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第2話 脳内緊急対策会議

ここはガイアール帝国。

今日、帝国皇太子マリオンと隣国カラマノ王国の王女エルメとの結婚式がつつがなく行われ、国中が祝福ムードに包まれた。そして、マリオンとエルメの初夜の顛末が先程の騒動である。


何故、エルメが夫から逃げ出したのか。それは彼女が、あのタイミングで前世を思い出したからだった。


彼女の前世は、二十歳の大学生。有意義な学生生活を送る傍ら、自分で書き上げた小説をネットに上げていた。


しかしある日、事故で突然人生を終えてしまう。そして次に気付くと、その小説の主人公エルメに転生していたのだ。


エルメは皇太子妃として、ガイアールの隣、カラマノ王国から嫁ぐ。皇太子マリオンとは政略結婚ゆえ、相思相愛とはならず、まるで義務のような会話と営みがエルメを待っていた。

やがて帝国で味方のいないエルメは、マリオンに依存し始める。そんな時に現れたのが、“癒やしの乙女”アリスだ。まるで聖女のような彼女は、マリオンの愛情を一心に受ける。そして、それに嫉妬したエルメが、数々の嫌がらせをアリスに行うのだ。

やがてエルメの悪行がマリオンの耳に入ると、エルメは離婚され、北の最果ての地へ追放幽閉される。そしてアリスはマリオンの妃となり、幸せな人生を送った。一方、エルメの名は、“悪役皇太子妃”として帝国の人々の心に刻まれるという結末だった。


「あー、なんでハッピーエンドにしなかったかなぁ。こんなことなら、皇太子からデレッデレに溺愛されて、幸せになる話にしておけばよかったよぉぉ。もう!本当にどうするのっ!?また二十歳で人生終わるなんて、耐えられない・・・・私の人生、皇太子なんかに詰ませない。今度こそ長生きして、人生楽しむんだからっ!」


エルメは、それから暫く考え込んでいた。頭の中は明日からどうすれば、待ち受けるバッドエンドを回避できるか対策をフル回転で計算していた。


そしてエルメが出した答え。それはマリオンとアリスの恋を応援し、自分は円満離婚で莫大な示談金を手に入れた後、市井で自由気ままに人生エンジョイすることだった。


答えの出たエルメは、微笑むと「まずは夫の理解と協力関係を手に入れないとね」と楽しそうに言う。そして、そのままソファーへ横になると、興奮する心をなだめ眠りについた。

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