19 久しぶりというのは胸に悪い
「ただいー「く、曲者!!」人影が出てきたところで咄嗟に本を投げる。
「うおっ!?」本は避けられて誰かが近づいてきた…って、
「旦那様!?」
「こんな時間にすまない、主に願い入れて急遽帰ってきたから連絡できなくてな。」
「…なぜ願い入れたのですか」
「…わざわざ言わせるかそれ」旦那様は真っ赤になって口を手で覆い、ボソリと言った。
「………お前に会いたいからに決まっている」旦那様は息を吸い話を続ける。
「…遠い地で改めて思ったのだ、
…お前は俺にとって大切で、必要で、
…この世で一番愛していると言うことを」
私は頬をきつくつねる。痛い。夢じゃない。もう少し何かあれば倒れそうだった。
◇◆◇◆◇◆
久しぶりに旦那様と朝ごはんを食べられる。嬉しい。
でも昨日、好きだと言われたのは本当だろうか。
「旦那様」
「何だ」
「…昨日、私のことを愛していると言ってた気がするんですけど…」
「言ってない」
「…言ってます」
「言ってない」
「言ってます」
「……言った。言ったから、蒸し返すのやめてくれ…」旦那様は赤面して顔をそらす。可愛い。許す。
「そういえば…村の管理についてこのあと少し手伝って貰っても良いか」
「…よろしいので?」経理の仕事は面倒だが楽しい。願ったり叶ったりだ。
食べ終えたあと、早速取り掛かるが二人だからすぐに終わってしまう。暇になってお茶を飲んでいると、旦那様が一つの書類に目を通していた。
「…その書類は?」
「ああこれか、今度の兵站記録だ。見るか?」
「良いんですかそれ」
「別にいいだろう、それにお前の意見も聞かせてほしい。」
「分かりました」嫁いでから、なんだかんだこういう事を色々やらせてもらっている。嫁いで良かった。
「少し心もとないですね…」
「今攻めている城の領地は穀倉地帯でな、近頃すべて買収する予定だ。」
「刈り取ったあとの藁を使い火攻めにしてはいかがですか?」
「ふむ、ありかもな。そこで住民が城に逃げ込めば備蓄の減りも速くなる。…ロジャー様は完膚なきまでに攻め落とすことをご所望だからな。」
「住民を逃がすのは無理そうですね…」
◇◆◇◆◇◆
「もうこんな時間か。」そんな話をしていたらいつの間にか時計の針は6を指していた。
「蒸し風呂の準備ができましたよ」エルサがタオルと着替えをこちらに持ってくる。
「一緒に入るか。」
「えっ!?
…この前は背中をお流ししましたが、共に入るというのは…」
「二人のほうが薪の節約になると思ってな」あ、いつもの旦那様だ。うん大丈夫。そんなやましいこと考えてるわけない。脱衣所で服を脱ぎ、薄着になる。
「…建前だがな」
「吹っ切れつつありますよね旦那様!?」
中はまだ少し熱く、ちょうどよい温度だ。それぞれ黙々と身体を清め、早めに上がる。
「いい湯でしたね」ずっと旦那様の背中に目がいってそれどころじゃなかったけど。前より体つきが良くなって綺麗だ。
「そうだな。…ちょっと良いか」
そう言うと旦那様は私を壁に押し付け唇を重ねた。これまでの口づけよりも長く、頭がクラッとする。
「こ、こんなところで、」
「寝室ならいいのか」
「え、ま、まあ」
「そうか…」旦那様は私をひょいと抱きかかえ部屋に運び、ベットに私を置いて自分の服の紐を解く。
「ひゃあっ…」
「俺はだな」ずいっと顔を寄せられ、顔が赤くなる。
「好いた女にまともに会えず我慢していたのだ。…今夜は寝かさんぞ」旦那様は私の服を脱がして事を始めた。




