41 もうひとつの
「ランドルフさん!?」
「おい、大丈夫か!?」
マター殿たちがランドルフに駆け寄る。
「…任せてもいいか」
「あんた、何をする気で―」
「勿論、敵をぶちのめすだけだが?」
軽い柔軟の後、乾いた地面を蹴り屋根に上がって敵の居場所を探す。拠点から少し離れた辺りにはたくさんの木々が並び立っているから、恐らく未だその辺りにいるだろう。
「『聞き耳』」
微かに北西の方面から木の枝を踏むような音が聞こえた。屋根を蹴って木々を飛び越え、ダガーを抜き取って背後に近づく。
「!?」
「どこの手の者だ。答えなければ殺す」
弓兵はハハッと可笑しそうに笑う。
「…何の真似だ」
「まさか気づかないとはなあ…」
刹那、稲妻が閃き咄嗟に躱す。面倒なことに、よりによってオクタだったとは。後ろから近衛兵らしき集団が近づいている。…馬鹿な真似をした。
「穢れた者の周りには愚か者しか居らぬようだなぁ。…そうか、貴様も馬鹿か!」奴の高笑いが森に響き渡る。
―体中に、何かが蓄積されるような感触。奴は邪悪な笑みを浮かべ、腕を組む。
「馬鹿なら馬鹿らしくさっさと攻撃しないか!」
土を蹴ると、いつもより体が軽い気がした。
奴の顔面に向け、勢いよく拳を振り上げる。
「『鉄槌は下される』」
奴の顔は如何にも間抜け面といったもので、奴は盛大に近衛兵の方向へふっ飛ばされた。
「ふざけるな!奴の固有魔法は『聞き耳』だったはず…!」
奴の顔には普通は絶対につかない傷がついている。…やはり、これが俺のもうひとつの固有魔法で合っているようだ。
「悪かったな。俺の固有魔法は二つある。如何に万能な『女神の囁き』でも、今さっき発現した魔法までは分からぬよなぁ?」
「発現するかもわからない固有魔法が二つ…!?」
「ば、化け物だぁ!!」
奴らの顔色が一気に青くなる。化け物扱いとはひどいものだ。
「…さあ、馬鹿なら馬鹿らしくさっさと攻撃しないか?」
「お、おい!さっさとこいつを殺せぇ!!」
「「「「わ、わぁぁ!!!」」」」
近衛兵の人数はざっと2、30人といったところか。奴はこの隙に乗じ逃げて…という算段。つくづく嫌な奴だな。
「さっさと終わらせて…」近衛兵を蹴り飛ばす準備をしていると、どこからともなく矢が奴の目の前に刺さる。
「誰だ、貴様は!」木の上に、見覚えのある人影が立っている。
「嫌ですねえ、部下に責任を押し付ける上司は。」…良いところに来たな、ニコル。
「!?」二コルはひょいと木から飛び降り、奴の目の前へ出てくる。
「『取引をしよう』!!」
戦闘シーンを脳内で再生できてもなかなか文字化できない




