その10 宝石通り(Part. H)
「素敵な通り…(*’’▽’’)」
宝飾店が並ぶこの通りは、ゴルトシュタットでも有名な観光スポットだった。
一度は行くべきだと、こっそり持ってきた観光案内にも載っているこの場所に、到着初日から、しかも皆で一緒に来られたことが、すごく嬉しかった。
各々のお店は、そのセンスに従って、キラキラした宇宙をその内側に広げている。
中には貴族用かな?なんて思える逸品もあって、姿に見惚れ、値段に驚いていると、紳士淑女の皆様もそれを話題に甘く囁き合っているのが聞こえてきた。
そっか、ここは観光地でもあるけれど、デートスポットでもあったんだ…!
隣に勇者様がいることを思い出して、ちょっと胸がどきりとする。
でも彼をみれば、遠く渡したい相手のことを考えているのがよく分かる。
なんだかそのとき、すぅっと心が落ち着くような心地がした。
「ここの商品は…僕でも買えるでしょうか?」
「あっ!都市への輸送費がない分、ここのお品物は王都で買うより数段お値打ちで品数も豊富って書いてありましたよ!それに…」
「…?」
「えっと、贈り物って、探してくれたっていう気持ちが何より嬉しいものかなあ、なんて…(^^♪」
慌てて観光案内を盾に照れ笑いすれば、彼も満足そうに笑って、お礼を言われる。
この本…熟読しておいてよかった!!
「この通りは安全そうですし…少し、自由行動にしましょうか?」
勇者様の様子に気が付いて、ディアス先生が良い提案をしてくれる。
賛成!と応援すれば、先生は困ったように、くすくす笑った。
「では半刻ほど…。ハーミアさんはライトから離れないように。」
「は~い!」
夕闇時の知らない街の、ちょっとの間の自由時間。
わくわくするようなその貴重な時間を、ライ君を抱いて歩き出した。
その10 終
ひとこと事項
・ゴルトシュタットの人気観光ランキング
1位:鉱山見学ツアー:鉱夫の仕事に関わるガイドもつく
2位:宝石通り:宝飾店の並ぶ宝石通りは、観光・デート・お土産に最適
3位:酒場での夕食:鉱夫達が使う酒場で一緒に食事をとり、仲良くなる




