10話 出来るわけねえだろ!!??
やあ、意外と早く出せたぜ。
最後まで読んでくれたら嬉しいです。
「お客様には、大変お得な情報がありまして!!」
「ほう」
「私が提案したいプランが、なんと3つもあるんです!!」
「なるほど」
「さあさあ!!この中からお選びください!!」
「拝見しましょう」
何故か無駄にテンションの高いマオが、目の前の机に紙を6枚並べだした。
……6枚?まあ、いいや、とりあえず拝見させていただくことにしよう。
ネーマと別れた後、はっと我に返り、マオの部屋に入った。そして、無駄にテンションの高いマオからの、人間と魔族の仲良し作戦なるプランの提案をされた。今はまさに、マオの考えた提案を確認するという所である。
「……え~っと、殺戮山脈に生息する殺戮ウサギの着ぐるみを着てチラシを配る……」
「はい!!あのトゲトゲしく可愛い殺戮ウサギの着ぐるみを着れば、人間たち達もあまりの可愛さにチラシを受け取ってくれると思うんです!!それに、きっと子供達からもあまりの可愛さに抱きしめてくださいと言ってくれると!!」
「却下」
俺は紙を破り捨てる。
「あああ!?そんなあ!?」
マオは涙目で破かれた紙を見つめる。若干罪悪感が無いわけでは無いが、それでもこれはひどすぎる。
「どう考えたってこんなんで受け取ってくれるとは思えないんだけど……殺戮ウサギって、全然可愛くないぞ……トゲトゲはともかく、顔はクソ怖いし……」
「そんなことありませんよぉ……」
マオは唇を尖らせて視線を下げてしまう。というか、そもそも魔物を嫌っている人間が魔物の着ぐるみを着て歩いているだけで避けられそうな気もする。
俺は気を取り直して2枚目の紙を見る。
「魔王城にカフェを作り、そこに来てもらった人間のお客様と仲良くなる……」
「魔王城って怖いイメージが強いですよね……そこで、ここにおしゃれなカフェを作ることによって、気軽に訪れられるようにするんです!それに、来てもらったお客様に好印象を与えれば、口コミによって更にお客様が……」
「却下」
俺は再度紙を破り捨てる。
「えええ!?これもですか!?」
「当たり前だろ……そもそも、魔王城に来るのだってみんなは恐ろしいんだよ……だから俺一人で向かわせられたんだろ……。それにカフェって言ったって、この魔王城で料理とかできるのスケ山さんとスケ杉さんだけだろ……。アンデット種族が経営してるカフェなんて絶対来ないって……」
「スケ山さんとスケ杉さんが作るコーヒーや紅茶は美味しいのに……」
「それは認めるけども」
確かに、あんな骸骨のなりをしていて、作る料理もお茶菓子も絶品なんだよな。常にカタカタしてるのはめちゃくちゃ気になるけど……。
「そして最後が……、魔王自ら勇者の住んでいる国に堂々と挨拶を……って出来るわけねえだろ!!??」
俺は最後の紙も破り捨てる。再度マオは涙目で「あああ……」と叫んでいたが気にしない事にする。
「自称勇者の俺が魔王城に攻めたくないって言っても聞いてくれないような国が、魔王直接来たなんて知ったら、総攻撃を仕掛けてくるだけに決まってんだろうが……」
「……あう」
しょんぼりと落ち込んでしまったマオに若干の罪悪感を覚えつつ、なぜか多かった残りの3枚に目を向ける。
[人間なんて所詮弱い生き物。恐怖で従えさせるのが一番作戦]
[お姉さんの誘惑力を利用してとりあえず男性から篭絡して以降作戦]
[愚かな人間はさっさと滅ぼしてしまおう作戦]
「……この3枚って、まさかとは思うけど……」
「ああそちらは、私だけの意見だけだとどうかと思ったので、3従士の皆さんにも意見を募ってみたんですよ。内容は直接ユウ様に見てもらおうと思っていましたが、いかがでしたか?」
「ダメに決まってんだろ!?ていうか人間と仲よくしようって意見を募って、3人のうち二人が物騒な考えしかしてないし!!」
おそらく……というかどう考えても残りの案はドーラの者だと思われるが、こんなことで仲良くなった所で根本的な解決には至らない。だが、案自体は悪くない。あとでどんな風に誘惑しようとしたのか、本人に俺を実験台にしてやってもらうとしよう。
そう考えていると、マオは机に顔を埋めてしまった。
「……やはり、私ではだめなのでしょうか……」
「………」
予想以上に落ち込んでいるマオを見ながら、俺は再度考え直す。
そもそも、俺は大した案を持っていないし、それでもマオは俺の為を思って案を出してくれたのだ。いくら何でもこんな反応の仕方はひどかったかもしれない。
「……悪かったよ、俺も言い過ぎた……まあでも、ある意味最後の案が最終手段になりそうな気もするし、案外やりようによっては無駄じゃないとは思うけど……」
「ほ、本当ですか!?」
俺の前に顔をずいっと突き出してくる。キラキラと光る赤い瞳を見ながら、なんとなく照れ臭くなり俺は視線を逸らしてしまった。
「ど、どうして目を逸らすんですか?やっぱり、私の案じゃダメでしょうか……」
「ち、違う、そうじゃない……いいから少し離れてくれ……」
「……?はい……」
マオはきょとんとしながらしっかりと椅子に座りなおした。
何故だろうか、自分自身でも俺は女性が好きだと分かっているし、セクハラ的な発言も行動もなんでもござれ……と、思っているのだが、なぜかマオの前ではそういうことをする気持ちにならないし、むしろなんとも照れ臭いという変な気持ちになる。
