婚約破棄されましたが断罪するのはどうやらこちらのようですね
「ナギサリアン・ギロティーヌ嬢! あなたとの婚約はなかったことにさせてもらう!」
大広間に響き渡ったその声に私はポカンと瞬きした。──あなたとの婚約はなかったことにさせてもらう? 一体全体彼は何をのたまっているのだろう。五年来の婚約者であるスグレイド・ストレイン卿は。
今日は王立テームラー学院の卒業式。煌びやかに飾りつけられた別館は記念パーティーの真っ最中だ。最大二百名を収容できる豪奢なホールには百名近い卒業生が集まっている。もちろん私も自慢の黒髪を結い上げ、シックなドレスに十字の大きな耳飾りを身に着けてこの祝宴に参加していた。
なごやかな歓談を引き裂いた激しい一声。およそこの場に不似合いなそれに皆はぴたりとお喋りを止める。祝花や証書や果実水のグラスを手に生徒たちは名指しを受けた伯爵令嬢と怒声を上げた公爵令息を振り返った。
「……は? 今なんと?」
尋ね返した私の脳裏に「婚約破棄」「断罪」「破滅」のフレーズが浮かび上がる。この状況には凄まじく覚えがあった。私のよく読む貴族令嬢ラブロマンスには定番の光景だから。
主人公は悪役令嬢。不当な理由で婚約者に捨てられたり、敵役の正ヒロインに地位や恋人を奪われたりと散々な目に遭わされる。中でも多いのがこんな風に卒業記念パーティーで突きつけられる婚約破棄だ。
だがまさか我が身に同じ展開が降りかかるなんて。それもこちらが悪役令嬢サイドとして──。
「どういうことです、スグレイド?」
私は眉間に皺を寄せ、銀髪碧眼の美しい婚約者に問いかけた。と、達人が筆で引いたかのごとき切れ長の彼の目が伏せられる。ほどよく薄い唇は固く強張り、白磁の頬もしばし冷たく凍りついた。
「…………」
不穏な沈黙が横たわる。いつの間にか生徒たちは我々をぐるりと囲み、降って湧いた修羅場のなりゆきを見つめていた。即席の舞台に立つのは私と婚約者ともう一人、スグレイドを支えて並ぶ薄紅髪の女生徒のみだ。
キフネ・リンフラーク侯爵令嬢。事情があって十五になるまで一般庶民として育ち、三年前──高等学院入学直前に侯爵家に引き取られた少女である。彼女の愛らしい容姿と特異な経歴は校内でも有名だった。節度なく複数の男子生徒と交流しているとの噂も……。
(確かに貴族の常識外にあるお方。多少のマナー違反は許すべきでしょう。とは言えさすがにやって良いことと悪いことがあるのではない?)
キフネ嬢とスグレイドの近すぎる距離に私は小さく眉をひそめる。
人の婚約者に手を出すなど看過できない非倫理だ。だがしかし、序列が第一の貴族社会で伯爵家の小娘ごときが格上の侯・公爵家に対抗できるはずもない。
汗が背中を滴り落ちる。表情険しく堪えてみせてはいるけれど、備えも構えもなかったところに繰り出された婚約破棄に私は酷く動揺していた。
互いにぴたりと寄り添い合うキフネ嬢とスグレイドが特別な関係にあるのは明らかだ。二人とも生徒会に属しているから親睦を深めるチャンスには事欠かなかったに違いない。──油断した。スグレイドは堅物だから大丈夫だと信じていたのに。
(まさか裏ではよろしくやっていたとはね……)
無言のまま睨み合う。昨日までは親しく打ち解けていた男と。
これからどうなってしまうのだろう。私の胸に多大な不安が押し寄せた。
物語では大抵の悪役令嬢は正ヒロインに非道な嫌がらせを行っていたとして糾弾される。そして相手を論破できねば国や家から追放されたり修道院送りにされたり牢獄に繋がれたりするのである。私が学院で働いた悪事など菓子類の持ち込み程度だが、もしもこの場が型通りに進むなら──。
