その23 第5支部にて(Part. H)
「どうですっ(ㆁᴗㆁ✿)♪」
「いいじゃないか(ˊᗜˋ*)!」
「え~、いいなあ~(≧◡≦)!!」
第5支部に帰ってきて数日後のこと。
この日私達は、思い出話に花を咲かせながら、お土産のお渡し会を楽しんでいた。
支部長には清楚なブローチを、オリヅル先輩には可愛いピアスを贈った。
お世話になっているから、アルバイト代から結構奮発しちゃいました。
そうして今、私の手には、柄に天球儀石を嵌めてもらった杖!
魔力の相性もばっちりで、転送術もかなり使いやすくなったのが分かる。
ああ、なんて素敵な石なんだろう…(*’’▽’’)
「うるさいやつらじゃのう(・ω・)」
クッションの上には、私達の長話に飽きて、しっぽをパタつかせて丸まるライ君。
と、その風で新聞紙がガサリ、一面に映ったルーシェ様達の写真が揺れる。
記事には、小鳥を肩に載せたルーシェ様が王国の錚々たる勇士達を率いて、死闘の末、邪龍ブロセルニルをやっつけたと大々的に書かれていた。
空前絶後の大功績に、王様は王女様との婚約まで認めちゃったとか。
国の勇者様はもう、未来の王様候補なのだ。
また戦闘には突如として大ムカデが助勢に入り、ブロセルニルの討伐と共に忽然と姿を消した、とも書いてあった。
そんな記事に、ふと失踪中のポケット先生のことを思い出した。
「あ…そういえば支部長、また先生用に何か依頼ってあったりしませんか?」
「またかい!?先生の金銭感覚はどうなってんだ!」
「違います!昨日、なんだか実験用に大きい買い物がしたいって言っていたから…!」
今回は杖のお礼もあったので、先生の名誉を守ってあげよう。
「そういうことかい…わかったよ、次の任務も頼んだよ。転送術士候補生!」
「はいっ―!」
日の光も真っ盛りな夏の頃。
ドアベルが鉄の響きを部屋に伝え、新たな顧客を迎える音がした。
転送術士候補生II 終
ひとこと事項
・ポケットの失踪
ハーミアの師となる予定であったドアーズ・ポケットは行方不明のままである。




