その12 作戦(Part. D)
「それでは今日はお疲れ様でした。」
「お疲れ様でした。おやすみなさい…」
自由時間の後、皆で宿に戻って夕食を取れば、そこに瞼の重い少女の姿。
長距離の転移に初めての街の散策の一日を過ごせば、こうなるのも頷ける。
彼女用の個室へ背中を送れば、食堂にはルーシェとライトが残った。
「ルーシェ君は、もう少ししたら夜間警備に出ましょう。ライトはハーミアさんの護衛を頼みましたよ。」
「よろしくお願いします!」
「…うむ。」
今後の行動の確認を取った後、食後の空になったテーブルで作戦会議を始める。
「さて…今夜はまず、夜間警備の雰囲気を掴むと共に、鉱山の地形の把握をします。そしてできれば…ターゲットのいる位置を確認します。」
ターゲットとは、もちろんガイアスタンピードのことである。
「発見したら…どうします?」
「目標物を頂きましょう。」
「えっ、でもそれでは…!?」
「大丈夫、現状“いないことになっている”相手を探せば良いんですよ。」
「―っ!!」
一瞬驚きの表情を見せたルーシェは、私の職業を忘れていた、と微笑んだ。
納得した彼は、武器の手入れをしてくると言ってもう一部屋に戻る。
最後に残ったのは、私とライト。
「さて、我々も部屋に戻りましょうか。」
そう言うと、彼は少し思案していたようだったので、待ってみる。
すると一言、ちょっと頼みがある、と言った。
その12 終
ひとこと事項
・ゴルトシュタットの宿
ハーミアとライト、ルーシェ、ディアス用の3室を連泊で取っている。食事は主にジャガイモを使った料理とスープ、パン、ワインなど。




