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Door  作者: りくとん
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Door3 芦屋花音 芦屋凛


不思議なことに2つの世界は割と簡単に行き来できる。向こうに行きたいと思えばドアさえあれば行けるし、逆に帰りたいと思えばドアさえあれば帰れるのである。

だからよくある異世界の話で、向こうの世界に行ったら戻ってくる事が出来ないとか、事故で死んで異世界に転生したとかそういう訳じゃない。

ただ行き来できるのは完全には分かっていないが、強い願いを持つ人に限られるようで誰でも行き来できる訳ではない。

あと向こうに行くには最初に開いたドアでないといけない。まだ謎な部分は多い。


ーーーーーーーーー


家に帰ると2人の妹が待っていた。


「ただいまー。」

「おかえり兄さん。」

「あにぃおかえりー。」


上の妹の花音(かのん)は台所に立って、帰って来た自分の為に夜食を作っていた。

下の妹の凛は相変わらず、ソファでゴロゴロしながら国民的人気のアイドル、小町の動画を見ていた。


「兄さんお疲れ様です。」


いつも帰って来ると花音は労いの言葉をかけて来る。


「あぁ。花音もおかえり。」

「うん、ただいま。ご飯作っておいたから食べて下さいね。」


向こうに行く前に凛と食べたのだが身体を動かすとやはり腹は減ってくる。

因みに2人には自分がハンターをやってることを知っている。

2人は自分が学校から帰って来る時間が一緒だったりするし、向こうから帰って来る時には居るので事情は知っといてもらいたかった。母さんには内緒だが。

花音はそういう事を察して毎日夜食を作ってくれる本当にできた妹だ。

ただ1つの事を除けば…


「ねぇあにぃ、今日は何倒してきたの?」

「ん?今日はでかいイノシシだな。」

「イノシシかぁ、やっぱあにぃともなると一撃ってやつですかね?」

「まぁな、あ~あとパーティ組む事になったわ。」

「まぢで!!男?!女?!どっちどっち?」


めっちゃ顔近いよ。妹だから鬱陶しいだけなんだけどね。


「近いっつうの!俺とタメの女の子だよ。」

「まぢっすか!!どうやって出会ったの?まさかナンパとか?!」

「バッカ!!お前何言って…」


あ まぢヤバイ。後ろから何かすごいオーラを感じる…


「へぇ~兄さん、ナンパしに向こうに行ってきたんですか?」

「いやいやいやいや!!!!そんなことする訳ないだろ!パーティ組んだのは色々と事情があってだなぁぁ 痛たたぁ 痛いっ痛い!!」


ものっ凄い力で脇腹つねられている!

コレはマズい、何とか誤解を解かなくては。


「マジでナンパなんかしてないよ!だからつねるのはやめてくれ!まずわざわざ向こうの危ない世界にナンパしに行かないだろ。」

「ふーん。そこまでゆうならやめときます。けど、兄さん浮気は許しませんよ。兄さんは私の兄さんなんですからね。」


私のは違うと思うぞ。

花音の唯一の欠点、それは極度のブラコンである。


「私のではないだろ。それに浮気以前に兄と妹だから。」

「だからこそです。兄と妹は結婚した夫婦と同格なんです。」


いやおかしいよね。世の中の一般の兄妹とは明らかに違うよね。

まぁ花音がこうなったのは、昔の思い出から来てると思う。

実は凛とは血の繋がった兄妹だが、花音は違う。


花音は母さんの再婚相手の連れ子だった。4年前に亡くなったのは花音のお父さんなのだ。

自分と凛の父は6年前に行方不明になり、今でも何をしてるか分からないロクでもない奴だ。

でも花音の父さんは本当にいい人で、自分と凛を本当の家族として見てくれたし、母さんにも優しかった。

その時は花音もまだブラコンじゃなく、少しよそよそしかった。

だが交通事故で花音の父さんが亡くなった時に、花音は本当に独りぼっちになってしまったと感じていた。

だから自分はあの時心に誓った。何が何でも母さん、凛、そして花音を、家族を守ると。そして泣いてる花音に言った。


「花音、何も心配するな!俺が守る。母さんも凛も花音も俺が幸せにしてやる!絶対だ‼︎」


その後花音は泣きながら、「約束だよ?」と言った。

それ以来花音は、本当の兄妹どころか極度のブラコンになってしまった。


「はぁ~、とにかく俺はナンパなんかしてないし、パーティ組んだのは成り行きなんだよ。あとパーティ組んだからにはこのまま2人でって訳じゃないぞ。」

「んじゃまだ増えるってこと?」

「そうだ。」


パーティは役割分担があって前衛に2人、後衛に2人の4人が1番理想である。まず攻撃を防ぐガード、近距離から攻撃するアタッカー、罠を仕掛けたり傷の応急処置をするサポーター、弓などで遠距離から攻撃する遠距離アタッカー、これがもっとも理想なパーティである。


「そっかぁ。じゃあナンパしまくって女の子あと2人引っかけてハーレムってやつだね。憎いなぁ、あにぃ。」

「へぇ~兄さん、今度はハーレムですか。」


ホントもうやめて…


「でも仲間が増えるのはいいことだと思います。困った時は助け合えるし、何より仲間といた方が楽しいですからね。」

「そうそう。あねぇの言う通りだと思うなぁ。1人でいるより危なくないし。」

「まぁ…そうだな。」


こんなこと言われるとはな。自分はもう少し1人でいたかったんだが、妹達も心配だったんだろうな。

だから最初は、自分がハンターやるって話したら本気で反対されたし、2人は泣いてやめてくれって言われた。


「お願い‼︎もう向こうの世界に行くのはやめて!兄さんがいなくなったら私は…私は…うぅっ…」

「凛だってやだよぉ!あにぃがいなくなったら凛も死ぬぅ‼︎」


あの時の2人は今でも忘れることはない。自分の為にあんなに泣くと思わなかったしこんなに慕ってくれてるなんて、本当にいい妹達である。

だけど自分の意思でハンターをやると決めた。もっと強く、みんなを守れる様にと。その信念は曲げられなかった。

だから2人にはこう言った。


「前に言っただろ、みんなを幸せにするって。そして何より俺は、ハンターをやりたいんだ。もっと強く、みんなを守れる様に。」


2人は渋々だが了解してくれた。

そして約束した。絶対に家に帰ると。


仲間が増えるのはいいことだが、失った時の悲しみは相当なものだ…

それでも仲間が欲しいと心の何処かで思っていたんだろう。

アリスが仲間になって嬉しかったから。

2人には本当のこと話しとかないとな。


「実は今回仲間になった人はな……」


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