46 繋いだ手
曜日感覚を失って今日が木曜だとばかり思ってましたすみません…
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皆々各自の物を纏め、万が一を鑑み(正直、意味は無さそうだが)元の荒屋に戻す。
「そういえば、どうしてレイチェルさんはスチュアートさんが危ないって分かったんですか?」ラウル殿がレイチェルに尋ねる。
「このチャームに軽い魔法をかけて、何か危ないようなことがあれば熱を保って光るようにしております。…まあ、この様な魔法なんて使わないに越したことはありませんけれど。」
レイチェルにじっとり睨まれ、「…済まない」と詫びる。
「そういえば、隣の部屋の布団はもう片付け終わったか?」ランドルフが問いかける。
「まだだったな。よし、片付けるとしよう。」
ドアを開けて中へ入り、レイチェルとベッドに敷いていたシーツを外す。
シーツの端を持ち、両端を重ね合わせる。
「……。」レイチェルと目が合い、思わず顔をそらす。
「どうかなさいましたか?」
…思えば、レイチェルとまともに手を繋いだことが無い気がする。
「……手を繋いだのは、これが初めてかもしれないと思っただけだ」
「昼までまともに立ち上がれないくらい抱き潰したのはどこの誰でございましょうねぇ?」レイチェルは少し意地悪っぽく笑みを浮かべる。
「それとこれとでは話が違うだろうっ!!」恥ずかしさで耳が赤くなる。しばらくお互いに無言になって次々にシーツをたたみ、机に置く。
「……さっきは、無茶をして悪かった。
…その、助けてくれて…ありがとう。………う、うれし、かった。」ふと、口をついて出た言葉。最後の方はゴニョゴニョと小さく消え入るような声になる。
「今日は随分と素直でございますね。…そこまで反省していらっしゃるなら、今日のお仕置きは軽くに致しましょう。」
「レイチェル、どういう意味―」
レイチェルは美しく微笑むと、俺の肩をとん、と押して俺を床へ組み倒した。
「おい、レイチェル」必死に押しのけようとするが、びくともしない。
「旦那様はお嫌ですか?」悲しげな目でこちらを見るから、たまったものではない。
「そ、そんな訳ないだろう…!」恥ずかしさに顔を赤くする。
「でしたら、しっかり言ってくださらないと。」レイチェルはどこか楽しそうに言う。そして、おもむろにその唇を近づける。
「ば、ばか」二人の唇が重なり合うその時―。
「大丈夫ですかー?」ラウルがドアを開け放つ。
慌てて、何事も無かったかのように起き上がる。
「…気にするな。」
「つまずいて咄嗟に旦那様を倒してしまって…」
「終わったかー?」ランドルフの声も聞こえる。
「ああ、」俺たちは慌ててシーツの束を持つ。
部屋を出るとき、レイチェルが耳まで真っ赤にしていたことは言わないことにした。




