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………

あの時の炎が、未だ俺の脳内をちらつく。あれは正しい行いだったのだろうか、こんな俺でも何かできることは果たしてなかったのだろうか、なんて無駄な考えも湧いてくる。

「スチュアート、どうしたー?」主がこちらを見て言う。

「いえ、少し考え事を。ところで、何か私に御用ですか。」とんだ失態だ。全く何をしているんだ、俺。

「そうそう、お前にいいものをやろう」

「いいもの…?」主は近くの棚からそっと木箱を取り出した。

「カルテのダガーだ。城にあったものを上様から頂いたのだ。」

「カルテのですか!?」カルテは世に名高いラインの愛弟子で、その剣はラインのものと同様によく切れて美しいとされる。…そんなもの、俺には到底分不相応な気がするんだが。

「遠慮はしなくていい。先の戦、よくやった。」

「あ、ありがたく頂戴いたします!」

「喜んでくれてよかったよ。これからも期待している。」

主が去ったあと、木箱をそっと開けると布に包まれたダガーが出てきた。やっぱりカルテのダガーは綺麗だな…

「…?」うっとりとしながら木箱を眺めていると底が抜け、何か紙きれのようなものが出てきた。紙きれには、こんな一文があった。

Veritas et(真実と) facta(事実は) non idem (似て非なる)unt(もの)』美しい文字だが、いったい誰のものなのだろうか。領主の字や祐筆の字、フィリーの字とも別。字形が少し古風だからこれより前の持ち主が書いたものだろうか。にしてもなぜこんなところに一文だけ書いた紙を入れた?いったい何なのか分からないまま、俺は紙きれをポケットに入れておいて、カルテのダガーをベルトに差して仕事に戻った。

………

復元したところに書いてあったのはメモのようなもので、レシピのようなものだ。ステーキやサーモンマリネといったものからベリーチーズパン、ポトフといったものまで細かく分量やコツがびっしりと綴られている。レシピは少し古風なものもある。

ページをめくると、その後ろには日々の日記のようなものがあった。貴族の贅沢な日々の話から町に住む家族の少し奮発したクリスマスの話、貧しいながらも結ばれ幸せに過ごした男女の話などバラバラだ。さらに気になることがある。さっきのレシピを含めて、どれも筆跡は一つの区切りごとに違うものなのだ。複数人でバラバラに書いたわけでもなく、ただたくさんの人々が順に書いていったということだろう。

そして、裏表紙には古い字体でこう書いてあるー

『この本を最後まで読んだ人間は、一生をかけ何かを書き残し、然るべき人間に引き継ぐこと』。


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