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転送術士候補生II  作者: よのもり せいう
23/24

その23 第5支部にて(Part. H)


「どうですっ(ㆁᴗㆁ✿)♪」


「いいじゃないか(ˊᗜˋ*)!」


「え~、いいなあ~(≧◡≦)!!」


第5支部に帰ってきて数日後のこと。

この日私達は、思い出話に花を咲かせながら、お土産のお渡し会を楽しんでいた。


支部長には清楚なブローチを、オリヅル先輩には可愛いピアスを贈った。

お世話になっているから、アルバイト代から結構奮発しちゃいました。


そうして今、私の手には、柄に天球儀石を嵌めてもらった杖!

魔力の相性もばっちりで、転送術もかなり使いやすくなったのが分かる。

ああ、なんて素敵な石なんだろう…(*’’▽’’)


「うるさいやつらじゃのう(・ω・)」


クッションの上には、私達の長話に飽きて、しっぽをパタつかせて丸まるライ君。

と、その風で新聞紙がガサリ、一面に映ったルーシェ様達の写真が揺れる。


記事には、小鳥を肩に載せたルーシェ様が王国の錚々たる勇士達を率いて、死闘の末、邪龍ブロセルニルをやっつけたと大々的に書かれていた。


空前絶後の大功績に、王様は王女様との婚約まで認めちゃったとか。

国の勇者様はもう、未来の王様候補なのだ。


また戦闘には突如として大ムカデが助勢に入り、ブロセルニルの討伐と共に忽然と姿を消した、とも書いてあった。

そんな記事に、ふと失踪中のポケット先生のことを思い出した。


「あ…そういえば支部長、また先生用に何か依頼ってあったりしませんか?」


「またかい!?先生の金銭感覚はどうなってんだ!」


「違います!昨日、なんだか実験用に大きい買い物がしたいって言っていたから…!」


今回は杖のお礼もあったので、先生の名誉を守ってあげよう。

 

「そういうことかい…わかったよ、次の任務も頼んだよ。転送術士候補生!」


「はいっ―!」

 

日の光も真っ盛りな夏の頃。

ドアベルが鉄の響きを部屋に伝え、新たな顧客を迎える音がした。




転送術士候補生II 終



ひとこと事項


・ポケットの失踪

ハーミアの師となる予定であったドアーズ・ポケットは行方不明のままである。

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