表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
堕天【 FREEDOM’S CROWN 】 ~生きる為、怪物と契約した男~  作者: イチジク浣腸
聖桜教団編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

54/68

おいおい、冗談だろ

 青白い燐光が、死に体となった特区を不気味に照らし出す。 廃ビルを紙細工のように押し潰し、災厄の化身——プルートがその巨躯を現した。 全身を包む黒漆の甲殻は溶岩のごとく脈動し、背中の隙間からは、致死量の核エネルギーが青光となって溢れ出している。

 高層ビルを上回る体躯のそれは、人類の知恵が及ばぬ終焉の象徴そのものだった。


「……マジかよ」


 ヒカリの乾いた呟きが虚空に消える。 一方、牛島は微塵の動揺も見せず、その本質を冷徹に見抜いていた。


「おそらく、体内で核反応を制御しているな……。クラウンの中でも、原子力を司る個体か?面白い、コレを待っていた。」


 プルートが、眼下の羽虫を見下ろす。 その瞳に知性はなく、あるのはただ、純粋で根源的な破壊衝動のみ。


「ヒカリ」

 牛島が、静かに名を呼んだ。 彼は腰の短刀を無造作に引き抜く。


  「湧き出る周囲の雑魚を掃除してこい。この巨獣おもちゃは——俺が相手をする」


「はぁ!? 牛島さんよぉ、正気かよ! こんな化け物相手に……しかも、そんな短刀一本でどうしろってんだ!」


「黙って見ていろ」


 牛島は、薄く冷たい笑みを浮かべた。


「これ以上ない、最高の教材だ」


 短刀を逆手に構え、牛島は悠然と歩みを進める。 高層ビルを上回る災厄を前にして、その足取りには恐怖の欠片も、焦燥の塵すらも存在しなかった。


 プルートが天を仰ぎ、大気を震わせる咆哮を上げる。 次の瞬間、その顎から青白い熱線が放たれた。 直径十メートルに及ぶ破壊の奔流が、空間そのものを焼き、抉る。


「牛島!」


 ヒカリの絶叫も虚しく、光の柱は牛島がいた場所を無慈悲に飲み込んだ。 凄まじい轟音。 街の一画が瞬時に消滅し、地面は溶岩へと変じ、周囲のビル群は蒸発して霧散した。 特区全体を、濃厚な爆煙が覆い尽くす。


「……牛島さん……マジかよ、あんた」


 ヒカリが、吐き捨てるように呆然と呟く。

 大言壮語とはまさにこの事か。

 あんな馬鹿げた熱線をまともに食らって。


 プルートもまた、己の力に陶酔するように勝利の咆哮を上げた。


  だが——。


 風が吹き、爆煙がゆっくりと、だが確実に晴れていく。 その中心に現れた光景に、その場にいた全ての息が止まった。


 そこには、巨大な氷の王座に腰掛けた牛島の姿があった。


「……は?」

 ヒカリが、我が目を疑う。


 牛島は、無傷だった。 それどころか、彼は優雅に氷の椅子に深く座り、片手で頬杖をついている。 もう片方の手には、変わらず短刀が握られたまま。 それはまさに、玉座に君臨し、跪く臣下を見下ろす王の姿そのものだった。


 周囲には、水晶のごとく透明な氷の壁が、幾重にも張り巡らされている。 あれほどの熱線の痕跡すら、そこには残っていない。


「ほら」


 牛島が、不遜にプルートを見上げる。


「次は、どんな芸を見せてくれるんだ?早く見せろ...授業にならんだろ?」


 その声には、底知れぬ余裕があった。 いや、余裕などという言葉では足りない。 彼は楽しんでいた。 手に入れたばかりの玩具を慈しむ、子供のように。


「牛島さん……あんた、本気かよ……」


 ヒカリは言葉を失い、冷や汗を流しながらその背中を凝視した。


(こいつ……遊んでやがる。あんな、悪夢に出てくるようなバケモノを相手に……。完全に、ただの玩具おもちゃみたいに弄んでやがるんだ)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
#異能バトル #グロ描写 #ダークファンタジー #現代ファンタジー #サスペンス #群像劇 #裏社会 #犠牲 #ヒーロー #アクション #グロ描写 #男主人公#サイコスリラー #宗教描写 #ローファンタジー #怪物#チート #国家 #戦争
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