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堕天/FREEDOM’S CROWN  作者: イチジク
もう目覚めたから

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4/41

理由は怖いから

宿舎の食堂で、ヒカリは椅子に寄りかかってため息をついた。

「はぁ…今日も訓練とかマジでめんどくせぇな」

「はぁ...サボろうとしてんの?糞生意気じゃん」

横に座る伊織ヒルメが眉をひそめる。

「うるせぇな!飯食って、寝る方が大事だろ。訓練とかどうでもいいんだよ‼︎」

ヒルメは呆れたように舌打ちをした。

その時、碇誠太が食堂に入ってきた。

無言。足音もせず、ただヒカリを見つめる。

ヒカリは背筋が凍るのを感じた。

(なんだ…この圧…あぁ、やべぇ…あれだ...)

口から思わず出たのは、普段絶対に使わない敬称だった。

「おーい...あ、あの…碇さん…」


「お、おま...マジでビビってる…ぷっ」

ヒルメが横で小さく吹き出す。


碇は黙って座り、視線だけでヒカリを射抜く。

言葉はない。命令もない。ただ圧力だけ。

ヒカリは全身の力を抜けなくなった。

「は、はい…準備、できてます…」

内心では、悔しさと恐怖がぐちゃぐちゃに絡まり合っていた。

(あーもうめちゃくちゃになっちまった。くそ…俺、なんでこんなことで…!)


─────

食堂に入る。

腹が痛い。いや、めちゃくちゃ痛い。

それなのに、ヒカリが床に足を投げ出してでかい声で文句を言っている。

「今日の訓練マジでだりぃ、クソだりぃなぁオイ!」

ああ、うるさい。

でも今は痛い。黙って座るしかない。

だから…無言で近づく。

椅子に腰を下ろす。

視線はヒカリに向ける。

もちろん…殺意はない。ただ腹が痛いだけだ。

ヒカリ、固まる。

「おーい...あ、あの…碇さん…」


ヒルメが横で吹き出すのが見える。

俺は心の中で思う。

(いや、俺、別に怖がらせるつもりないんだけどなぁ…ただ腹が痛いだけなのに…)

ヒカリの完全萎縮っぷりを見て、少しだけ笑いそうになるのを堪える。

(くそ…腹痛ぇ…あの顔、マジでやばい…より痛くなっちまったな。)

伊織ヒルメ

19歳、身長165cm。短い黒髪に鋭い目つき、狼のような雰囲気を持つ。

粗暴な人が苦手で、苦手な食べ物は太りそうなものやトマト(人の食うものじゃないから嫌い)。

大食いだが、氷菓が好きで、嫌いだったが最近あんこも好む。

日光浴を好む。

所属は警視庁公安部・神性事案対策第1課。

碇誠太

二十代前半、身長180cm。眼鏡着用(コンタクトの時もある)。落ち着きがあり合理的。食べ物はザクロ、コーヒー、じゃがいも、タコ、こんにゃくが好み。料理ではカマロネス・ア・ラ・ディアブラやポッロ・アッラ・ディアボラを好む。

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