「言った通りだ、ナギサリアン嬢。あなたとの婚約は今日この瞬間をもって解消する!」
「……ッ!」
冷徹としか言いようのない台詞に私は立ち尽くす。認めたくないが婚約者のそれは心変わりした男の定番の言動だった。
あの高潔な彼がなぜ、と歯噛みする。スグレイドは強きをくじいて弱きを守る立派な若者だったはずだ。子供にも老人にも優しく、他者には常に敬意を忘れず、そんな彼だから友人たちにも慕われていた。なのに今、彼は衆人環視の中で私に無慈悲な婚約破棄を突きつけている。
(書面で通達しなかったのは断罪の準備があるからに違いない。公爵家に非のない形で婚約者を挿げ替えるには私を悪者に仕立てるのが最善だから……)
この先の展開を思って私はぎり、と強く奥歯を噛んだ。
おそらく罪の証拠はとっくに捏造済みだろう。でなければわざわざ皆のいる場所でこんな話をするわけがない。スグレイドか、キフネ嬢か、あるいはほかの誰かが書いた筋書きなのかは知らないが、私は嵌められてしまったのだ。
(もしキフネ嬢を虐めていたなんて言われても私には否定材料がない。ここは二人の独壇場になってしまう)
握り拳の爪が食い込む。こちらを見やる婚約者の目は冷めたままだ。
将来を誓い合ったとは言え思慕があったわけではない。スグレイドのことは人間的に尊敬していただけであり、恋いわずらった日はなかった。だがこうして一方的に何もかもを白紙に帰され、傷つかないなど不可能だ。
私は未来の約束のために努力した。朝に弱い身体に鞭打って無遅刻無欠席を達成し、試験でも高得点を維持したし、レポートでは年間最優秀賞を獲得した。王家に連なる公爵家の、跡取り息子の妻にふさわしくあるために。
スグレイドとも良好な間柄だったはずだ。愛はなくとも私たちには確固たる信頼と友情があったから。五年のうちに築いた絆は揺るぎないものだったから。──だから彼がキフネ嬢に心寄せていたとしても卒業後は距離を取り、私との婚姻を進めてくれると信じていたのに。
(他人行儀にナギサリアン嬢などと呼ぶのね、スグレイド)
立ちはだかる銀と薄紅に失笑する。これからどんな理由をつけて二人が愛を正当化するのか見ものだった。
悲しくて情けなくてやるせない。スグレイドは恋によって盲目になったのだ。そう実感して後悔した。すれ違いざま彼とキフネ嬢が交わす視線。そこに確かな温度を感じたあのときに手を打っておけば良かった。「人倫尊ぶ生徒会の会長と副会長なら慎んでくれるはず」などと放置せず。
(とにかく今はこの場を切り抜けなければ……)
覚悟を決める。何を言われても立ち向かう覚悟。手札もなく家格でも劣る私がどこまで戦えるかは知れないが、不名誉な冤罪などで裁かれてなるものか。
──そのときだった。大広間に今日一番の大声が響き渡ったのは。
「ッッッこんなことになって本当にすまなかった!!!!」
絶叫と同時、スグレイドが銀糸の髪を煌めかせて腰を折る。勢いその場に膝を畳み、格子の床石に両手をつき、額をめり込ませんばかりに彼は猛烈な土下座をキメた。
日頃の所作から麗しい男である。奇異な体勢を取ってはいても溢れる気品は隠せない。揃えられた指の先までピシリとしわのない手袋。シャンデリアの光を受けてなお一層輝く銀髪。舞い落ちた新雪のごとき清明さに私はただポカンとした。
(えっ? あれ? 断罪は? 『貴様がキフネ嬢を虐めていたことはわかっているのだぞ!』はどこ?)
