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勇者が魔王を救った話  作者: 星野 鯛焼
7/11

7話 私の、初めてを……あなたに……

 こんにちは、続きが出来ました。

 最後まで読んでくれたら嬉しいです。

「……名前、ですか?」

「そう、名前」

 俺は本に囲まれている……本当に本に囲まれている魔王に話しかけていた。

 魔王はまるで毛布に包まれているかのような本の山から顔を出していた。

 魔王は読んでいる本に栞を挟み、ゆっくりと本を閉じた。ちなみに本のタイトルは、「自然な笑顔で楽しい会話が出来る魔導書」である。

「どんだけコミュ障なんだよ……」

「え?こみゅ?」

「い、いや、何でもない……」

 俺は近くの椅子に腰を掛け、魔王に向き直る。

「……正直、お前にとっては余計なお世話かもしれない。でも、せっかくお前っていう存在があるんだ。魔王なんて抽象的なものじゃなくて、しっかりとした名前が欲しくないか?」

 俺がそう言うと魔王は少し考えだす。しばらくすると、迷った顔で3従士の顔を見つめだす。

「……ま、魔王様、嫌だったら嫌って言っていいんですよ?」

「まあ~、一番大事なのは~魔王様ご自身の気持ちですし~」

「……勇者の戯言なので気にしなくても……」

 3従士が各々に答える。魔王はまだ考えがまとまっていないようだ。

「まあ、なんと言うか、そんなに深く考えなくてもいいんだ。ちょっと親睦を深めるためっていう理由だし、別に無理にとは……」

 そう言うと、魔王は俯いてしまった。やっぱり余計なお世話だっただろうか……。

「……ます」

「え?」

 魔王が小さな声で何か言った。俺が良く聞き取れず再度彼女の顔を覗き込むと、ほんの少し魔王の頬が赤く染まっている気もする。

「す、すまん、なんて言ったんだ?」

「お、お願いします!私も……私の名前が欲しいです!!魔王様とかじゃなくて……もっと、友達みたいに呼び合える名前……欲しいです!!」

 魔王は真っ赤な顔でそう言った。

 俺はにやけた顔で3従士のみんなの様子を見る。ドーラは嬉しそうにしている。ケールとネーマが複雑そうな顔をしているが、まあ大丈夫だろう。

「よし、ならさっそく名付けてやる。お前の名前は……」

 俺がちらりと3従士を見る。

「………え?」

「………あら~?」

「………なに?」

「あれ?みなさん、どうしました?私の名前……まだ決まっていないんですか?」

「え、あ、いや!!違うぞ!?」

 今にも泣きだしそうな顔で俺を見つめてくる魔王を見て、慌てて再度3従士に向き直る。

「………」

「………」

「………」

「え!?みんな何も思い浮かばないの!?俺より長く一緒に居るんだよね!?何かないのかよ!!」

 俺が焦ってそう聞くと、みんな俺から視線を外した。

「い、いや、だって……さっきも言ったけど魔王様の名前を決めろって言われても……」

「私達じゃあ~恐れ多いというか~……」

「……ていうか、言い出しっぺの勇者こそ何かないの……?」

「い、いやいや!俺なんかより、お前たちに考えてもらった方が魔王も嬉しいだろうし……」

 そう言いながら魔王を見ると、目をキラキラと輝かせて俺を見ている。

「……ユウ様が、私の名前を決めて下さるんですか?」

「え!?ほんとに俺でいいのかよ!?」

 俺がそう言うと、魔王は頬を赤らめて視線を逸らす。

「いいんです……その……私の、初めてを……あなたに……」

「おいいいい!!??やめろその言い方!!なんかいやらしい言い方に聞こえる!!ケールとネーマが俺を今すぐにでも殺しそうな目をしてるからやめて!!ちゃんと名前決めるからちょっと黙って!!!」

 俺がそう言うと、魔王は相変わらず期待に満ちたまなざしで俺を見つめる。

 ちらちと3従士を見る。

 ドーラはまるで子度を眺めるかのような優しい眼差しで俺を見つめている。

 ネーマは複雑そうな顔をしているが、特に不満は無さそうだ。

 そしてケールは、満面の笑みを浮かべているが、完全に俺に向けて殺意を飛ばしている。するとケールの口がパクパクと動き出した。……なんか言ってる?

『変な名前付けたら引き千切るわよ』

 背中に悪寒が走り、思わず視線を魔王に戻した。確かに口の動きはそう言っていた!!千切るって何を!?何を千切るんだ!!??

