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Door  作者: りくとん
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Door8 初バイトと初仕事

2019年6月 (月曜日)


いつもどうり憂鬱な週の始まりである。やはりどうしても週の始まりはやる気が出ないもんだ。

だが今日は初めて、3人パーティでの大型種の討伐に挑む日なので気合いを入れないとな。

既に小型のモンスターは退治してきたが、3人の連携は取れつつあるので、そろそろ大型に行ってもいいかなと判断した。

リビングに行くと既に花音が朝飯を作っていた。やはり花音は出来た妹である。


「おはよ、花音。」

「おはよう兄さん。凛と母さん起こしてくれますか?」

「あいよ。」


朝の日課の1つ、毎度平日は凛と母さんが一番遅く起きるので花音が朝飯、自分は2人を起こすのが役目となっている。


「母さん朝だぞ。」


母さんの場合、一言声をかけるだけで大抵は起きる。


「ふぁ~~い。」


こんな感じだ。問題は凛である。とにかく寝起きが悪い。何度声をかけても起きないので、無理やり身体を起こしたりしないと必ず二度寝する。今日は違う起こし方をしてみよ。


「凛起きろ。朝だぞ。」

「ん~まだ無理ぃ。」

「早く起きないと俺もベッドに寝ちまうぞ。」

「はぁい…どぉぞ。」

「こいつ。」


自ら布団を広げてきた。何だコイツ…全っ然聞かねーじゃん!結局いつも通り起こすしかないか。


「バカ言ってないで早く起きろ。」


またいつもみたいに無理やり身体を起こした。

今日は4人揃っての朝飯。

母さんからマリーの話が出た。


「今日からマリーちゃんバイトだから蓮ちゃんも見に来たら。」

「そっか今日からか。なら夜ご飯も食べてくかな。」

「んじゃあ、あにぃ凛もよろしくぅ。」


自分がワックで食べるとなると、もれなく凛も一緒になる。なんせいつも凛の飯は自分が作ってるから。


「あぃよ。学校終わったら校門のとこで待っててくれ。」

「いぃなぁ。放課後に兄さんとデートなんて。凛ずるい。とゆう訳で兄さん、私も行きますね。」


なんか少し狂気じみたオーラが…


「か 花音、部活は大丈夫なのか。」

「兄さんとのデートより大事なんですか、部活って?」


斜め上からくる質問。まぁ言い出したら花音、聞かないしな。


「分かったよ。凛と一緒に待っててくれ。」


だったら花音が凛と一緒に帰って飯作ればと思ったが、言ったら花音が怖いからやめといた。


「んじゃあみんなが来たら、お母さんも休憩にしよっかなぁ。」

「いや、母さんはマリー見てやれよ。」

「あっ、そっか。」


マリーの為に行くんだから、忘れないでくれ。

そして学校に行きながらマリーと話した。


「マリー、今日からバイトだろ。」

「あぁ。少し不安だが蓮の母上もいるし大丈夫だろう。」

「今日は一緒に行くよ。まぁ花音と凛も付いて来るけどな。」

「本当か!ありがとう。」


嬉しそうだな。ただ付いてくだけなんだけど。それを聞いていた健斗が話しかけてきた。


「何かお前の周りはハーレムだな。」

「オォ。確かにそうだわ。もっと羨ましがれ。ホレホレ。」

「何それ、うわぁヤダ⁉︎この人腹立つ!」

「今日旅館の手伝いだっけ?」


愛花が答えた。


「休みだよ。」

「んじゃあみんなでワック行こうぜ。」

「おっ、たまにはいいな。マリーがあの格好するのかぁ。うん、グッジョブだな。」

「あぁ、グッジョブだ。」

「そ そんなに来られると流石に恥ずかしいぞ。」

「まぁまぁ、みんなで行くのも中々無いからいいじゃん。」


愛花になだめられながら学校に着いた。

午後の授業が終わり待ってましたと健斗が声をかけてきた。


「よぉし、行こうぜ。」

「お前さっきまで、ぐったり寝てなかったっけ。」

「いや、お前もな。」


おぉ確かに。

校門の前で凛と花音が待っていた。


「あっ、兄さぁ~ん。」

「あにぃ、遅いよぉ~。」


めっちゃ手振ってる⁉︎あと校門の前でデカイ声で叫ぶな恥ずかしいだろ。周りの目が痛い。

凛と花音2人共、我が妹ながら可愛いので、2人でいるとナンパされたりするらしい。だから余計に目立つ。


「校門の前で騒ぐなって。」

「おっす、花音ちゃん、凛ちゃん。」

「こんにちは、2人共。」

「健斗と愛花も部活休みだから一緒に行くってさ。」

「そうだったんですか。皆さんこんにちは。」

「こんちわっす。」


ワックに向かう途中、自分の両脇には妹達がいた。


「何で2人共、俺にくっついてんだよ。」

「いいじゃん別にぃ。兄妹なんだし。」

「そうですよ。兄妹ですから。」


いや、兄妹ってそんなベタベタしないよな。

それを羨ましそうに後ろから見るマリー。


「仲が良いな。あの兄妹は。」

「ホントだよね。羨ましいなぁ。」

「2人共、俺の両脇空いてるけど。」