順当にいけばここは私が弾劾を受ける流れのはずだ。なのになぜ私のほうが全力で謝罪されているのだろう。
ぱちくり瞬きしているとスグレイドは軽く上体だけを起こし、改めて大きく口を開く。飛び出したのは物語の既定路線と私の予想を易々と超えていく言葉だった。
「ナギサリアン嬢! 今度の件であなたに落ち度は一切ない! あなたという非の打ち所のない婚約者がありながら同じ生徒会で働くキフネ嬢に心奪われた僕の不徳の致すところだ!
皆の集まる卒業記念パーティーで話をさせてもらったのは今回の破婚騒ぎでその点が誤解されて社交界に伝わるのを防ぐため! こういうのは上位貴族に忖度した解釈で噂が広まりがちだからな!
皆どうか彼女の名誉のために今日の証人になってくれ! 婚約解消の原因は僕とキフネ嬢にあり、ナギサリアン嬢は潔白だ! ご自宅でも親御さんに何か聞かれたらそのように説明してほしい!」
一つ声を張るたびにスグレイドの双眸に熱がこもる。先程彼の態度が冷めて見えたのはどうやら緊張のせいだったらしい。婚約破棄を求めるほうも心臓をドキドキさせていたようだ。
(な、なんだあ。断罪じゃなかったのかあ)
ほっと安堵すると同時に「だったら事前に言っておけよ」と憤りが湧いてくる。普通に相談してくれれば、ほかに好きな女の子ができてしまったと打ち明けてくれていれば、こちらもきちんと応じたのに。
(いや、待って? 確か今朝お継母様が……)
思い出したのはニヤニヤと「卒業式は楽しいことが起きるわよ」と言ってきた若い後妻の顔だった。あ、あいつ、絶対に知っていたなと直感する。それはそうだ。家同士で取り決めた婚約なのに本人同士で解消できるはずがない。もちろん当主の間だけでなかったことにもできないけれど。
(じゃあスグレイドはうちに話を通していたと。そのうえでこのパーティーで大々的に謝罪するのを選んだと……)
状況の理解が進むと複雑な感情が去来した。あると信じていた未来が失われ、婚約者に釣り合うための努力は水泡に帰したけれど、ひとまずいろいろ疑って悪かったなと反省する。
スグレイドはやはり気高く尊敬できる人物だ。不義によって信頼こそ目減りしたものの、加害側の人間としての彼の在り方は相当正しいと言っていい。私の評判が不当に悪化するのを憂慮し、泥を被っても最大限被害を減じようとしてくれている。婚約期間中にほかの女と親密な関係に至ったのは賠償を求めたい不貞ポイントだが。
「本当にすまない、ナギサリアン嬢! どうか僕と別れてくれ!」
スグレイドは再び床に白い額を擦りつけた。長身のこの人のつむじを上から見下ろすなんて初めてだ。
(仕方ないなあ。こんなにも誠心誠意謝られちゃったらもう……)
少しだけあった未練に蓋をする。彼の隣に立って恥ずかしくないように日々積んできた研鑽の、五年の時間が惜しいだけだ。そんなものはこれからの人生でいくらだって取り返せる。
──婚約解消を受け入れよう。そう思い、ひれ伏したスグレイドに向き直ったときだった。不意に隣に目が移ったのは。
薄紅色の明るい髪に赤い目をした兎みたいな侯爵令嬢。そう言えばキフネ嬢的にはこの展開はどうなのだろう?
(悪役令嬢が元婚約者と和解してもヒロインがそれを喜ぶとは限らない。腹黒気質の正ヒロインならむしろ怒ってなんらかの工作を仕掛けてくることが多い。キフネ嬢は一体どっち……!?)
ごくりと小さく息を飲む。私と目が合ったキフネ嬢はどこか怯えた小動物を思い起こさせる表情で細い肩を震わせた。
あっこれは過剰に弱いふりをして相手を悪者に見せかける腹黒ヒロインではないか? やはり今から急カーブで断罪コースに軌道変更するのでは?
