26 生きている感覚
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月日は流れ、刻一刻と出産は近づいていく。
「このお皿下げるわn「いけません奥様!!」
エルサは私からお皿をひったくり、赤子に諭すように言う。
「良いですか、奥様は今や子供の母になろうとしているのです。こういうことは私達にお任せくださいませ。そもそも、女主人が食べ終わった皿を下げるなど聞いたことがありません!!」
何故だ。適度な運動も必要って医者に言われたんだけどどういうことですか。ふてくされながらしぶしぶ椅子に座る。前にその話をしたらリリーに「あなた慕われてるんじゃない、いい話だと思うけどね。そもそもあなた人に任せるってこと旦那様がいなくなってからあんまりやってない気がするけど大丈夫?」図星でした。
ちなみにつわりはあれからというものあるにはあるけれどと言うくらいでそんなに心配しなくても大丈夫だったーなんてことはなかった。ふつーに結構来るし、ひどい日の夜なんて桶が手放せなかった。まあこういうのも乗り切らないとだめだからなあ…
「…?」
何かが強く腹の中から当たるような感覚。これはつまり、
お腹の中の子が、蹴っているー。
この子はやっぱり、私のお腹の中で生きている。初めて感じる感覚。少し前なら絶対に考えられなかったことだ。
ああ、ここに嫁いで本当に良かったー改めてそう思えた。
……
「ロレーヌ様、あちらから使者が参られましたがいかがなさいますか。」
「降伏のか」
「いえ、そうとは測りかねますが…」
「…そうか、じゃあ会うから人払いを。スチュアート、ランドルフ、ニコルは残れ。」そう言ってロレーヌ様はランドルフに何か渡して部屋をあとにした。
「何がしたいんだ…?」
「きっと何か考えがあるんだろう、まあ大丈夫だろう。」さっきからずっとニコルは仏頂面だ。
「大丈夫かニコル」
「ああ、心配するほどのことじゃないですよ。」
「そういえばこれは…?」ランドルフが頂いた包みを広げる。
「人数分の口布…」そういえば先ほどの兵士もつけていたような。
「そう言うことですか」ニコルはひとりで何か腹をくくったようにつぶやいた。なんなんだ、こいつは。
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「それで、話というのは」
「こちらにございます」主はちらともそれを見ずに俺たちに渡した。
「これは…」二人で顔を見合わせる。あまりにもわがままが過ぎるというものだ。ニコルはそっと立ち上がり使者に近寄る。
「いくらか聞きたいことがあるのですがよろしいですか。」主はめんどくさそうに頷く。どうやら良いようだ。
「それでは…」ニコルは書類を使者の目の前に押しやり言った。
「なぜ、今になってやっとこんなことを言い出した!!」
部屋全体がビリビリと震える。俺たちは固唾を飲んで反応を待った。
三連休が風邪で潰れました(泣)