華麗にスルーされる健斗だった。


ワックの店内に入りマリーと別れ、それぞれが注文して席に座ると、ウチの高校の女生徒がいた。

何気なく見ていると、ワックのオモチャセットに付いてくるキツネのオモチャを彼女は眺めていた。

あれはこないだマリーにプレゼントしたやつじゃないか。

あのキツネはフォクシーといって、隣の市にはフォクシーパークと言うテーマパークがある程人気である。

てゆうか彼女ずっと見てるぞ。何だが花音と同じ狂気的な感じがするので見なかった事にしよう。


ハンバーガーを食べながらしばらくみんなとワイワイしていると、マリーがワックの制服に着替えてこちらにさりげなく手を振ってたので、みんなで手を振り、自分はアルフレッドに向かう事にした。


「じゃあ母さん、マリーの事頼むよ。」

「まっかせといて!」

「じゃあ頑張ってな、マリー。」

「あぁまた明日。」


店を出て家に帰るとそのままアルフレッドに向かう。


「じゃあ行ってくるな。」

「気をつけてね。兄さん。」

「あにぃ、頑張ってね。」

「あぁ。」


ーーーーーーーーー


そして城下町に着くと2人は待っていた。


「もぉ、遅いよぉ~。」

「い いや、今来たとこだけど。」

「アシュトン気にしないでくれ。いつもこんなだし。」

「そ そうなの?」

「アタシの扱い慣れて来てない?」


とりあえず今日の目的となるモンスターを決める為、ギルドに向かう。

ギルドの掲示板には様々なモンスターの依頼が張り出されており、それを眺めていると良さげなのを見つけた。


「ギーヴルが良いな。」

「ギーヴルってあの蛇だよね。」

「あ、僕も何度か見たことあるよ。」


ギーヴル。蛇竜種

かなりデカイ蛇で体長は大体15mくらいで背中に小さな羽が生えている。なんでも進化の過程で羽が退化したらしく大昔には竜の様に飛んでいたらしい。

今は地を這う蛇だが、大きさの割に意外と俊敏な動きをする。

だがコイツの最も危険なのは、毒を持っている事。この毒は、死に至る程ではないが即効性があり長く続いてしまい、最初は手足の痺れ、その後高熱に何日かうなされる。


「自分は何度か戦ったことあるけど2人はどう?」

「アタシはまだないわ。」

「僕は2回戦った事があるよ。」

「アシュトンはソロで?」

「最初は1回限りで組んだ4人で行って倒したよ。その後、1人で行ったけど無理だったね。」

「そっか。」


3人でやるのは自分も初めてだけど倒せない事はない。なんせ自分1人で倒した事があるから。ただ今回はパーティとしてやるのに意味がある。

パーティを組んだ以上は連携が大事で、それがプラスにもマイナスにもなる。

だからわざわざ1人で倒せるモンスターを選んだ。自分達の連携を確かめる為。

依頼を受け討伐の準備を進める。

まずアリスが前に使っていた罠。

前回とは違い大型用である。次に火薬を詰めた瓶、爆弾である。

そしてギーヴルの注意点を説明しながら生息地となる西の森の奥地に向かう。

外に出るとレインに入れ替わった。


「レインは分かってると思うけど、コイツは身の危険を感じると身体全体から毒を出す。身体をブルブル揺さぶり始めたら必ず離れる事。アリスは初めてだから特に気を付けてくれ。」

「うん、分かった。ギーヴルっていつもはかなりおとなしいよね?」

「そうだね。こっちから仕掛けなければまず何もしてこないよ。」

「何でわざわざおとなしいモンスターを倒す必要があるのかな?ちょっと可哀想な気がするなぁ。」


今の今までそんな事、考えた事が無かった。ハンターはモンスターを狩るのが仕事であり、それが当たり前だ。モンスターは時に人を襲い、恨まれる事もある。アリスだって千年竜に村を焼かれモンスターを恨んでると思っていた。


「可哀想かぁ。アリスはモンスターを嫌ったりしないのか?」

「まぁ千年竜は大っ嫌いだけど全部が全部嫌いって訳じゃないよ。そんなに嫌ったって何か変わる訳じゃないでしょ。」

「そっか。それもそうだな。」


まさか()()()()()()()()()()()

しばらくして森の奥に進むとそこには底の浅い沼地に着いた。アリスは周りを見渡しながら、


「いなくね。」

「いつもはここら辺に居るんだけどなぁ。」

「誰かがもう狩っちまったのか?」

「いや依頼は自分達だけだからそんなはずはないんだけどなぁ。」

「ねぇ、これって…」


アリスが見つけたのは巨大な抜け殻だった。

大体12m位の抜け殻はまだ柔らかく脱皮して間もない感じだった。


「まだ近くにいる。」


レインは経験からか、すぐに上を見て気づいた。

脱皮したてのギーヴルはまだ身体が柔らかい為、鱗が硬くなるまで木の上に身を隠しているのである。


「上だ!」

「アリス!下がれ!」

「わ 分かった。」


アリスを後ろに下げ、すぐさまレインと

武器を構えると、奴もこちらを睨みながらズルズルと、木の上から降りてきた。

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