私はサッと身構える。しかしここでも耳にしたのは想定外の台詞だった。
「あの…………今回のわたくしどもの不祥事…………誠に申し訳ございませんでした………………」
みぞおちを押さえて立ち尽くしていた彼女は半ば倒れ込むように膝を折り、ガタガタしながらスグレイドの右隣に平伏する。血の気の引いた真っ青な顔に可愛い子ぶろうと試みる気配は微塵もなく、声音も真面目でどこもきゃるんとしていない。彼女のまとう重い空気は保身とかけ離れたもので、土下座したまま一生面を上げないのではないかと思えた。
(あっこれガチの反省と謝罪だ。みぞおちを押さえてるのも絶対胃痛が激しいからだ……)
試験前には胃薬を手離せなかった学生生活を思い返し、私は彼女に同情する。人の婚約者に手を出してと怒りを覚えていたけれど、折角だから経緯くらいは聞いてみるかという気になった。
「あの、二人はどうしてお付き合いをすることに?」
銀と薄紅を見やって問う。頬を染めて惚気を聞かせてくるかなと思ったのに反応はあまり芳しくなかった。床と互いを順に見やり、スグレイドとキフネ嬢は発言権を譲り合う。
「ええと……僕たちまだ付き合ってはいないんだ」
「えっ!?」
「さすがに交際時期を重複させるのはあなたに不義理極まりないしね」
「いくら庶民魂の染みついた私でもそんな真似したら恥ずかしくて人前に出てこられませんよ……!」
二人によれば想いを確かめ合ったのも卒業間近のことだそうだ。それも偶然、打ち明けるつもりのなかった恋心をスグレイドのうたた寝中の寝言から知ってしまったとの話である。
「そ、そうでしたか……」
よぎったのは「だとしたら不実というほど不実でもないのでは?」という考えだった。よく聞く悪評とは違ってキフネ嬢は婚約者のいるスグレイドと一線を越えるつもりはなく、スグレイドも恋慕は胸に埋めるつもりでいたらしい。ただ双方の本心を知った後は止められなくなったそうだ。名高い貴族家の一員なら、秩序の守護者の生徒会なら、それでも理性は保ってくれと思わなくないけれど。
私とて遊びで彼と婚約していたわけではないのだ。二人の未来に真剣だった。それはたとえ愛でなくとも簡単に奪われるべきものではない。
(嫌だな。婚約解消を受け入れようって今決めたばっかりなのに……)
私は静かにかぶりを振る。そんな仕草で何か読み取れたのだろうか。その直後、スグレイドが大きく声を張り上げた。
「蔑んでくれ、ナギサリアン嬢……! 僕は真実の愛に目覚めた大馬鹿者だ! 個人的な愛は必ず特別なものとそうでないものに線を引く! 僕は僕の幸せのためにあなたに対する義務を放り投げたのだ!」
「私こそ! どうぞ断罪してください! ナギサリアン嬢を蹴落とすと承知で会長への気持ちを捨て切れなかった愚か者なんですもの!」
呼応するようにキフネ嬢もそう叫び、二人はがばりと身を伏せた。公爵令息と侯爵令嬢のダブル土下座に大広間のざわめきは増す一方だ。
ふう、と私は嘆息する。ひょっとしてこれは私に婚約解消を認めさせるための大芝居ではなかろうか。これだけ騒げば拒否した際に非難されるのは私だし。
浮かんだ穿った憶測を振り払う。指先の震えを見ればすぐにわかった。二人は真剣に詫びていて、そこにはどんな打算もないと。
(人間同士の関係において最も重要なのは信頼。事情はどうあれスグレイドは私を裏切りキフネ嬢に走った。……だけど人生には信頼だけあればいいというものじゃないわ)
自分たちで不誠実の対価を支払うというのなら、二人を動かした愛とやらを認めるのはやぶさかでない。負債のすべてをこちらに押しつけてくるようなら断固彼らに抗しただろうが。