「と、とにかく、まずはこの3つ目の案で進めるようにしていこう」
俺は場をごまかすように話を続けると、マオは笑顔になる。
「はい!!……ですが、具体的にどのような計画で進めていきましょうか?」
「………」
俺はその質問に対して、返答が出来ずに脂汗を掻く。段々とマオの顔が不安で一杯といった顔に変わっていく。
「……特にアイディアは出ない感じでしょうか?」
「すまん、さっぱりだ」
俺は大きな声でそう返答した。マオは分かりやすく肩を落とした。
「そうですね、そうそう良い案も出ないとは思いますが……」
「とりあえず言えることは、マオ達が考えている人間達と仲よくしよう大作戦は、タイムリミットがあるってことぐらいだな」
俺がそう言うと、マオは首を傾げる。
「……期間があるのですか?それはまたどうして……」
「俺が魔王城に来てから、今日で何日目だ?」
俺がそう言うと、マオは少し考え、俺の目を見る。
「3日目ですね」
「俺は国を出発して、魔王城に来るのに約1週間かかった……城にある書物を見た時、過去の勇者が魔王討伐に旅立ち、魔王討伐を完了するのにかかる期間は、大体一年ぐらいだったんだ」
「なるほどです……しかし、それにどんな関係が?」
「……俺の国には、俺みたいな勇者なんかより、何倍も強い聖騎士も魔術師もいる。俺が魔王城に向かう道中で力を向かったとしても、過去の歴代勇者よりも期間が空いて、魔王討伐の確認がされなかった場合……俺は死んだとみなされると思うんだ」
俺がそう言うと、マオは口元に手を寄せて少し考える。そして、小さな口を開いて発言をした。
「……そこでユウ様が国に帰られないならば、他の騎士や軍が攻めてくるという事ですか?」
「……まあ、恐らくは……」
勇者というのは、存在がなくなれば新たに誕生するものだという話もある。だが、その誕生まで国が待っている保証もない。俺が居なくなったと知って、国が強硬手段に踏み切る恐れもある。
「もし、国の軍勢が攻めてくれば、もう話し合いの余地もない。本当に魔族と人間の戦争が始まるぞ」
俺がそう言うと、マオは顔を青ざめている。そりゃそうかもしれない。俺だって戦争なんてしたくない。誰かが傷付くのも死ぬのだってご勘弁だ。
……何より、せっかく少しづつ仲良くなれてきたこいつらと争う事なんて、絶対にしたくもない。
「まあ、そうならないように期限以内に何とかできるよう努力するだけだ。最悪は、俺が単身で国に帰って時間稼ぎでもなんでもしてみせるよ」
すっかり暗い顔になってしまったマオの頭を撫でながら、俺は笑顔でそんな強がりをして見せる。
マオは少し照れ臭そうにしながら、俺の顔を上目遣いで見てきた。その姿がなんとも愛らしいと思ってしまい、また照れくさくて俺は手を引っ込めて目線を逸らしてしまった。
「そ、そういえば、お前いつの間にか俺が頭を撫でても顔を真っ赤にしなくなったな……」
「あれ?そういえばそうですね……なんででしょうか……」
そう言いながら、マオも目線を下にしたまま俺と目を合わせないまま、発言を続けた。
「……もしかしたら、私にとってユウ様は、気が許せる人になって来たのかもしれませんね」
そんな発言をしたマオは照れ臭そうに目線を逸らしていた。
お互いなんとも言えない雰囲気になり、いたたまれないと思っていた時、扉の向こうから何かが聞こえてきたような気がした。
俺が扉を見て、耳を澄ませる。
「え、え、今なんて言ったの魔王様……」
「……勇者の事、気が許せる人だって……」
「あら~、ラブラブね~!」
「……ちょ、ちょっと、押さないでよドーラ!苦しいのよあんたの身体で!!」
「あら~、お姉さんの胸が大きいせいかしら~」
「……ドーラ、喧嘩売ってる……?」
「何怒ってるのよネマちゃ~ん?」
「怒りたくもなるでしょ……ネーマはあんたと違ってぺったんこなんだから」
「……ケール、あなたが一番喧嘩売ってるんじゃないのかしら……?」
ちょっとまて、丸聞こえだ。
あいつら扉の向こうで聞き耳立ててやがる。
「……そういえば、今日のケールのパンツは黒だったよな」
「何余計なこと言ってんのよこの変態!!??」
俺の発言に怒りを露わにしたケールが勢いよく扉を開けた。扉に完全に体重を掛けていたのだろう、ネーマはその場に倒れこんでしまう。
「……痛い……」
「あ、あ、あんたね、魔王様の前でなんてことを……」
「あら~ばれてたのね~」
そんな3従士を見て、魔王は一瞬きょとんとした後、段々と顔を真っ赤にしていく。
「も、もしかして、皆さん今の会話を聞いていたんですか?」
「え、えっと……」
ケールがはっとして、バツの悪そうな顔をしながら目線を逸らす。
ネーマは我関せずという顔をしながら、ローブを深くかぶりなおした。
ドーラは変わらずほほえましい顔で俺たちの事を見てる。
「あ、ああ、あう……」
そんな様子を見ていたマオは、気が付けばゆでだこ状態になっており、フラフラとその場に座り込んでしまった。
「……全然変わってない……」
まあ、まだ魔王城に来てから3日しかたっていないんだからこんなものかと、改めて不安な気持ちを抱えながらマオをベットに運ぶことにした。
最後まで読んでくれてありがとうございました。
そんなあなたが大好きです。
とにかくお話を作り上げる事に集中したので、結構打鍵ミスなどがあると思います。
何か気になった方は教えてくれると幸いです。




