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17 時の流れは早いものです

……

旦那様が遠征に向かわれてからもう半年が経った。もちろん領主の仕事を代行してそれを旦那様に手紙で報告しなければならないので決して暇ではない。でも、やはり慣れとは恐ろしく今でも時々二人分のスープを作ってしまう。

「奥様、リリー様がお越しになられましたよ」

最近はほぼ毎日のようにリリーと会って話をしている。

「なんかもう半年経ったなんて信じられないわね。戦況の方はそこそこいい方ではあると聞いたけれど」

「何か物足りないと言うか…」

「暇よねえ…まあ、仕事はいっぱいあるから暇じゃないんだけど」リリーはため息をつく。

「そういえばロジャー様は女子好きで有名ですけど…」

ロジャー様は奥方と恋愛結婚したにも関わらず女に目がないという噂は周知の事実だ。

だからどうしても家臣は少なからず影響されかねないのでは、と心のどこかで思ってしまう。

「あっちは命懸けだし文句は言えないけど…」

「旦那様に限って無いと信じたい…けど…」

最近はこんな感じでずっと二人でやきもきしている。手紙の一つでもあればまだいいが、一つも無いから余計にだ。

「「早く戦終わんないかな…」」

◆◇◆◇◆◇

遠征に行った俺はいま、盛大に怒りを押さえている。

今主の部屋の前なんだが、明らかに女の声がする。おかげで報告したいこと全部すっ飛びかけたんだが。深呼吸して意を決しドアを開ける。部屋には、今まさにキスしかけてた男女が一組。

「…主。これはどういったことで?」

無理にでも口角を上げているのが自分でもわかるほどだ。主はたじろぎながら喋る。

「いやこれはあっちの情報を引き出すためで…」

「それは随分ご苦労ですが、わざわざ薄着で。」

「いや聞くならこういう雰囲気でだな…」

「度が過ぎてたら奥様に言いますよ」

「フィオナに…!?そ、それだけは!!」

笑顔で宣告すると主の顔は明らかに青くなった。

「…スチュアート、その辺で。」ランドルフに止められる。何故だ。

「そ、そうだ、お前らも日々の事務で疲れてるだろ、ほら好みの女子見つけい」ぐいぐいと押されて部屋から出される。

「主、まだ話は「行こうぜ!!」アベルに引っ張られる。

「まったく女癖が荒い。それだから奥方に殴らr「うっせえお前なんで知ってんだよ」ランドルフと一緒に無理やりにでも連れて行かれる。ふざけんなこの野郎。

◆◇◆◇◆◇

「この者はいかがで?」

「では、この者は。」

さっきからアベルしか反応していない。

ランドルフはにっこりとうんともすんとも言えない返事しかしてないし、俺は完全に無視している。なんで見ず知らずの女に微笑めるんだランドルフは。

「この娘たちは…」店主が眉根を寄せそう言ったとき、ランドルフと俺は思わずひゅっと息を飲んだ。それぞれレイチェルとリリー殿にそっくりだ。

「なんだお前ら、奥方に似た女子が好きか」どこから来たのか、主が呟く。

「「違います!!」」二人の声が同時に重なった。

そこから仕事に戻ったが、1ミリも集中できない。ぺちぺちと自分の頬をたたいても無理なんだがこれ。

「どうしたんですか二人とも…ってこれ重症じゃないですか」ロレーヌは机にあった書類を奪い取り、ランプを消す。

「あんたらクマひどいんですから昼寝でもしといたらどうです」

「すまないロレーヌ…」まどろみながらベッドに突っ伏した途端、睡魔が襲い気づいたら数時間は寝ていた。



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