28 無茶はするなとあれほど
その夜、城の方がやけに騒がしくなった。
「こんな夜半に…何事だ」ロレーヌが忙しそうにしつつも答えた。
「城方が城から打ち出てこちらに向かってきているとのこと!」どうやら小競り合いなどという生易しいものではなさそうだ。
外に出ると、ニコルが剣を抜き少数で突っ込もうとしていた。
「やめろ!無茶に動いてお前、死ぬ気か!」
「あんな奴ら、切り捨てるだけやったら飽きたらんねん!」
「やめろ、お前の命を過去の恨みごときに削らせるな!お前にはまだ、やることがある!」ピクリと体が止まり、その場で動かない。
「そうやね…そうします。何馬鹿なこと喚いてたんですかね、私。」ニコルは長いため息をつき、抜いていた剣をもとに戻した。
「全軍、まともに戦うな!防御を固くし、一兵たりとも通すな!」主の声が響き渡る。ここで無理に戦うのはかえって逆効果。しかし、このままでは膠着状態だ。あえてそうすると言う手もあるが、あまり兵站的にも戦意的にも好ましくない。この状況、どうやって切り抜けるか…?
「主、一つ策がございます。」すると、ランドルフが進み出た。
「何だ」ランドルフは何か主の耳元で囁く。主は腹を抱えて笑った。
「ええぞ、まあ程々にな」
「存じております」
にこりと笑ってから、ランドルフは兵士に何か言いつけて鎧を脱ぎ始めた。
「何をする気だ、ランドルフ」
「見てのお楽しみさ」
◇◆◇◆◇◆
「お持ちいたしました」ランドルフが持ってこさせたのは、弓と矢。
「成る程…よく飛ぶやつをと言ったが中々良いものを持ってきたな。急に済まない。」ランドルフは軽く素引きをした後、矢をつがえて弓を空に向ける。
「やはりランドルフは面白いことをする」主が微笑む。面白いこととは何のことだろうか、思い当たる節などない。
ランドルフは弦を切れそうなほど引き、放った。
矢は瞬く間に光を伴って空を飛び、敵陣のど真ん中に刺さる。
瞬間、矢が刺さったところに光が煌めき爆音を伴って雷が落ちた。
「そういうことか…!」
ランドルフは矢を次々と放ち、敵をかき乱す。
「ちょっと、そんな立て続けにー」ニコルが言った瞬間、ランドルフが急に倒れた。
「大丈夫か、ランドルフ」
「なあに、ちょっと無理しただけだ。心配する必要なんてない。」ニコルは黙っていたが、急にランドルフを背負った。
「おいニコr「貴方が大丈夫って言う時は絶対大丈夫じゃないんですよ。スチュアートも突っ立ってないでさっさと行きますよ。」ニコルはここぞとばかりにため息をつき、俺に目を向ける。
「当たり前だ。全く無茶しやがって、前ので懲りなかったのか。」
「済まない、以後気をつける。」
「貴方この前も同じこと言ってましたよね」
「バレたか」
「いい加減にしないと奥方に言うk「ちょっとやめてくれないか」




