初任務
「今日が君たちの初任務だ」
碇さんが俺とヒルメの前で資料を広げる。
「渋谷区で新しい神の目撃情報があった。正体不明だが、既に二件の被害が出ている」
被害?
「どんな被害だよ?」
「目撃者によると、人が踏み潰されたらしい。蹄のような痕が残っていた」
蹄?
「草食系の神か...個体によっては厄介ね。」
ヒルメが眉をひそめる。
「だからバディで行動してもらう。お互いをカバーし合え。」
碇さんが俺たちを見据える。
「ヒカリ、君は実戦経験が少ない。ヒルメの指示に従うんだ」
「へぇ〜い」
俺は気が乗らねーんで、やる気のない返事をした。
碇さんの目が一瞬こっちを向く。
その瞬間、背筋が凍った。
あの食堂での圧力を思い出す。あの無言の、でも確実に「お前、調子乗んなよ」って言ってる雰囲気、なんであんな雰囲気になったかは分かんねぇけど。あれはトラウマ?ってヤツだ。
「わ、分かりました」
胸の奥を冷たい手で掴まれたように、反射的に背筋を伸ばした。
恐怖が形を整えさせていた。
ヒルメは口元に薄い笑みを貼りつけたまま、じっと俺を眺めていた。
「あら、ずいぶん素直じゃない。」
「あぁ?っせぇなぁ!お前に関係ねぇだろ」
吐き捨てるように小声で返すと、彼女の笑みがすっと消える。
「――ヒカリ」
名を呼ぶ声音は低く、視線は刃のように鋭かった。
「私の命も懸かってるの。ふざけた態度は止めなさい」
「...はいはい、分かったっての」
「現場は渋谷センター街。正午に出発だ」
────
装備を受け取って、俺たちは現場に向かった。
車の中で、ヒルメが俺に説明してくれる。
「ねえ、ヒカリ。あなた、クラウンについてどのくらい知ってるの?」
「えーっと…名前を名乗る化け物?それくらいだろ、知らねぇよ別に」
「はあ…」
ヒルメがため息をつく。
「基本的なことから教えてあげるわ。クラウンっていうのは、あらゆる存在の恐怖や畏怖、信仰等から生まれる存在よ」
恐怖から生まれる?
「人間が火を恐れれば火の神が、死を恐れれば死の神が生まれる。でもそれだけじゃない」
ヒルメが窓の外を見る。
「野生動物が捕食者を恐れる感情、植物が枯死を忌避する本能、昆虫が天敵に抱く畏怖。あらゆる生命体の根源的な恐れが積み重なって、神という存在になるの」
「はぁ〜、マジで?なんかめんどくせぇな」
「海の生物が深海の暗闇を恐れれば深淵の神が、鳥類が嵐を忌避すれば風の神が誕生する。この世界に存在するあらゆる恐怖の数だけ、神は生まれうるのよ」
「じゃあ、めちゃくちゃ、ガッツリ、うじゃうじゃ、いるじゃん。やべぇな。」
「そうよ。世界中に無数に存在してる。日本だけでも数千体ぐらいは確認されてるわ」
数千体?マジかよ。
「でも全部が危険ってわけじゃないの。人間に友好的な神もいるし、ただ存在してるだけで害のない神もいる」
「ふーん。で、今から戦うのは?」
「草食系の神よ。馬みたいな姿をしてるって報告されてる。圧倒的な速度と踏み潰す力を持ってるらしいわ」
「えー、やべぇじゃん。速いのは嫌なんだよな。」
「スピードが武器だから、動きを封じないと厄介よ」
「でも弱点もあるのよ。鏡を使えば、直接見なくても位置が分かる。」
ヒルメが手鏡を取り出す。
「へぇ〜、天才だな。準備いいじゃん。」
「当たり前よ。私は賢いのよ‼︎」
(この子たち、本当に大丈夫か?)
