39 うますぎる話
オクタって打とうとすると時々オクラになってしまう今日このごろです
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「何用でございますか」城の衛兵に許可証を渡した後、大広間に通される。
大広間は地元の工芸を用いたであろう壁や椅子、机など全て細部まで洗練されたデザインであり、目の前の男が改めて人望に厚いと思い知る。
「本日はこのようにしてお目にかかれたこと、光栄の限りでございます」マター殿が代表して告げると、オクタは笑いながら言う。
「堅苦しいのは大丈夫ですから、ご要件をお聞かせ願えますか?」ニコルが話を引き継ぐ。
「我々は王都と地方を結ぶ行商でございます。
近年、王都では素材の味を追求する機運が高まっておりまして。こちらの小麦やトウモロコシはいずれも、高い品質を保ちながらも王都にはあまり流通していない。これは非常に残念なことでございます!」
「では、如何程で購入されるので?」
「つきましては、現在での王都の価格の3倍をお支払い致しましょう」大広間がざわめく。今の王都での小麦の値段は安くても単位あたり3000ファーはする。1000ファーもすれば最新式の魔法筒(扱う兵個人の持つ力で発射されるもので、厄介極まりない)は2丁ほど揃えられる。正に破格なのだ。
「…何かの罠なのでは?」
「あまりにも危険すぎる」家臣同士のひそひそ話があちこちで聞こえる。
「客人の前で然様な真似をするな!!!」オクタの一喝が大広間に響き渡り、家臣らは水を打ったように静まり返る。
「…我が家臣が粗相を致しました。非礼をお詫び申し上げる。」
「顔をお上げください!このような条件、疑われて当然でございます。どうかご容赦を。」
「お詫びと言っては何だが、こちらの食料も些か買い取って頂けませんか?」よっしゃあ!!!これで手間が省ける!!とか内心でガッツポーズをしてしまった。まあ、できるだけ早く家に戻りたいし。
「喜んで!」こうして、作戦の第一段階は順調な滑り出しを切ったのだった。
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「オクタ様、流石でございます!」
「奴ら、罠とも気付いていなかったようだぞ。危うくこの力がなければ騙されていたところであったわ。」オクタは空に手を伸ばし、何か呟く。
『女神の囁き』
彼らの前にはスチュアートたちの姿が映っており、彼らの体力や魔法の属性などまでも書かれている。
「おお…!」
「奴らは恐らく今晩が手薄。…手配しておけ」
「仰せのままに」
「『呪われた人間』…ぬけぬけと俺の前に現れたか…」オクタは左手に持っていたグラスに入っていた残りのワインを一気に飲み干し、どこか不気味な笑みを浮かべて言う。
「天は我らを見ていようぞ!」と。




