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ペンデュラム

作者: 高海 健一

 合格するより、通う方が難しい。

 それが、俺が通う舞花高校に対する世間の評価だ。それなりの進学校であるはずなのに、こんなことを言われてしまう原因はただ一つ。舞花高校が高台にあるためだ。俺たち生徒は、毎朝アルピニストに変身する羽目になる。乗ったままでは攻略できないため、自転車通学の奴らもこの坂は当然歩きだ。季節はもう秋だが、まだ汗が出たりする。自動車通勤の先生さまが羨ましいぜ。まあ、ウチの担任女史(三十路まであとわずか)は体脂肪燃焼を目論み、毎日歩いてるけどな。うん、頑張ってください。

「あー、しんど」

 ふう。思わず呟いてしまう。爺臭いと言うなかれ、本当にキツイ坂なのだ。それゆえ、視線はたいてい下向きになる。上を向くとうんざりして家に帰りたくなるのが主な理由だ。

「!?」

 けれど、俺は珍しく視線を上げた。別に登校拒否の意思を自発的に発生させようとしたのではない。

 絶対的に嫌な予感がした。ただ、それだけだ。

 なんだ? 俺は不安の正体を探し、視線を車道に向けた。俺は進行方向に向かって右側の歩道を歩いていたので、近い方の車道は当然下りだ。

 そうして目に留まったのは、二台のスクーターだった。両者とも信号待ちで停止している車両の脇を下っている。片方は歩道側、もう片方は道路の中央側にいた。ほぼ並走しているが、少しだけ中央の方が速い。

 そして、俺のいる歩道の右前方に脇道があった。

 やばいと感じた俺は足を止める。ほぼ同時に中央側のスクーターが左にカーブを描き、一時停止している白いベンツの前を横切る。目的はその脇道に入ること。そう確信できた。

 ……問題はそれが実現しないことだ。

 危ない! ブレーキ! そんなセリフを言う暇を俺に与えることなく、二台のスクーターは衝突する。もう少し具体的に言えば、中央側のスクーターの横っ腹にもう一台のタイヤがめり込んでいた。

 事態はもちろんそこで止まらない。衝突したスクーター達は運転手をその場に捨て置き、合体したまま俺に向かって突っ込んでくる。脇道があるため、ガードレールの類がちょうどない。

 最悪だ。

 バックステップしやがれ、この野郎と俺は自分の足を睨み付けた。足はその命令を辛うじて実行し出す。

「さけぇ――」

 酒? 鮭? その時、背後で声がした。ええい、誰だ? この忙しいときに。俺はリレーのバトンを受け取るかのように右手を後ろに差し向ける。こっち来んな。ストップ。通せんぼだ。

 すると、右手にプニンとした感触が伝わってくる。

 はて? これは?

 一瞬悩みかけたが、ガシャンと言う音がすぐに俺の意識を現実に向けさせる。

 いつの間にか二台のスクーターを原材料とするスクラップが完成していた。製造元はブロック塀だ。一方、俺はきちんと歩道に立っている。痛むところもない。どうやら危機は回避できたようだ。た、助かったぜ。ちっとばかし心臓がバクバク鳴ってるけどな。

 さてと。俺はスクーターの運転手二人を見た。癪だが、ひどい怪我をしてるなら救急車を呼んでやらねばならない。まったくもってめんどくさいが人間としての義務だ。そう思って観察しようとした途端、ベンツの運ちゃんが飛び出てきた。

「あほんだらぁ、危ねえだろが」

 運ちゃんはかなりお冠だった。まあ、当然だな。その風体はかなりヤバげで、八九三の人かもしれない。怒鳴り声にびっくりしたのか、スクーターの二人がよろよろとしながらも起き上がってくる。地面に血が見えないのが、せめてもの救いか。

「頭、打っとるかもしれんやろ。立つな。座っとれ。それと、そこのあんちゃんも大丈夫か?」

 いきなり話を振られた。は、はい、もちろん大丈夫ですとも。俺は慌てて首を上下に振った。

「さよか。よかったな」

 運ちゃんはニカッと笑う。……見かけと対照的に優しい人のようです。ともかく俺はこれでお役御免だな。

「で、このビミョーに柔らかいものは一体何ぞ?」

 安堵とともに先程の悩みが再発する。右手にはまだプニンとしたものが当たったままだ。ただ先程より少し熱くなってるような気がする……。俺がその正体を確かめるべく後ろを向くと、

