48 ひとときの安らぎ
ちょっとR強めかもしれない。更新遅れてすみません
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日は西に傾き、馬車はそれを追いかけるように道なき道を疾走する。俺たちは周りを確認しつつ、己の得物に手をかけておく。
あのあとマター殿はというと、ずっと魔法にかけられたかのように寝息ひとつ立てずに寝ている。医学に少々心得のあるランドルフによれば、命に別状は無いようだ。
いくつか森を抜けると、暗がりの中から松明に照らされた見慣れた旗が見える。
「あれは…」見間違えるはずがない。太陽の光を写したような黄色の下地に、ペンとサーベルをあしらった柄。―ロバート様の軍旗。馬車はゆっくりと速度を落とし、陣の前で止まる。
「ご無事ですか、皆様ぁー!!」慌てた様子でロレーヌがこちらへ走り寄ってくる。
「…降りまひょ?」
「…そうだな」マター殿を起こし、皆で馬車を降りる。
「主、俺いつも無茶するなって言ってますよね…って、奥様!?」ロレーヌは信じられないといった顔つきだ。まあ、無理もないが。
「おかえり、みんな。ゆっくり休んでくれ、と言いたいところだが…」
「速やかに城の包囲を開始するため進軍するとの命が下った。各自、明朝までに支度を済ませるように。」ハンブルク様とカリストロ様がこちらへやって来る。
「はっ!」皆で敬礼する。ハンブルク様たちが戻った後、マター殿がこちらを振り返った。
「その、みんな。…迷惑をかけた。済まない。
…そして、ありがとう。」
「…迷惑をかけたのはこちらのほうにございます、マター殿。」先の襲撃と言い、迷惑かけてないことなんて有るのだろうか。…いや、無い。
「まあどうせ、この戦いをする時点で奴らと敵対することなんか火を見るより明らかってやつですよ。お互い気負わず、仲良くやっていきましょっ!」
ラウルが俺たちの肩に手を置いて言う。
「さあ、もう夜も更ける。…また、朝に。」
「スチュアート、ちゃんと眠らんと回復するもんも回復せえへんで。」
「皆さん、おやすみなさい!」
「ゆっくり休んでくれ、スチュアート。」
「先に行ってますよ、主ー!」
辺りには俺とレイチェルが取り残される。
「レイチェル、お前は転移魔法で先に屋敷へ戻ってほしい。」
「…無茶はなさらないと約束されるなら、従いましょう。」
「ああ、約束しよう。」レイチェルは鞄からチャームを取り出し、俺の首につける。
無意識に俺はレイチェルの腰へ手を回していた。
「旦那様、どうかなさいましたか―?」
俺はその美しい唇に、口づけを落とす。
「っ!?」レイチェルは咄嗟のことに顔を赤くし、目をそらす。
幾らか愛し合った後、首にも口づけする。
「旦那様っ…!」
「…帰ったら、良いか。」
「断る理由なんてあるわけ無いでしょうっ!」
俺は腰に回した手を解き、地面に転移陣を描く。
「…おやすみなさいませ」首元を隠すようにして、レイチェルは屋敷へ戻った。