「わかりました。お望み通りに致しましょう」
私は銀と薄紅を見下ろす。
「婚約解消には応じます。しかしけじめはきっちりつけていただきますよ」
そう告げると低く頭を垂れたままの二人に起立を促した。
取った構えは振りかぶった平手のポーズだ。一方的なそちらの都合で婚約を反故にするのならどつかれる覚悟くらいはあるのだろうなと暗に問う。
意を察したスグレイドは土下座をやめて立ち上がると自ら頬を差し出した。その隣ではキフネ嬢が同じく直立不動で唇を結んでいる。後ろ手に腕を回しているのは「抵抗しない」の意思表示だろう。
「あらかじめ申しておきますが、私はグーで殴るつもりです。いくら女の力とは言え歯が折れて顔の形が変わることも有り得ますが、よろしいですか?」
将来を約束した男、五年間婚約者として交際した相手を横から攫われるのだ。賠償はなされるだろうがその前に自分の心の清算をしておきたい。
私は二人の想いの丈を測るべく今一度彼らの双眸を見つめた。
「僕がキフネ嬢の代わりに二発うけたまわってもいいか?」
「いいえ。それでは私の気が収まりません。キフネ嬢にも一発ぶたれていただきます。愛らしい顔に傷がついたら価値が下がるとお思いですか?」
「いや、そんなことはない。むしろ僕らには勲章になるかもな」
私は平手を握り込む。そのまま隣に視線をやるとキフネ嬢の言を待った。
「……構いませんわ。私はナギサリアン嬢にそれだけの罪をしでかしたのです。自分の受ける痛みにばかり気を取られてナギサリアン嬢の歩んだ五年の重みを軽んじては償いにならないでしょう」
私はふっと微笑する。出会う順番が逆なら良かった。彼女がスグレイドと先に婚約していたら、その後に私が友人になったなら、三人で素晴らしい学生生活を謳歌できていただろう。きっと何のわだかまりもなく。
「ならば遠慮なく参ります……!」
私は拳を思いきり前へ打ち出す。風を切り、スグレイドの鼻先に向けて。
彼はぎゅっと瞼を閉じたが逃げも隠れもしなかった。私のよく知る彼らしく。
「…………ッ?」
いつまでも来ない衝撃に疑問を抱いてスグレイドがそろりと青い目を開ける。私は握った拳を開き、婚約式の日に貰った指輪をぽとりと落下させた。
「お返しします。──さようなら、スグレイド卿」
床に転げた小さなリングを元婚約者が拾うのを見て私はくるりと踵を返す。暴力で解決する気など更々なかった。二人の心を知れたなら十分だ。
「お待ちください!」
と、静まり返った大広間にキフネ嬢の声が響く。
「どうかわたくしに罪滅ぼしをさせてください! ナギサリアン嬢の婚約者を奪う代わりに家柄や行いのしっかりした男性を四名ほどご紹介させていただく用意があって……」
ああ、と私は合点した。これほど高貴な精神を持つキフネ嬢にどうして複数の男と不要な交流をしているなんて噂が流れるのか不思議に思っていたのだが、今日このときのためだったのか。
「結構ですよ。自分の伴侶くらい自分で見つけられますから」
お幸せにと呟いて今度こそ私はホールを踏み出す。固唾を飲んだ学生たちが見守る中を。
と、誰かの始めた拍手が静寂を打ち破った。それに釣られて凄まじい大喝采が巻き起こる。
「ナギサリアン嬢!」
「ナギサリアン嬢!」
「さすが『法学と倫理』のレポートで年間最優秀賞を獲った令嬢だ!」
「オーオカ判事も真っ青の名裁きでしたわ!」
まったく現金な学生たちだ。騒ぎの当初はオイオイオイ死ぬわアイツという顔で全員こちらを見ていたくせに。
だがまあ気分は悪くない。結婚相手を失いはしたが、友人ならおそらく増えるはずだから。
婚約破棄されましたが断罪するのはどうやらこちらのようですね(完)