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ヘンタイノニチジョウ  作者: 怠惰な猫
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~上海での日常~①

僕の処女作なのでどうか勘弁してください

僕は中山公園で彼に会う約束をした。午後九時、寮からこっそり抜け(運良く一回に住んでいたので窓から逃げだした。)長寿駅へ向かって足を進めた。7号線に乗り静安寺駅で2号線に乗り換え中山公園駅に着いた頃には9時半を過ぎていた。帰ろうかなー。そして彼との待ち合わせ場所、すなわち龍之夢購物公園へ向かった。せっかくだからこずかい貰えないかな。などといやらしい事を考えているところ。

「やあ、少年ここだぞ。」と彼が僕に声をかけた。何時もの様にようきだな、あれ目が・・・ああ、やっちゃたんだな。

「やあ、青年、失礼お久しぶりです。」と僕は応えた。

「いやー、みるみると大きくなっていくね、俺もその頃に戻りたいよ、あゝ、そういえばこの年齢だとそうだね、人生で最も愚鈍で愚劣で愚直で愚昧な年ごろだったな、はっはー、いやはや毎日毎日愚考を、愚行を繰り広げていたな。」と彼は言った。いや、八つ当たりしないでよ。僕は何だよ、藁人形じゃないだぞ。

「皮肉を言わないでくださいよ、困りますね。全くもって困ります。」そう僕は彼に応えたが君が人の事をよく言えるねと言い返され、少しの間沈黙した。

「そういえば『見送りに来てくれないか』って送ってきましたけど、あれは一体全体どういう意味ですかい。暇でしたからわざわざここまで来ましたけど」と、僕は聞いた。そう、僕は何の意味もなくただただ暇つぶしで彼に付き合っているのだ。安保高校生、安保大学生の様に無為に無意味にただただ彼についていったのだ。いや、安保高校生、安保大学生に失礼

ではないか。まあいいか僕には何も関係ないからな。

「後でわかるさ。そういえば晩飯は食ったかい、少年」

「はい、寮というか学校の不味い飯をね」と僕は応えたのを聞き彼は歩き出した。どこへ行くのですかと聞けば彼は浦東の上海中心だよと答えた。建設中ではないのか、もしかしてそのような趣味があるのか。それから中山公園駅に戻り2号線で陸家嘴駅まで行った。地下鉄では僕は僕で本を読み。彼は彼でスマホを使い音楽を聴いていた。上海中心に着いた頃には僕たちの会話は再開した。

「君は何故こうも愚鈍なふりをしているのだい、政治家になることを進めるよ。どうせ分かっているのだろ。」

「興味ないですよ。貴方が何をしようが、ただし僕に害があるのならば話は別ですけどね。」

「少なくとも君に悪影響はあるだろうね。」僕はそれをどうとも思わなかった。

「で、どうしたのですかい、振られたのですか、事業にしっぱいしたのですか、投資にしっぱいしたのですか、それともリストラに会ったのですかい。」と適当に言った。

「おいおい、少年よ、適当に言わないでくれ。そもそも俺に女なんていない、投資はむしろリーマンショックのおかげで儲かっている、ましてやバブルに突入この国でリストラなんて行われないよ。ていうか止めないのかい、目の前に自殺をしようとしている人がいるのに。クールだね。あー、痛い、痛い。」流石にムカつくな。

「別に止めませんよ、僕はクールではありません、素直なだけです。ひねくれ者のくせにね、皮肉な物ですよ。例えば中央線で人身事故が起きても『あゝ、またいつものかよ、面倒だな、よし先生(もしくは上司)に連絡を入れるか。あゝ、憂鬱だな。』としか思いませんよ。後、僕にはというか第三者、いやこの場合第二者にも止める権利なんてありませんよ、貴方がどう思うかで変わりますよ。本音を言えば僕はそのような綺麗事だけを並べた戯言なんて嫌いですからね。」

「少しはそういう人に気を遣えよ。というか君は嘘つきだろ、詭道主義だろ。あゝ、知っているかい『詭道主義』なんて言葉。」と、彼は悪態をついた。多分、中高生の頃僕と同じだったのだろうな、まあいいや。全く困った人は、だから・・・

