34 旦那様
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フィリーにご飯を食べさせ、一緒にお風呂に入る。にこにこと泡ではしゃいでるうちの子、やっぱり可愛いすぎる…。
フィリーを寝かしつけたあと、旦那様がようやく帰ってくる。
「おかえりなさいませ」
「今帰った、フィリーはどうだ?」
「幸せそうに寝ていますよ」
「そうか、お疲れ様。夕食にしようか。」旦那様にくしゃっと頭を撫でられる。そういう所です、旦那様!!耳まで真っ赤になって、私は心のなかで叫んだ。
「旦那様はあの本についてご存知ですか?」
「ああ、知っている。『一生をかけて何かを書き残す』ことだろう。初めは俺が書こうとも思ったが、どうせならお前が書けばいいと思ってな。」
「…どのようなことを書くものなんでしょうか、こういうものは。」
「お前が悩んで決めればいい。決まっているわけではないしな。いつか、書けたら見せてほしい」
そう微笑む旦那様はちょっとやつれた様子だ。
「旦那様、少しお疲れでは?」
「ああ、今回の遠征についての報告が終わり次第、また遠征だからな…って」
「隙あり」私はその隙にデザートのリンゴをフォークで旦那様の口に突っ込む。
「……リンゴ美味しいな」
「先ほど庭で採れたものですよ。果実は疲労に効くとうかがいました」元々は菓子用の少し酸っぱめのものなのだが、やや熟れすぎているということで試しにそのまま剥いたのだ。
「……ありがとう。」旦那様は耳を赤く染めてぽそりと言う。この人には、いつだってやっぱり敵わない。




