卒業アルバムに書いてあるクラスランキング
「お前たち!最後に俺の胸に飛び込んでこい!」
「宮崎先生!」
「先生!」
今日は◯◯小学校6-1組卒業式。
最後のホームルームを終えた宮崎オサムの胸に次々と生徒達が飛び込んだ。
オサムは24才。初めての担任。何度も辞めようと思ったが生徒たちの笑顔に励まされた。
オサムのクラスの生徒の数は12人と少なかったがその分。一人一人の絆は濃いものになったと思う。
オサムを父親とした12の兄妹だ。
このクラスは家族なんだ。
「また春には新しい家族が出来ると思っていたが……」
オサムは生徒達が誰もいなくなった教室で卒業アルバムを見ていた。
お楽しみ会。運動会。修学旅行。
「楽しかったな」
最後のページにはお決まりの「クラス・ランキング」があった。
イケメン男子ランキング。有名人になってそうな人ランキング。面白い人ランキング。おしゃれな人ランキング……。
「ワタルが1位か。へぇ。ヒロシが?あいつかぁ。意外だなぁ。ウララは何度言っても化粧品を学校に持ってきてたっけ」
「エッチが上手い女子ランキング」
「カツアゲナンバーワン男子ランキング」
「見逃してもらった犯罪ランキング」
「……」
「卒業式にぶっ殺したい教師ランキング!」
『第1位!宮崎オサム!』
麦わら帽子を被った少年のキャラクターが「俺はこいつをぶっ殺す!(ドン!)」と宮崎の名前を指差し、両目を布で覆ったキャラクターが「宮崎は僕が殺す。大丈夫僕最強だから」と言い和服の少年が「ヤイバの呼吸!めった刺し!」と日本刀を振り回している。
「絵が上手いなぁお前ら」
オサムは卒業アルバムを閉じて立ち上がり、生徒達全員の机を軽く撫でた。
教室を血だらけにしてしまった事を掃除のおばちゃんに心で謝りながら仰向けに倒れた。
首から下の様々な場所にナイフが12本刺さっている。
「卒業おめでとう」
誰かあいつらを止めてくれ。