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半死半生の騎士と全知全能のカミ  作者: 深瀬はる
第一章 閃光のように
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閃光のように

―天地を従えし皇帝の神槍―

―生死を定めし帝王の大剣―


 パックの詠唱に対し、黒いマントの男は同種呪文で応じた。粋が通じる相手ということだ。かつての友のように。


―罪ありし者に虚空の断罪を、死すべき者に永遠の安息を―

―生ありし者に復讐の憎悪を、消えゆく者に介錯の慈悲を―


 呪文詠唱というのは隙だらけ。しかし、詠唱中に相手を殴るという無粋な行為を、パックも黒いマントの男も選択しなかった。ただひたすらに自己の魔力を高めていく。


―大気を分かち、命を散らせ―

―苦痛を満たし、闇夜を燃やせ―


 両者の呪文詠唱が完了したのは全くの同時だった。


雷の槍インペトゥス・フルミーニス

悪霊の焔インケンディウム・オブスクーリー


 パックが放った二股の雷槍を、豪火の大蛇が喰らいつくように迎え撃つ。凄まじい白光が、まるで夜の森の中に太陽が生成されたかのように炸裂した。


不死鳥の舞フェニキス・アラス・インケンデンス

 黒いマントの男の詠唱に応じ、炎灼の大蛇が姿を変える。虹色に輝く豊かな翼と長い尾羽。

 飛翔する不死鳥が翼を薙ぐ。放たれた幾千もの不死鳥の羽根が、炎の弾幕となってパックに襲い掛かった。


千雷槍雨キーリアデス・ケラウノース

 パックは雷の槍を掲げた。天に向かって光の柱が立ち昇る。

 次の瞬間、空を覆う厚い黒雲から幾千もの稲妻が地表に降り注いだ。雷の槍インペトゥス・フルミーニスが広域殲滅呪文と化した姿である。


 しかし、戦いの中にあって、パックの意識は他に向けられていた。

 ジョージ・パーキンソン。

 我が弟子にして、親友の遺児。

 

 これは俺の戦いであり、最期の戦いとなるだろう。

 だからお前に託す。この先はお前の戦いとなる。お前に見せたいものがたくさんあるんだ。


 地上最強の男パック・オルタナは、万感を胸に抱き、閃光のように剣を迸らせた。

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