表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/26

雲の話

 全速力で自転車を走らせていた。その場にいたくなくて、何処かに行きたくて、ひたすらに漕いでいた。


 けれど体力のない私はすぐに息切れして、足が止まった。


 花火大会の終盤みたいに鳴る心臓。情けなさと惨めさに陶酔する自分への嫌悪で更に溢れそうになる涙。抑えようと顔を上げた。空を見上げたら、広がる青空と、輝く太陽。その下で浸食していく大きな入道雲。それに目が浮かんで、地上をしげしげと見下ろしていた。


 その視線はやがて自転車に乗る私にまで届いた。そして、目があった。


 雲の目はどこかバツが悪そうに細められ。隠れた。


 入道雲の形が変わる。人差し指を立てた右手みたいな形を取る。


 言われなくとも、何も言わない。


 でもそんなんじゃそのうち、私みたいな誰かに見つかるよって呆れた、それは夏、彼氏と別れた日の出来事。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