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転送術士候補生II  作者: よのもり せいう
18/24

その18 出来うること(Part.D)


「流石…カオス級の実力であった。」


ガイア級の魔物が、やれやれと頭を振る。


カオス級とは、特筆すべき伝承を残した魔物の個体が属する等級である。

中には逃げ足の速さや、出会うと人に幸運をもたらす等、戦闘能力に関しない曰くで伝承となったような魔物もいるが、大抵は多くの人命を奪ったような畏怖すべき逸話を持っている。邪龍ブロセルニルも、カオス級の魔物である。


「…ブロセルニルがあなた達の里を襲ったのは、己がプライドを満足させるためでした。」


緊張の一瞬。

当時、スタンピード族とドラゴン族は、覇を競って一触即発の事態にあった。


お互いに最強種と豪語する一族の、どちらが先に煽り出したのかは分からない。

ただ、気がつけば両陣営は、互いに引くことのできない部分までプライドを傷つけあってしまっていた。


そのようなスタンピード族を気に食わないと、急襲によって一気に平定してしまったのが、ブロセルニルという当時の若き龍。彼は好戦派の龍族の英雄となり、何もしなかった穏健派は影を潜めざるを得なかった。


とはいえその横暴な性格と、続く様々な悪業から、結局は好戦派からも厄介者扱いされているのが、今のブロセルニルの立ち位置である。


「…目の前で…眷属は皆、邪龍に殺された。」


重い一言が降りかかる。

私には、この言葉に返す言葉も、その権利もない。


「だが今の我は、落魄した魂の残滓。あるものは、あの邪龍への復讐心のみ。幾星霜を重ね、それ以外の龍への感情なぞは、草露に雪いでしまったさ。」


しかし、驚くべきことにダウゼンは以降の感情を飲み込んだ。


繁栄する仇敵の一族を前に、数百年の積年の恨みは、深くないはずがない。

彼はこのとき、私の中で畏敬の対象となった。




その18 終

ひとこと事項


・ガイア級とカオス級

ガイア級は大きさによって、カオス級は認知度によって決まる。ガイア級の魔物は“同種の魔物の中で最も強大”を表す称号であり、カオス級は、“同種の魔物の中で特別に有名”表す称号らしい。


例えばスライムの中でも最も巨大な種は“ガイアスライム”となり、人々に特別な名で恐れられる“夜泣きのファロー”というスライムはカオス級となる。




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