20 面倒な人たち
……
「とりあえずおかえりスチュアート」
「いいかげん子ども扱いやめてください」
「子ども扱いしているつもりではないんだけれど」
俺は使者の任でフィオナ様ー奥方に面会していた。この人は俺たちが昔下っ端だったときにお菓子を渡したり喧嘩の仲裁をしたりといろいろ面倒を見ていた。まあ、要するに生粋の子ども好きなのだ。もう子どもじゃないし普通に恥ずかしいからやめてほしいんだが。
「そういえばご報告ですが」俺は話を切り出す。
「まさか…あの人に何か?浮気でもした?」奥方は不安な顔をする。
「いえ…前々からでしたがレイチェルと恋仲になりました」
「そう、おめでとう…ってえええ!?」
「…今回の遠征で、彼女がいかに大切だったかが身にしみまして。」
「まあ…良いんだけどね、」奥方は盛大にため息をついた。
「あんまり言わないほうが良いよそれ。
…惚気って知ってる?」
「存じておりますが」言っておいたほうが変に狙う馬鹿を追い払えるだろうと思うんだが…
「分かっててやってるなら尚更やめときなさい…まあ気持ちは分かるけど」
「ところで先程主が浮気してるって件についてはまあある意味でいつも通りです」途端、奥方の顔が鬼みたいになった。
「あんの野郎…帰ったら覚悟しとけぇ!!」
…言わないほうが良かったか、これ。
「戦況報告はここに置いておきます」俺はそそくさと退散した。
◇◆◇◆◇◆
「スチュアート。久しぶりだな。」そう話しかけるのはブランだ。
「そうだな、半年ぶりということか」この男は少し前の戦に掟を破りこっそり参加した罰としてこの遠征は居留守役なのだ。
「傷えぐるのやめてくれないか」まあ、悪いやつではないが敬虔な教徒なのでどうなるかヒヤヒヤしたが。
「ところで、お前奥さん居たのか?」
「居るが」
「嘘だろおい、なんかあったのか」こういう話をすると大体びっくりされるのおかしいと思うんだ俺。
「普通に見合い婚だ」
「お前に普通とかいう概念あったんだな」
「失礼だな」俺のどこが普通に見えないんだ。
「おや、スチュアート。あなたも帰ってきてたんですか。」
「ニコルじゃないか。」彼は隣の国からきた宗教の教徒で、ブランとは多々ぶつかっている。
「おうどうした異教徒」
「異教徒とは人聞きが悪い。僕はただ腐りきった教会が大嫌いなだけですので」
「俺を挟んで喧嘩するな」まったくいつもこの二人は。見ると、ニコルがくすくす笑っている。
「何を笑っている」
「いやあ、嫁さんができるだけでこんなに変わるんですねえ、と」
「何の話だ」
「お前この前は俺たちを見るなり「勝手にしろ」とか言ってたじゃねえか」
「お嫁さんで人ってこんな変わるんですねえ」
「…おちょくるのもいい加減にしろ!!」顔が熱くなるのが自分でもわかった。




