳密に言うと米の味しかしない。
水分も少なめだし……。
ベタベタだし。
……まさか……。
宛の手には潰れた米がへばりついためん棒が握られていた。
「潰しただけだろ。これ」
「そうだけど」
認めた!?
「お粥じゃねぇじゃねえか!!そうだよな!味しないよな!潰しただけなんだから!!中途半端なおはぎみたいな状態なんだから!!」
「せっかく女子が作ってくれたものなんだから、笑顔で食べなさいよ。というかそれがお粥でしょ」
まさか…知らないのか…お粥の作り方…?
僕も知らないけど。
少なくともめん棒でペッタンペッタンする料理じゃないと思う。
「宛、じゃあ質問だ。野菜炒めはどうやって作る?」
「野菜を切って焼く」
「…」
「…」
え!?終わり!?
「あの…他に無いんですか?えっと…塩コショウとか…」
「塩コショウ?ああ、あんなものを入れるんだ」
「え、ちょっと…しょっぱかったりするだろ?」
「え!?あのしょっぱいのは焦げの味じゃないの!?」
「え!?あのしょっぱいのは焦げの味じゃねぇよ!?」
家庭科で何を学んできたんだよ!?
こいつ…料理の見た目から逆算してやがる…。
料理苦手キャラはライトノベルとかで見てきたが、料理を根本から間違ってる奴は初めて見たぞ。
あと野菜は焼かないからな。炒めるんだからな。
「ちなみにどれくらい焼くつもりなんだ?」
「えっと…野菜がよれっよれのしわっしわのべちゃっべちゃになるまでじっくりと」
「不味そうな表現で言うんじゃねぇよ!!」
それに焦げるよ!!
「とにかく食べなさいよ。お粥もどき」
「今もどきっつったろ!!」
「ほら!」
皿ごと放り込まれた。
口が火傷したのは言うまでもない。
一週間が経った。
それまで毎日宛に“料理もどき”を食べさせられたので、一体料理とは何なのかを忘れてしまった…。
というわけで昼休み、購買へ向かう。
人が凄い…。少しなめていた…。
つか男子しかいないのは何故だ?
「お、現!!ちょっと手伝ってくれ!!」
人ごみの中にいたのは仲成だった。
そういえば、こいつは言伝腐襲来のとき、避難者を誘導してたんだよな。
なかなかいいやつじゃないか。
「何を?」
「言わなくても分かってるだろ!!買うんだよ!!!」
僕も買うつもりだったので、断る理由はない。それに。
「買えたらアンパン譲ってやるから」
「よし」
アンパンは大好物だ。
「とりあえず現はそこで待っていろ!!俺が買ったらそれをパスする!それを受け止めてくれ!!!」
「分かった!!」
「スクラッチャァァァァァァァァァ!!!!」
仲成は意味不明な雄叫びをあげて人々の中に更に突っ込んでいく。
数分経つと、仲成が見えた。
「現パァァァァス!!」
仲成はビニール袋を投げた。
「おっとっと」
僕はそれを腕で包み込むようにキャッチする。
ん?これ、パンか…?
パンにしてはどうにも不自然な感触なんだが。
僕はビニール袋の中を覗いた。
エロ本だった。
「おお、助かった、サンキューな!!」
「おま…これ…購買じゃ…」
「ねぇよ」
ここ購買じゃないの!?エロ本店!?
どうして男子しかいなかったのかが頷けた。
ていうか学校に不健全な店置いてんじゃねぇよ!!!!売れるかもしれないけど!!
よくよく考えたら、仲成はパンをくれるとは言ったが、パンを買っているとは言ってない。
「助かったぜホント。これ、アンパンな」
そう言って僕にアンパンを二十個ほど…。
「多い!!」
流石に食べられねぇよ!つかどうやってそんなにポケットに入れてたんだよ。物理学と数学が心配になるわ!!
それでもお礼はしないとな。
「ありが…」
「おう!礼には及ばん!!」
礼、まだ言ってないんだけど。
パンもゲットしたことだし、僕は教室に向かった。
「おお、めのまん一週間ぶ、りー。どう、した、の?」
「東土龍にめたうちにされちゃってな」
「んー?誰それ?」
…は?
「いや、今回の敵だった…あの…悪から出来た…」
「そん、な人いたー?あっしは知ら、ないよ。どうしたんですかー?中二病で、もこじらし、ちゃいまし、た?」
どういうことだ?記憶を失っている…というよりはその事自体を知らないような…。
「カザカザ!」
「ぬ、大きな声を出すな…」
僕はカザカザに少し怒られつつも、問う。
「い、一週間前、東土龍を覚えているよな!?」
「一週間前…はて、なんのことやら…あ、運河殿…」
やっぱり…覚えていない…?
僕のいない一週間に何があったんだ?
それに、運河だって?
そういえばいない。
「そういえば運河は?」
「あ、そっか。いな、かったか、ら知らないんだ、よね。転校し、ちゃったんですよ」
「転校!?」
「そうだ…一週間前、忽然と…」
東土龍を倒した後、運河はこんなことを言っていた。
「では、今日はもう帰りましょう。後は世界の中心が何とかしてくれます」
世界の中心が何とかしてくれる。
恐らく恐ろしい事に、あの殺戮が元から起こらなかったようにしたらしい。
世界が最も恐れている事、それは『異状』
普通と異なる状態。
世界はそれに対抗出来ないから、僕らを作り出した。
対抗できるのは『異状』ではなく『異常』
状態そのものが変わってしまうと世界は対抗出来ないのだ。
状態が変わるとは、今回の場合は、“東土龍と伝説の生き物との関係”で、異常とは、今回の場合は、“建物が壊れる”事だったのだろう。
人の記憶は、僕達に『変なもの』を植え付けた奴だ。記憶を操るなんてたやすいのだろうな。
つまり甘噛、カザカザは…。
用済み。
ということなのだろうか?
「…分かった。変なことを言って悪かったな」
僕はそのまま考えにふけてしまった。
次回で終わります。