ルシファーは額に手を当て、心配と呆れがないまぜになった吐息をこぼした。
─────
渋谷駅に着くと、現場は既に封鎖されていた。
警察官が一般人を遠ざけてる。その中に見覚えのある顔があった。
リリスさんだ。
「お疲れ様です!」
俺は駆け寄る。
「ヒカリ君、来たのね」
リリスさんが微笑む。
「現場の状況はどうですか?」
ヒルメが聞く。
「センター街の奥で目撃されてるわ。クラウンに踏み潰された被害者は五名よ。」
五名?さっきは二名だったのに。
「やべぇな、急いだ方がいいな」
「そうね。でも無理と油断は禁物よ」
リリスさんが優しく俺の頭を撫でてくれる。
はぁわぁぁ。現場でも女神に頭撫でられるなんて。
勝利は確定だな。
「ヒカリ、集中しなさい」
ヒルメが呆れ顔で言う。
───
センター街は人がいなくて不気味だった。
普段なら若者で賑わってるはずなのに、今はシーンとしてる。
「あそこよ」
ヒルメが指差す。
奥の方で、何かが動いてた。
巨大な影。四本足で、たてがみが風になびいている。
「あれが…馬?の神か?でけぇな」
「...えぇ、そうよ。」
近づいたら、ハッキリ見えた。
黒い馬――いや、もう馬なんかじゃねぇ。悪魔だ。
全身ゴツゴツの筋肉で、目は真っ赤にギラついて、蹄は鉄の塊みてぇに重そうだった。
その馬が、口を開いた。
『我が名はアドラメレク』
喋った。馬が喋った‼︎馬も喋るんだな。
『貴様らもまた、この蹄の下に散るがいい』
「はぁ、お前も喋んのかよ。...アドラメレクっていうのか。へっ、ダセェな。テメェの名前なんざ、『馬』で充分じゃねえか。」
「油断しないで。あの蹄に踏まれたらきっと即死よ」
ヒルメが警告する。
その時、アドラメレクがこっちを向いた。
鼻息が荒い。まるで獲物を見つけた獣のように。
「あぁーあ、煽るから。怒っちゃったじゃない。」
「あー、マジか。逃げんの?」
「とんでもねぇ、待ってたの。」
ヒルメが剣を抜く。
その目は、戦いを楽しんでるみたいだった。
でもクラウンの方が速い。あっという間に距離を詰められる。
いや、速すぎる。馬の速度じゃない。
ドドドドド!
蹄の音が地面を揺らす。アドラメレクが突進してくる。
「もうダメね。仕方ないね。ごめんね。殺すしかない。」
ヒルメは目をぎらつかせ、腰の鞘に手をかけて剣を引き抜いた。金属が擦れる音が、耳の中でいやに大きく響く。
体が固まり、心臓が喉元まで上がり、息をするのを忘れた。
(天叢雲剣⁈)
見た目は普通のカタナだ。でも刀身が青く光ってる。訓練で何回か見たけど、光ってる姿と実戦で使うのを見るのは初めてだ。
ヒルメが剣を振ると、空中に水が現れた。
水が渦を巻いて、アドラメレクに向かって飛んでいく。
「おー、すげぇじゃん」
やっぱり実戦だと迫力が違うな。
でもアドラメレクは水を避ける。素早い動きで左右に跳ね回る。
「しつこいわね」
ヒルメがまた剣を振る。今度は地面から水柱が立ち上がった。 馬面野郎が水柱に当たって、よろめく。 でもすぐに立ち直る。そして、嘶く。 その声が、非常にうるさく。耳が痛い。
「音波攻撃か!」
ヒルメが耳を押さえる。
俺も耳を塞ぐけど、音が頭に響く。
「あっ、私の...」
衝撃でヒルメの手鏡が割れてガラス片が散らばった。
「そんなっ...あっ!今よ、ヒカリ!」
「あーなるほど、マジか。分かったよ」
手鏡のガラス片を掴み、首筋に押し当てる。
鋭い切り傷から赤い血が滴り落ちた瞬間、全身を炎が包み込む。
熱と光に体が震え、周囲の空気が焼ける匂いを放つ。