「だから、何だい、何がいいたい。」こわっ。うわっ、凄い含み笑顔だ。目が死んでいるのか全く笑っていない、なんでこんなやつに会おうとしたん僕は。まれであれだ、年齢と体重を聞かれた女性のようだ。

「いいえ、何でもありませんよ。空耳ですよ。」つい口走ってしまった。まったく、まったく。

「あゝ、そうだ貴方は慰めのお言葉が聞きたいのですか。はいはい、分かりましたよ。可哀そうですね。分かりましたよ。辛いですね、一介の中学生にはわかりませんが。ああでも、最近の中高生は自ら躁鬱だとか統合失調症患者ぶっていますからそれと似たようなものですかね。困った、困った。」と悪意をたっぷり込めて言った。どんな顔をするのかな。

「おいおい、酷いことを言うね、最近の若人はみんなそうなのかい。」おい。

「貴方には言われたくないですよ。というか貴方も若人でしょ。」全くもって、面倒くさい。

「そうだ、そういえば交通量はどれくらいだ、払ってやるよ。」おやおや、それはうれしい。

「では、お言葉に甘えて・・・そうですねざっと計算して14元です。」嘘だ、本当は12元で済んでいる、2元は小ずかいにしておこう。そして、僕たちは工事現場の中に入った。僕たちは歩いて、歩いて、歩いて、上って、上って、上ってただそれだけを繰り返した。五階上って休憩して、五階上って休憩して、五階上って休憩して、それもまた繰り返した二十階目に上ったころには彼はこう僕に聞いた。

「君は、君自身は平凡で凡才な凡人をどう思う。」と彼は僕に問いかけた。

「どういう意味ですか。」そう僕は彼に問いかけた。

「いや、君は知っているだろ、見てきただろ、目の前で友人がいじめられている姿を。君が凡人に対してのひねくれた感想もしくはひねくれた意見を聞きたいのだよ。俺の最期の知的好奇心を満たしたいのだよ、だから聞かせておくれ。」

「・・・」

「君は、君自身は己の事を変態で、変人で、奇人であることであると自負しているだろ。」

「はい。」何だい、とうとう狂ったのか、このダメ大人は。

「僕は凡人の事を臆病で、卑劣で、愚劣で、愚直で、性根が腐っていて、非合理で、うぬぼれで、有頂天で、色んな事をこじつけて、逃げ足の速い負け犬で、全てが全て中途半端、美点も欠点も、長所も短所も全てが全て中途半端だと思いますよ。」何故と彼は聴き返した。

「貴方だって分かっているのでしょう、分かっているから、理解しているから『いじめ』なんて言ったでしょ。貴方は本当に性根が腐っていますね。」それを聞きかれは大いに笑った、まるで僕を笑い彼自身を笑いそして全てを笑っているように見えた。その姿はあまりに不気味で狂気を感じさせられた。うん、多分

「では、君はそういう凡人の事が嫌いかい。」

「ええ、嫌いですよ。僕は以前までは無関心を貫いてきましたよ、あ、違いますよ、別に無視してお高く留まって居たわけではないですよ。まあ確かに一時期はそうして過ごしていましたけどね。ですが僕の友人の姿を見るだけで人をいじめる凡人を強力な力を持っている人に媚びを売る凡人が憎いです。貴方だってそうでしょ。憎くて、憎くて、憎くて仕方がない。」それを聞き彼は首肯した。

「なんでも人のせいにする凡人が嫌いです。己の事を賢いと己惚れる凡人が嫌いです。人に八つ当たりする凡人が嫌いです。ケツの穴を舐め、靴を舐める凡人が憎くて、憎くて仕方がない。」それを聴き彼はそう答えた

「では君はそんな凡人で埋め尽くされた世界をどう思うのだい。」絶望しています、憎悪しています、嫌悪しています。と即答した、すべてが本音だ、僕は凡人が吐くほど、いいやしぬほど憎い。

「じゃあ一緒に来ないか、いやこの場合は一緒に行こうかい。一緒に終わらせようじゃないか、こんな理不尽で不条理に埋め尽くされた世界では俺たち二人の命なんてちっぽけなものだ、どうだい。」うわ、躁鬱だ、狂っている、狂人だ。