「微妙言うなぁ!」

 顔を真っ赤にしたクラスメート(女子)がカバンを振り上げていました。


「トショは乱暴者ですな。いきなり凶器攻撃とは」

 俺はクラスメートかつ図書委員の女の子と学校まで同伴することになった。

「うるさいうるさいうるさい。女の子の胸に触れた天罰よ」

「……あれがダブルAの実力か。ふっ、見切ってしまえばどうというものでもないな」

「松本君。頸動脈にシャーペン刺してあげよう。賽の河原に逝かせてあげる」

「はい、ごめんなさい。すいませんでした」

 殺気のこもった笑顔に俺は素直に謝りました。首筋が冷たくてチクチクしてます。普段は「おっとっと。はい、ごめんなさいね」ってな感じに本を運んでいる図書さんですが、今は凄絶な雰囲気を漂わす獣(兎)に変わっている。

「よろしい」

 図書さんは、やっとシャーペンをしまってくれました。銀色の輝きは、ひどく実用的で十代の女の子が持つものとは思えない。

「なんでそんなものがとっさに出てくるかね」

「電車に乗る女子高生の必需品だよ」

「……あぁ。チカン対策?」

「そーゆうこと。頸動脈を狙ったのは、松本君が初めてだけど。光栄に思いなさい」

 俺はチカン未満か。まあ、全行程歩きの俺にはわからんが、電車通学は大変ということだろう。

「ところでさ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど。いい?」

「おう、彼女なら随時募集中だぞ。まずはお友達からだが」

「脳みそのどこをどうすれば、そんな妄想がでてくるの?」

 図書さんは唖然としているが、もちろんスルーだ。

「いや、とっさのアクシデントも上手く避け、なおかつクラスメートも危機から救ってしまうその雄姿に惚れてしまったのかと」

「……可哀想な人」

 ポツリと呟かれてしまった。

「だいたい、私の立っていた場所は初めから安全圏だったの。危なかったのは、松本君だけ。……もう少しで頸椎損傷だった」

「ケーツイソンショーとは、ずいぶんと具体的……」

「だって、……ううん。ねえ、松本君」

「うん?」

 なにやら一人問答した後、図書さんが真剣な眼差しをこちらに向けてきたので、俺も態度を改める。

「事故が起こること、松本君は事前にわかってたの? スクーターがぶつかる前にもう立ち止まってたよね」

 俺はちょっと考えてから、口を開く。

「強いて言えば、カンだ。ほらよくあるだろ。バスケとかで今シュートしたら、絶対に入るってわかったり。野球の生中継でピッチャーが投げる前に次の球はホームランになるぞってわかったりとか」

 図書さんは俺の返事に目を大きくした。うん? 変なこと言ったか、俺?