 ていうか、変な名前じゃない名前ってなんだ!?正直いつもケールに怒られるから何がダメで何が良いのかよくわかんねえぞ!?女の子らしい名前なら良いのか!?でもそんな名前……。

「……ユウ様、まだですか?」

「ぐっ……」

 俺は頭を再度フル回転させる。

名前……名前……!!魔王様………魔王………ま………あっ。

「……マオ」

「え?」

 俺が呟いた名前に、魔王がきょとんとしている。

「……魔王だから……マオ……とか?」

 俺が冷や汗を流しながらそう言った。3従士……の、主にケールの様子を伺う。

「なんて安直な決め方を……」

「あら~可愛いじゃな~い」

「……本当にちゃんと考えたの……?」

 ドーラ以外には不評なようだが、魔王はどうだろう?俺が魔王に視線を戻すと、魔王は少し俯いていて、顔が見えない

 やっぱり気に入らなかったか?

「……でください」

「……え、何?」

「名前を……呼んでください」

 魔王は俺に真っ直ぐと視線を向ける。俺は吸い込まれそうなほど綺麗な赤い瞳から目が離せなかった。

「ま……マオ」

「……っ!?」

 魔王は段々と頬を赤くしていく。

「も、もう一度……」

「……え、なんで?」

「もう一度!!」

 な、なんなんだよ……。

「マオ」

 俺が彼女を見つめながら名前を呼んだ。

「はい!ユウ様!!」

 彼女は満面の笑みで返事をした。そんなマオを見て、俺は気恥ずかしさで目を逸らしてしまう。

「き、気に入ったんですね、魔王様……」

 ケールは複雑な表情をしていたが、マオの笑みを見たおかげか、ほんの少しだけ笑っているように見えた。

「あら~ケルちゃん違うわよ~、マオ様でしょ~?」

「い、いきなり名前呼びはハードルが高いわよ!!」

「……呼んでくれないんですか?」

 マオが落ち込んだ顔でケールを見つめる。ケールはばつの悪そうな顔をした後に、俺を睨みつけてきた。

「な、なんで俺を睨むんだよ……」

 そうしていると、ドーラがニコニコと笑いながら、ネーマの背中を押してマオの隣に行く。

「マオ様~」

「は、はい!」

「……マオ……様……」

「はい!!」

 ドーラとネーマがマオの名前を呼び、マオはまるで犬が喜んでいるかのようにはしゃいでいる。

 そしてゆっくりとマオはケールに近付いた。

「……ケール」

 じーっとケールを見つめるマオの姿に、耐えきれなくなったケールは口をゆっくりと開いた。

「……マオ様……」

「……っ!ケール!!」

「わっ!?魔王様!?」

 嬉しさのあまりケールに抱き着いたマオに、ケールは照れているのか恥ずかしいのか、頬を染めながら少しだけ喜んでいた。

「ふふっ、出来れば常にマオと呼んでほしい所ですが……ケールには、まだ難しいですかね」

「すみません魔王様……あっ……」

「いいんですよ、ゆっくりで大丈夫です……」

 照れているケールを抱きしめながら、マオは優しく微笑み、つま先立ちでケールの頭を撫でている。そしてマオは、ケールから離れ再度俺に向き直る。

「ユウ様、ありがとうございます……本当に素敵な名前です」

「そ、そうか?ただ魔王を少し変えただけだったんだがな……」

「そんなことないですよ……本当に嬉しいんです……本当に……」

 マオは目を細めて本当に嬉しそうにしている。そんな菅戸を見て、俺は恥ずかしさから目線を逸らしてしまった。

 ああ、本当にこいつは……、

「……可愛いやつだな……」

 俺が思わずつぶやいた言葉は、どうやらマオには聞こえていなかったようだ。

 マオはケールの頭を撫で続けている。ケールは顔に出さないようにしているが、耳や尻尾を見れば喜んでいるのは明白だった。そんなケールを、ドーラとネーマがからかってる。

 こんな楽しそうな姿を見続けるためにも、俺は何としてもマオの頼みをかなえてやらなければいけないのだ。


 最後まで読んでくれてありがとうございました。

 そんなあなたが大好きです。


 今の内に続きを書かないとまた半年ほど更新できなくなる可能性があるので、今焦って書いてます。間に合わなかったらマジでごめんなさい……。

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