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3 なんてかわいいんだ

······

まずい。旦那様に興味を持たれてしまった。

せっかく書庫に入り浸ってたのに。

ていうかこれって断って良いんだっけ??

でも断ってからやっぱり行きますっていうのも見苦しいしなあ…

そうだこんな時こそ本の出番じゃない。そう思い直し書庫に入って本を探す。

「『他人と上手く付き合う方法』…案外悩む人多いのね。」出版年は二年ほど前。熱心に読んだのだろうか、若干黄ばんでいる。そんなことを思っていたらくしゃみが出た。

「寒っ」

とりあえずそこら辺に座って読もう。

読んでいるうちにうとうとまどろんで、意識が遠のいていった。

◆◇◆◇◆◇

結局、レイチェルを誘えずに休みが始まってしまった。一応、声をかけに行くか?

レイチェルの部屋をノックする。返事がない。

「入るぞ」一応声をかけ入るが誰もいない。どこいったんだあいつ?エルサに聞くと夜遅くに書庫に行ったきり戻っていないというので書庫に向かった。何してるんだあい…じゃなくてレイチェル。

奥にある机にレイチェルらしき人影が見えた。

「レイチェル、書庫にいたのか。」返事がない。寝ているのか?近づき揺さぶって起こそうとするが一向に起きる気配がない。

「おい、大丈夫か−? 」額に手を当てる。熱があるじゃないか!?不本意だが、レイチェルを抱きかかえ部屋に運ぶ。

「エルサ、急ぎ医者を呼べ!レイチェルが熱を出した!」

「…!承知致しました!」

…休みを取っておいて良かったかもしれん。

しかしあの読んでいた本、俺が読んでる奴では…?

あの本は兄に結婚するなら、と借りた(押し付けられた)もののはずだが、まさかレイチェルまで読んでいたとは。彼女なりに、何か思うところがあるのか?

悶々としつつもレイチェルをベッドに寝かし、冷やしたタオルを額に置いてやる。医師によるとただの風邪らしいが、油断はできない。1時間ほどして、ようやく起きた。

「旦那様…?」

「ようやく起きたか。お前、書庫で熱出して寝てたんだぞ?」

「えっ…も、申し訳ありませ「謝るほどのことではない。何か食べたいものでもあるか?」

「何か冷たいもの…ですかね」

「分かった、今用意する。」

冷たいもの…何かあっただろうか。厨房の冷蔵庫をのぞく。冷えたチョコムースがあったな、2つ。それを持っていってやる。病気のときは、誰か側に居てやらねばな。今、レイチェルの側に居てやれるのは俺しかいない。そう思うとより一層面倒をみてやろうと思った。

「チョコムースならあったぞ、食べるか。」しかしレイチェルは頷いたきり一向に食べようとしない。喉が渇いているのだろうか。後で水も飲ませるか。

「ほら、口開けろ。」俺はスプーンで一口すくい、レイチェルに食べさせる。

「おいしいです…!」レイチェルが鈴を転がすように微笑んだ。

「そ、そうか…」

可愛い。可愛すぎる。スプーンですくう手が止まらない。水もしっかり飲ませて、俺は付きっきりで看病してやった。


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