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安物

作者: 胡麻油

甘ったるい言葉を浴び続けては

俺はこの程度ではないと言い

戒める言葉を浴び続けては

世間は残酷だなどと平気で宣う


自分勝手だなってすげえ思うんだ


半月が境界線上を掠め

星は弱々しくも

確かにそこに光を残す


誰もいない公園に一人

ベンチに腰を掛け

その月明かりと

真っ暗な夜に響く

鈴虫の音を聞く


音も光も何も無ければ

痛々しい感傷に浸れたというのに

それさえ許されない


まるで自慰行為をしているように

何度も何度も

自分の醜さを反芻している


けたたましいバイクの音

眠らない夜

自分に泥酔している感覚


なんてむごたらしい夜を過ごしているのだろう


自分が嫌いで

誰かに同調してみた

でも

その誰かも嫌いになって

同調をやめたくなった


あっちも違うと。

こっちも違うと。

次第に自分も見失って。


いらないものも

知識も

経験も

欲望も

満ち足りているのに


本当の自分だけは

満ちてくれない


灰に呑まれていく


身体では無いどこかが

ゆっくりと蝕まれている

それを

許容している自分がいる


何かを埋めたくて。

何かを求め

何かに縋り

何かに握りつぶされる


そんな自分が

悔しくて悔しくてしょうがない


指針も無く進む荒野ほど

絶望なものはない


諦める言葉ならたくさん知ってるのに。

傷つける言葉ならたくさん知ってるのに。


誰かを救う言葉も

自分を救う言葉も

知っていたはずなのに。


西の空に月が沈む頃

眠れなかった夜もまた

無理矢理引き摺り起こされる


楽しいはずの日々を

楽しくなさそうに過ごす


きっと明日もこうなのかって。

いつになれば

夜は眠れるのって。


有り余る嘘くさい言葉で

自分を励まし

つまらないお笑いをとって

惚れた腫れたって言って

辛く生きてるフリをする


でもせめてと決めたことは

自分を笑われても

自分だけは

自分を笑わない日々をと

そう願う

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