第1話
学園のエントランスで王子にセレーナは言い放った。
「シアン王子!貴方との婚約を破棄させていただきます!!」
要は逆断罪イベントである。
「な、何故だ?!セレーナ?!」
「王子は私でなくレミ・リスを愛しました!私の元には証拠も証言者もいます!よって、婚約破棄させていただきます!!」
「そ、それは……」
「言い訳は無用!では、ごきげんよう!!」
「セレーナ!待ってくれ!セレーナ!!」
スッキリした。今まで見て見ぬフリをしてきたが、もう我慢の限界である。私、セレーナ・アメリはこの乙女ゲーム世界の悪役令嬢である。本来ならば断罪される側なのだが、断罪される前にこちらが断罪することに成功したのだ。この世界が乙女ゲームの世界だと知ったのは1年前、このゲームの舞台の魔法学園の門をくぐった時だった。どこかでみた風景をみた瞬間前世の記憶が戻った。私は前世普通の乙女ゲームおたくだった。そしてこのゲームをプレイし終わった日に死亡した。なんて事のない交通事故だ。
「さて、これからどうしようかしら?」
セレーナは荷物をまとめて実家へと帰ろうしていた。そんな時、偶然彼女は出会ってしまう。道端に倒れたやせ細った少年を。
「止めて!」
ひひーんっと馬は鳴いて止まった。セレーナは迷わずに馬車から降りる。
「大丈夫?乗って。」
セレーナは少年を馬車にのせた。
「あ、あの、ぼく、」
「大丈夫!これを食べて!」
そう言って渡されたサンドイッチを差し出した。
「え?!」
「さ、どうぞ!」
「ありがとうございます!」
少年は涙を流して貪り食らうように夢中で食べた。それをみたセレーナは心から喜んだ。そしてこれからの事を決めた。しばらくして屋敷へと馬車はつく。
「じいや、この子をお風呂へ」
「!…はい、かしこまりました。」
屋敷に着くとじいやは驚いた様子だったが彼をお風呂へと連れて行ってくれた。
☆☆☆☆
セレーナは屋敷の父の書斎でこれからの事を話し合った。
「これからどうするか考えているのか?」
「はい!決めました!私、孤児院を作ろうと思います!」
「孤児院?何故?」
「今日、家なき子を拾いました。彼はやせ細っていた。そんなか彼にサンドイッチをあげると喜んで食べてくれました。そして決めたのです。そんな子供達を助けてあげたいと。」
「なるほど。分かった手配しよう。学園にはもう戻らないのだな?」
「はい。戻りませんわ。」
☆☆☆☆
セレーナが父の書斎からでるとさっきの少年が見違えた姿でいた。
「あ、あの、ありがとう、ございます。」
「いえ、元気になったようでなによりですわ。」
「あの、何か手伝える事はないでしょうか?お礼がしたくて…」
「お礼なんて……あ、では、1ついいかしら?」
「はい!なんなりと!」
「一緒に孤児院を、作ってほしいの!」
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