轟くような音と共に、俺は変わる――形も、力も、存在そのものさえ。
炎の中で、俺はもう一つの仮面を纏った。
『...その姿は、ただ哀れであった。
背に黒き翼を持つ。けれどもそれは燃え残りの煤にすぎず、羽根はばらばらに剥がれ落ち、地に散らばっては腐ってゆく。
額には光の角が立ち上がっていた。けれども輝きはどこか歪み、あたかもこの世に似つかわしくない異物のようで、見る者の心を苛むばかりであった。
人のかたちをしている。
だが人には見えない。
眼差しは青白く澄みながら、底にひそむのは飢えと怨嗟と、救われたいという身勝手な渇望だった。「楽して生きたい」「幸せになりたい」「満腹になりたい」「眠りたい」「愛されたい」――そのような卑小な願いのすべてが、なぜか彼をして神に逆らわせ、天をも焼かせる。
哀れである。
けれども美しい。
堕天の影は、その矛盾そのものを姿とする。
彼は生きたがっていた。誰よりも、醜く、必死に。』
俺は地を蹴った。
光の軌跡を残して、アドラメレクに向かう。
でもアドラメレクも速い。音速で突進してくる。
「姿が変わったところで、貴様の死は揺るがぬ!――死ねぇっ!!」
アドラメレクの声が地を引き裂くように響き渡り、唇から漏れた咆哮は刃のように鋭く突き刺さった。
──正面衝突だ。
拳を握る。光が宿る。ルシファーの力が。
「馬面ァ...わりぃが、この姿を見て生き残ったヤツはいねぇんだよ。...終わりってことだよ!クタバレ‼︎」
アドラメレクの頭に拳を叩き込む。
ゴッ!
硬い。めちゃくちゃ硬い。
でも効いてる。アドラメレクがぶっ飛んだ。
俺も反動で吹っ飛ぶ。壁に激突する。
「痛ぇ…クソが」
アドラメレクが再び突進してくる。
やべぇ、避けられない。
その時、ヒルメの水が俺の前に壁を作った。
「おー、ありがとな!」
水の壁がアドラメレクの突進を受け止める。でも長くは持たない。
「ヒカリ、横から回り込んで!」
ヒルメが叫ぶ。
「へいへい、分かってらぁ」
俺は横に跳んで、アドラメレクの側面に回る。
今度は蹴りだ。
光を纏った足がアドラメレクの胴体を捉える。
ドガァッ!
アドラメレクが横に吹っ飛ぶ。壁に激突して、崩れ落ちる。
でもまだ生きてる。立ち上がろうとしてる。
「しつけぇなぁ、マジで」
俺は地を蹴り、もう一度跳ね上がった。
今度こそ終わらせる。
握りしめた拳に、ありったけの光を叩き込む。
骨の奥まで焼きつくような熱と震えが走り、拳そのものが閃光になった。
「どりゃあああああ!」
アドラメレクの頭に、全力の拳を叩き込む。
光が爆発する。
アドラメレクの頭が砕ける。
そして、完全に崩れ落ちた。
────
戦闘が終わって、俺は元の姿に戻った。
「お疲れ様」
ヒルメが俺に歩み寄る。
「あんたの変身、初めて見たけど…なかなか強いのね」
「まぁな。よゆーだな、楽勝だったわ」
俺は胸を張る。
「でも無茶しすぎよ。もう少し慎重になりなさい」
「へいへい、分かってらぁ」
リリスさんが現場に駆けつけてくる。
「大丈夫?怪我はない?」
「はいっ!余裕っす!」
俺は元気よく答える。
「よかった。でも無理しちゃダメよ」
「はいっ!」
「現場検証と後処理は私たちに任せて、君たちはもう引き上げてゆっくり休みなさい。」
淡々とした声の奥に、わずかに労わる響きが混じっていた。無言の慈愛――母が子を案じるような温かさが、言葉の端々に宿る。
俺たちは帰路についた。
初任務、楽勝だったな。
──────
その頃、霞が関の地下深くでは、別の会議が行われていた。
「緊急会議を開始する。」
セフィラ――正式名称は国際超常現象対策機構。
