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壊れた扉と少女の話  作者: 独影
15/18

番外1

少女は、物心ついた時から、壊れた扉のそばにいた。

誰もいない扉と少女だけの世界。

『僕が、君を幸せにしてあげる』

そこにいるのは、少女の幸せを願う壊れた扉。

どんな時だって二人は一緒だった。

扉は、ずっと少女を見ていた。

扉の世界は、少女だけだった。


『僕が、壊れた扉になったのは、悪い魔法使いに、呪いをかけられたから』

幼い王子さまだった扉は、呪いでその姿を変えられ、扉として生きていた。

少女に作られた牢に取り付けられ、少女が来た頃に、元あった扉から、壊れた扉に替えられた。

『僕は、その子を見た時に、一瞬で恋に落ちた。でも、ことは簡単じゃなかった』

唯一彼にわかっていたのは、彼女が外に出たいと思った時、自分がその呪いを解かれるということ。

しかし、彼女に自分の言葉を伝えることもできない。

できるのは、優しく少女を見守ることだけだった。

『だから、僕はずっと君のそばにいることにした。何があっても』

たまに大人がやってきて、少女に、足枷をつけたり、服を着替えさせたり、牢を掃除していく様子が見られたが、壊れた扉は、おとなしくしていた。

あくまでも業務を義務的にこなす人々。

どこかうんざりする光景。

しかし、そこに少女がいるなら、壊れた扉には、それだけで幸せだった。

自分にできるのは、少女のそばにいることだけだったから。


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