「いいえ、死にませんよ、僕は未だ、僕は貴方と違ってまだ大学にすら行く年齢ではないのですからね。僕には読みたい本や見たいアニメがあるのでね。貴方とは違って好奇心だけは残っているのでね。僕は貴方を見送りに来ただけですよ。」よかった、よかった。そして、ようやく目的の階についたようだ。

「にしてもここで飛び降りるのですか。あまり派手ではありませんな。」

「いいのだよ、少年。せっかくだからさ、賭けを使用ではないか、俺の自殺は新聞に載るか載らないか、どっちに賭ける。君が勝ったら100万元をあげるよ。負けたら君の全財産をおくれ。あゝ、ダメだったね、じゃあそうだ俺の兄貴に言っておくれ一応連絡しておくね」

「そうですね、なら載らないほうに賭けます。」何故と聴かれたので僕はこう答えた、いいやこう答えることしかできない。ていうか本当かよ、100万元って日本円で1600万ではないか。当たってくれ。当たってくれ。当たってくれ。当たってくれ。当たってくれ。当たってくれ。当たってくれ。当たってくれ。当たってくれ。お願いします神様。あゝ、そういえば僕は無神論者だった。・・・アーメン・・・であっているかな。

「だってここですよ、むしろ載らない方に賭けた方が合理的ですよ。」それを聞き彼は成る程と答えた。

「そういえば、貴方は何故僕を呼んだのですか。他にも呼ぶ人がいるでしょ、なのに何故わざわざ僕を。」

「なあに、ただの気まぐれだよ。」成程、納得できないけどどうやら、どうでもいいな。

「じゃあね、さよなら少年。」

「さよなら青年。」そして彼は前に進み飛び降りた。数秒後いやましてや数十秒後に『バン』という鈍い音がした。僕はそれを見ずにそこから立ち去った。全く困ったものだ、僕には害しかないではないか、不快感しかない、ただまあ小説などに出てくる『嘔吐感』や『嫌悪感』はとくにない、うん、どうやら誇張表現のようだ、あゝ、騙され気分だなー。まあいい、都合よく物を運ばせていくか。負けたら2000元が吹っ飛ぶのだよな。帰って遊ぶか。そういう思いで僕は陸家嘴駅へ戻り2号線で静安寺駅に戻り7号線に乗り換え長寿駅で降り寮に戻った。同室にいた他の寮生たちからどこ行ったのだい、と問われたが僕はなるべく辻褄が合うように噓をついた。皆からの質問タイムを終えた後は好きな曲を聞きながら本を読みながらこの一夜を過ごした。


      後日談

あれから三日後、彼の葬式に参加した。今日は平日なので一応学校に連絡をした。良く言えば自主休学ただし悪く言えばサボりだ。勿論この三日間、休憩時間や暇なときにずっと新聞のチェックをしていた。どうやら、100万元は手に入りそうだ、そして2000元は失わずに済みそうだ、いやまあ負けたら不参加でいくつもりだから・・・。あ、いたいた。

「あ、すいません、貴方の弟、李石から・・・」

「あゝ、君か銀行口座を教えてくれ。入金しておくよ。」おお、よかった。どうやら上手くいきそうだ、よし。

「そういえば、君があれかい、私の弟に最後にあった子かい、ふふ、ありがとう少年君が止めていれば僕の受け取る金がへっていたさ。君のおかげで100万なんて紙屑と同じ感覚さ。くく、あと数年で数十億だ、くく、」

「なら、あと少し僕にわけてくだせえや、旦那。」

「やだね。」おい、ひどいな、即答するなよ。

「はいはい、分かりましたよ、旦那。縁が有ればまたいつか。」

「さようなら、少年。」あゝ、むかついたな、まあいいや、帰るか。100万入ったし。何しょうかな、せっかくだしな、今学期が終わったら日本に戻ろうかな、もうここに飽きたし。

それとも日本人学校に転校しようかな、高校は関西の学校に行こうかな。と頭の中で戯言を歌いまわし寮に戻った。


まだ正午くらいか・・・本でも読んでみんなを待つか、と思った。

                                   完


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