もともとはインターポールの一部門として設立され、神と呼ばれる超常存在に対する国際的な対策を調整する役割を持っていた。だが事態が深刻化する中、十年前に独立組織となり、今では各国の警察機関が加盟する国際機関として機能している。日本、イギリス、フランス、アメリカ、ドイツ、中国、エジプト、インド、ギリシャ等――世界中の法執行機関が連携し、圧倒的な脅威に立ち向かっているのだ。日本国内では、警視庁公安部が主導権を握る。セフィラはあくまで協力者であり、情報提供や技術支援を受けながら、必要に応じて国際的な事案では共に動く――国家の任務と、国際機関の網の目が交錯する世界で。
会議室の中央で、男が立ち上がる。警視庁公安部の牛島純一だった。
「各国の報告を聞こう」
大型スクリーンに世界地図が表示される。各国の代表者がオンラインで参加していた。
「まず、アメリカから」
『こちらニューヨーク支部。超常存在の出現頻度が20%増加している。特にConquest Fiendの活動が活発だ』
Conquest Fiend。世界のクラウンは、どの国でも同じ名前で呼ばれる――単位のように、誰が言っても揺るがない共通規格だ。だがアメリカだけは違う。いつまでも独自ルールを曲げず、世界の統一呼称から外れ、奴らを「悪霊」と呼ぶ。征服の悪霊。
日本等では「征服の神」と呼ばれる存在だ。
「ヨーロッパは?」
『ロンドン支部です。闇のクラウンの目撃例が相次いでいます。しかし奇妙なことに、直接的な被害はほとんどありません。』
「中東からは?」
『カイロ支部。アル・ムート、死のクラウンが再び活動を始めています』
アル・ムート。イスラム圏では天使とも呼ばれ、畏怖されている。
「インドからの報告は?」
『ムンバイ支部。クシュダ・ラクシャサ、飢餓のクラウンが猛威を振るっています。対策が急務です』
クシュダ・ラクシャサ。飢えた羅刹。ヒンドゥー文化圏では悪鬼とも呼び、恐れられている。
その後も牛島は各国の報告を聞きながら、メモを取っていた。
(世界規模で神の活動が活発化している。何らかの兆候か?)
「日本の状況を報告する」
牛島が立ち上がる。
「新しい契約者を確保した。ただの契約者ではなく神との合一化に成功している。極めて稀なケースだ。」
会議室がざわつく。
『合一化?それは危険ではないか?』
アメリカ代表が心配そうに言う。
「現時点では問題ない。むしろ戦闘能力は飛躍的に向上している。」
『しかし、クラウンと合一化した人間がどうなるかは未知数だ』
イギリス代表が指摘する。
「その通りだ。だからこそ、慎重に扱う必要がある」
牛島は一拍置いて、続けた。
「この情報は、各国で厳重に管理していただきたい」
『承知した。我々も同様のケースがあれば報告する』
通信が切れる。
会議室に残ったのは、牛島と数名の日本側の幹部だけだった。
上司が牛島の肩を軽く叩く。満足そうな笑みを浮かべている。
「牛島君。よくやった!」
「ありがとうございます」
牛島は表情を変えない。
「ただ、一つ提言があります」
「ふむ、何かね?」
「ヒカリの特殊能力について、他国への情報開示は最小限に留めるべきだと考えます」
上司が眉をひそめる。
「なぜだ?セフィラは情報共有を原則としている」
「リスク管理です。彼の能力はおそらく前例がない。もし他国が研究対象として興味を持てば、拉致や誘拐の危険性があります」
「君は他国を信用していないのか?」
「信用の問題ではありません。国益の問題です」
上司が首を横に振る。
