22 意外な嫉妬
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「お久しぶり、レイチェルさん。スチュアートからあなたの話は聞いてるわ」奥様が私に向かって挨拶する。
「お覚え頂き光栄です。」奥様は一応あの見合いの場に居たわけだから、そりゃ覚えてるか。
一人ひとり持ってきた菓子を披露して、それぞれ会話に花をさかせる。ちなみに私はマドレーヌを持ってきた。私が知っている奥方はリリーしかいないので大広間の隅っこでずっと喋り通しているわけだが。
「結構名のある奥様も多いみたいね」周りを見渡してリリーが言う。
「夫婦円満で有名なルナさんにロジャー様の妹君、アーロン様の奥様……私ごときが釣り合う場なのかしら。」ため息をつくと突然、何かを私の口の中に突っ込まれた。ふにっとしていて甘い。マシュマロか何かだろうか。
「ちょっと、あなた何してるの!?」リリーが突っ込んだ人の腕をつかむ。その娘は私たちより一回り背が低く、まだあどけない。顔を青くしてこちらに謝ってきた。
「わ、私はニコル・ジョアン・ヘーゼルの妻、ジェスタと申します。その…いつも旦那様に、いろんな人を笑顔にさせなさいって言われてて…甘い物を食べたら笑顔になるかな、って思って。本当にすみません!!」
私たちは目をまるくし、そして笑った。
「いやぁごめんね、さっきあんなことして。私はランドルフ・グラントリー・マットンが妻、リリーよ。よろしくね!」
「私はスチュアート・アルフレッド・クランマーの妻、スチュアート。…なんだか気を張っていたのが馬鹿みたい。おかげで肩の力が抜けたわ。」マシュマロのおかげで考えてたことなんかどうでもよくなった。
「そうだ、残ってるマドレーヌはいかが?」
「私もまだチョコケーキがあったから、一緒に食べましょう!」
「マドレーヌにチョコケーキ…はわわ…」ジュスタちゃんは目を輝かせる。可愛い…。
「そういえばニコル殿ってどんな感じなんですか?」
「旦那様は経理が得意で、とっても優しい方です!いつもお帰りなさいのハグをしてます!」
ハグなんて羨ましいとか思った自分は煩悩にまみれている。うん。考えるのやめよう。
「レイチェルさんとリリーさんの旦那様はどんな感じなんですか?」
旦那様について改めて意識したことなんてなかったなあなどと考え込んでいると、リリーが口を開いた。
「私の旦那は頭脳明晰でいつも優しくて気配りもできる色男、って感じだなー。」
「…旦那様は顔が良くて無愛想といえば無愛想だけど…時折見せる赤面した顔が可愛い、かな…」
「いいなー、うちの旦那絶対私の前でそんな顔しないからなー。」
「いろんな顔見せてほしいですよねー。私も時々そっぽ向かれることあります」口をすぼませて2人が言う。気がついたらお茶会が終わるまで喋り通していた。
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「「ヘックション!!」」ランドルフとニコルが同時にくしゃみをする。
「大丈夫かお前ら、何か噂でもされてるんじゃないか…ヘックション!」
「「人のこと言えないじゃないか」」




