31 フィリー
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「お前がハスク家の跡継ぎとやらか」主の主ーつまりはロジャー様が興味深そうに見やる。
「そうだ。ホワイトウェイ家ごとき田舎の奴らが、分をわきまえよ!」咄嗟に部屋中が殺気に満ちあふれる。
「貴様、無礼な「控えよ」勇猛果敢、勤勉直実と名高いライン・ファクトリー・エンダー様が熱り立つが、ロジャー様の制止で黙り込む。
「かわいそうだな…」ねっとりとした声でロジャー様が言う。
「貴様に同情される余地はない!」
「だってお前、女だろ。」
「……!」ひゅっと息をのむ音が聞こえる。
「図星じゃないか。」上様は不気味に笑う。
…こちらも、薄々は分かっていたことだった。縄で縛るとき、不意に向けられたあの顔は男とは言いづらいものだった。
「それを知って何になる。私を火あぶりにでもする気か?」正体を暴かれた彼…いや、彼女はもう自嘲気味だ。
「…もう一人の子供はどこへ行った」
「そんな奴なんていない」微かに声が震える。
「どこへ行ったと聞いている」
「私は父上と母上の唯一の子。父上は下賤の貴様らのように何人も妻を娶ることはしていない!」
上様は途端に邪悪な笑みを浮かべ、書類を彼女に見せてゆっくりと口を開いた。
「アリス・フィナンシェ。この家はハスク家に代々仕える家で、アリスも例外ではなかった。15の頃から当主の身辺で働いており、20のときに病にかかり職を辞した。この意味がわかるか?」
「なぜそれを…そんな馬鹿な、」
「爪が甘かったようだな。この親子も見つけ次第処すつもりだ。」
「そ、それだけh「連れて行け!」上様は遮って鋭く言う。
「奴の処刑は…ロバート、任せるぞ」
「仰せのままに」主は平然としていたが、俺は突然の宣告に頭が追いついていなかった。
………
「旦那様、おかえりなさいませ。」
「ああ、今帰った」旦那様は何だかやつれているように見える。おそらく、ハスク家の跡継ぎの話で何かあったのだろう。まあ私が無闇に首を突っ込むことではない。
「旦那様、フィリーですよ」フィリーを旦那様に渡すと、旦那様は私を見て息を飲んだ。
「フィリー…そうか、綺麗だな…!」そう、フィリーは旦那様の白い髪に紫の右目、左目は私の青色だ。小さい子ながら凛とした空気をはらんでいて、初めて抱いた時はびっくりしたものだ。
「申し訳ありません、世継ぎを設けられなくて。」
「いや、問題ない。…世継ぎなどいくらでも作れるだろう。」
「程々にしてくださいね」…この調子だともう2、3人は出来そうだが。
「しかし、…娘にも継がせることになったのか、これを。」エルサにフィリーを預けた後、悲しげな目で旦那様が呟いた。
「私たちで、共にこの子を見守りましょう。」
「ああ、勿論だ。」
次は特別編書くかもです




