後日談 俺様皇太子の独り言
私は皇太子である自分に擦り寄ってくる女たちに、ウンザリしていた。
エルメのこともベッドの上で強烈な一撃を食らうまでは、ただのつまらない政略結婚の相手にすぎないと思っていた。それなのに彼女はいきなり“前世がどう”とか言い出し、別の誰かが乗り移ったかのように豹変した。
最初こそ、実はじゃじゃ馬だった彼女を従わせるのも、楽しい遊びのように考えていた。しかし私の強欲なその考えを、エルメはあっさり変えてしまった。
自分がこんなにも一人の女性に執着するとは、一年前の私なら一ミリも思ってなかった。
そして、彼女はまた私を驚愕させた。
私たちが無事に真の夫婦となってから、しばらくしてエルメが恥じらいもなく“好き”というセリフを私に向けて言うようになったのだ。彼女の透き通った瞳が、そのセリフが嘘偽りなく真実だと語っていた。そしてつい先日、彼女が聞いてきた。
『私が暴れ馬じゃなくなって、嫌になった?真実の契約交わして、後悔してる?』
そんなことあるか。どんな彼女でも愛する自信があるのだから・・・私が「そんなこと冗談でも言うな」と言うと、彼女は安堵した表情で笑った。
強気でじゃじゃ馬だったエルメから正反対に甘くなった彼女を、昔の私ならバッサリ切り捨てただろうが、彼女に溺れてしまってる今の自分はそんな彼女も悪くないと思っていた。いや、寧ろいい・・・最高と言っても過言ではないくらい、今の彼女を好んでいる。
他に人がいる時のエルメは、立派に皇太子妃としてその役割をこなしている。ただ彼女は気付いていないが、そんな時もその愛くるしい瞳から、私への愛がダダ漏れてることは秘密だ。
私と二人きりの時にだけ見みせる彼女の表情。私にだけ向けられる言葉。私への愛を囁く心地いい声。そして、ベッドの上だけで見せる恥じらい。そんな彼女がたまらなく愛しい。彼女をずっと見ていられる。ずっとキスをしていたい。その滑らかな肌に触れていたい。
彼女のことを考えるだけで、私の心と身体がうずき、彼女を欲する。私のこの渇望を満たすのは、ベッドの上の彼女だけだ。