「…君の懸念は理解する。だが、我々は国際協力の枠組みで動いている。情報を隠蔽すれば、信頼を損なう」
「ですが—」
「決定だ、牛島君。その男の能力については、次回の定例会議で詳細を報告する」
上司がそう言い切ると、部屋の奥から別の幹部が口を挟んだ。
「はぁ...牛島君。君はリリス君を見習うべきだよ。知っているだろう? 彼女はこの一年で百五十件ものクラウン事案を解決している。君の倍以上だ。それに、君みたいに逆らわず、実にお利口な犬だよ。」
牛島は眉を寄せ、声を潜める。
「ですが、最近の彼女の動向は……」
「ここ一か月、リリス君は通常のクラウン事案に加え、未確認の異常現象にも手を出している。夜間出動が増え、報告書は行動ログや現場の痕跡でぎっしりだが、詳細すぎて意図が読み切れない。時には独断で現場に赴くこともあり――正直、監視が欠かせないと思います。」
冷たい視線が牛島を突き刺す。
「リリス君は君より頑張っているよ。……なぜ疑うのかな?」
牛島は答えない。ただ、握りしめた拳の節が白く浮かんでいる。
上司が穏やかな声で続ける。
「うむ、疑心暗鬼は良くないぞ、牛島君。それと、国際協力の時代だ。我々は透明性を持って行動しなければならない。」
透明性。
その言葉に、牛島は内心で苦笑した。
(透明性が命を危険に晒し、国益を害することもある。それが分からないのか。)
だが、口には出さない。
上司が満足そうに頷く。
「では、次回の会議でヒカリの詳細なデータを各国に共有する。もちろん、能力の発現条件、戦闘データ、すべてだ。」
「…承知しました」
牛島は渋々答える。
上司たちが部屋を出ていく。
牛島は一人、窓の外を見つめた。
(馬鹿げている)
心の中で毒づく。
(奴らは実績の数でしか人を見ない。
数字さえ並んでいれば満足して、そこにある人間の変化には気づかない。
リリスがどう変わったのか、考えようともしない。
報告書の数字の裏にあるものを見ようとしない――だから現場と乖離するんだ。)
牛島の脳裏に、ある懸念が浮かぶ。
断片的な諜報情報だが、ドイツが何らかの研究を行っているという噂がある。人間を神にする計画。《ハヴァ計画》という暗号名で呼ばれている。
真偽は不明だ。証拠もない。だが、牛島の直感が警告を発していた。
(もし本当なら、ヒカリのような存在は格好の研究材料になる)
だが、これは個人的な疑念にすぎない。会議で口にするほどの根拠はない。
(情報を共有すれば、ヒカリは確実に狙われる)
牛島は決意を固めた。
「ヒカリという少年を、絶対に他国の手に渡してはならない」
そして、もう一つ。
「神崎リリス。あの女も要注意だな。」
呟いた声に、かすかな苛立ちが混じる。同期として長く共に歩んできたリリス――だが、あの頃の彼女とは違った。完璧すぎる、冷たすぎる、その笑顔の裏に何かが隠れているように思える。
優秀で、冷静で、隙がない。理屈では申し分ない。しかし、昔の彼女を知る者としては、その変化が不自然でならなかった。
(完璧すぎる者ほど、裏がある……)
信頼と疑念が交錯する中、牛島の目は鋭く光った。
「今の彼女が何者であろうと、監視は続ける」
本編では、公安と国際機関、そしてクラウンと呼ばれる超常存在の狭間で揺れる人々を描きました。
任務に忠実であろうとする者、独自の才覚で突き進む者、そしてそれを見守る目――それぞれの立場が交錯する現場には、常に緊張と不確実性が伴います。
読者の皆様には、登場人物たちの葛藤や決断を通して、表には見えない現場の重みを少しでも感じ取っていただければ幸いです。




