24 心とは奇怪なものだ
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「つ、疲れた…」俺は帰ってきてすぐに壁に寄りかかり、そのまま尻餅をついた。
「晩ごはん持ってきてくれてたみたいだな」ランドルフはテーブルについて早速食べ始める。
「食べないのか?今日のは格別にうまいぞ。」
「いや、」俺の脳裏から先ほどの光景がこびりついて離れない。
「俺は…皆の苦しむ顔が見たくないから今こうして働いている。…それなのに、何の罪もない民を傷つける。これでは、本末転倒ではないか!」俺の心のなかから、何か堰を切って溢れ出るようだった。
「そんな事を容認した俺に生きる価値はあるのか?」頭の中がぐるぐるとどんどん嫌な考え方になっていく。
「まあ、気持ちのいいものではない。ただ、今は主が必ず平和な世をまた作り上げることを信じるしか俺たちにはできない。それに、彼らの分まで生きることもまた、その命に報いることなんじゃないかって俺は思うぞ。」
「…そうだな。すまない、急に騒いで。」
「なあに、気にするほどのことでも無いさ。
……あの状況を見てそうなるなら正常だ。」俺は椅子に座り、スプーンでシチューをすくって食べる。シチューはまろやかで野菜と牛肉のうまみが出ていてー何より、温かい。
「これほどにも、温かかったんだな。」視界がちょっとだけにじんだ気がした。
………
旦那様達がここを発ってから5日ほどたち、年の瀬になる。私たちはジュスタちゃんのお屋敷でお泊り会をしていた。
「結局年明けは女だけか…」リリーが頬杖を付いてため息をつく。
「まあまあ、でもこういう年越しも案外ありかもですよ。って、もう上がりですか!?」
「私ババ抜き得意なんだ」
「レイチェルさん、手加減しませんからね!」
「望むところよ」私たちの間に火花が散る。
手元にあるのはハートの2とスペードの7、…ジョーカー。えっいつの間に!?平静を装いカードをシャッフルする。ジュスタちゃんは左を取るクセがある…ぽいから右にジョーカーを置くか。いや真ん中は…?色々考えてようやくカードを並べた。
「どっちですか」
「どっちでしょう?」ジュスタちゃんは眉間にシワを寄せて考える。そしてー、真ん中を取った!
「…!」これであと2枚。私はこれまで右は取ってないから、右にはなさそうだな。いやでもあるかも。意を決し右を取ると見事ハートの2だ。
「勝った!!」
「あー!右に置いておけば良かったー。」ジュスタちゃんは地団駄踏んで悔しがる。勝てて良かった。めちゃくちゃ気まずいけど。
「じゃあもう寝よっか。」リリーがカードを片付け始める。私も寝るために椅子から立ち上がろうとすると、急な吐き気が突如私を襲ってきた。
「レイチェルさん!?」
「すぐに医者の用意を!」誰かが空の桶を持ってきてくれたのでひとまずそこに出すが吐き気はまだ止まらない。駆けつけた医者のおかげでようやく治まった。