「じゃあ、さっきの事故も予知してたんだ」

「ああ、……って予知!?」

 大げさな単語に俺の方がびっくりしてしまう。

「そう、予知。松本君、普通は野球中継見ててもわかんないと思うよ、次の球が絶対ホームランになるなんて」

「経験の積み重ねってやつだろ」

「……バスケはそうかもしれないけど。でも、松本君は帰宅部でしょ。ねえ、他にも予知したことあるんじゃない?」

 尋問されてるみたいだ。そう思いながら、俺は過去の事例を検索する。

「えーと、数字選択式の宝くじで最初の数字がわかったりもしたが」

 残りの数字はまったく当たってなかったがな。これのどこが予知なのだ。

「ふーん。そっか、松本君はそうなんだ」

 しかし、図書さんは一人勝手に納得していた。相手の考えていることがわからず、俺は落ち着かない気分になる。

「もういいだろ。他の話しようぜ」

 強引に話を変える。

「……うん、そうだね」図書さんはウゥーンと背伸びをし、ニッと笑った。「じゃ、もっと深遠な話をしよう。覚悟してね」

 おいおい何だよ。俺は身構える。

「松本君。私の名前を言ってみなさいな? ほれ、ほれほれ」

「そ、それは」

 絶句した。確かに覚悟がいる話だ。俺は罵詈雑言を数分間浴び続けた後、ようやく図書さんの本名を入手した。

 雪村早樹。それが、図書さんの正体だった。


 ある日の午後、雨粒が体育館の屋根を叩いていた。

「おらぁ」「とどめだ」「そこかっ」「見える、見えるぞ」

 体育の授業、男子はドッジボールで、女子はバスケットボールだった。

 男どもは、俺も含めてともかく敵陣にボールを投げ込んでいる。そこには油断も隙もない。注意を怠った者には、死あるのみ。厳しい戦いだ。だが、俺はまだ生き残っていた。

 今日は、見学か。壁にもたれかかり、退屈そうにしている図書さん(本名、雪村早樹)が俺の視界に入る。制服姿だ。

 その図書さんと不意に目が合った次の瞬間、強烈な衝撃を俺は感じていた。

 隙を見せた俺は戦死したのだ。子細を述べれば、顔面にボールがもろに当たって鼻血が出ていた。周りの野郎どもは盛大に笑っている。まあ、俺も苦笑いを浮かべているが、同情はどこに行ったのだ。

 俺は戦線離脱し、一人保健室に向かおうとする。床に血がボタボタボタと落ちた。な、情けねえ。俺は大いにへこんだ。

「はい。これ、使って。軽く鼻の入り口に当てて」

 図書さんがいつの間にか横にいた。俺の手にポケットティッシュを押しつけてくる。

「雪村さん、付き添い頼むわね」

 女体育教師の指令に図書さんがこくんと頷く。

「松本ー、女子と一緒だからって興奮したら余計に鼻血出るぞ」

「ぅ、うるせえよ」

 俺は野郎どもの冷やかしに怒鳴り返した。


「いないね、センセ」

「しゃーない。ベッドで横になっとくか。トショもどうだ?」

 養護教諭は不在だった。

「保健室はね、シャーペンより尖ったものがいっぱいあると思うの」

「すまん、俺が悪かった」

「そもそも鼻血が出たときには、横になってちゃダメなんだよ。もちろん、上を向くのもペケ。血が喉の方に行って気持ち悪くなるから。というわけで、ここに座って」

「おう」

 図書さんが洗面台の前に置いた椅子に俺は座った。

「じゃ、小鼻をつまんで顔を下に向ける。そのまま十分間耐えましょう」

「オウ。ソレニシテモクワシイナ」

「……常識の範疇だよ。さてと氷あるかな。冷たくすると、血管が収縮して早く止まるんだって」

 俺の鼻声を的確に図書さんは聞き取った。ついでにバカにされたようだが、今は世話になっている身であるからして我慢だ。

 程なくして、いきなり冷たいタオルが鼻に押し付けられる。

「ヒャン」

「高校男児がそんな悲鳴を上げても可愛くないし」

 へいへい。すいませんですね。しかし、タオルを鼻に当ててくれているので文句は言えない。てっきり自分で持つんだと思ってたぜ。

「ナンデ、ケンガク?」

「ちょっと風邪気味。うつしたらゴメン」

 それきり図書さんが黙り込んだので、俺も口を噤む。喋るのも息苦しくてだるいしな。

 保健室は静かで、聞こえてくるのは雨音だけだ。俺も図書さんもじっと動かないでいる。

 鼻血の停止が確認されたのは、授業終了十五分前だった。

「おー、やっと止まったぜ」

 俺は歓声を上げる。鼻で息をできるのって、素晴らしい。

「松本君。予知はできなかったの?」

 俺は少しうんざりする。

「また、その話題かよ。言っただろ、カンだって。ただの経験の積み重ね。自慢じゃないが、交通事故に三度遭遇してるんだ。予知なんかできねえよ」

 自慢じゃないが真実だ。三度も事故に遭えば、神経過敏になる。この前のスクーターを避けられたのもそのおかげだろう。

「でもっ」

「しつこいぞ、トショ。俺はドッジボールに戻る。復活戦だ」

 図書さんが何を考えているのか、やっぱり俺にはわからない。予知なんて、眉唾ものじゃないか。またもや俺は話を強引に打ち切った。


 数日後、山登りの最中、俺は図書さんの背中を見つけた。一人黙々と歩いている。さて、どうしたものかと俺は悩んだ。保健室でキツイ言い方をしてしまって以来、口をきいていない。すごく親しい間柄というわけではないが、クラスメートなのだ。ぎこちない関係は修復したかった。

「やあ、トショ。おはよう。元気か?」

 明るく自然に俺は振る舞った。少なくともそのつもりではいたのだが、

「風邪は治った」

 うわぁ、テンション低い。ひょっとして怒ってるのか?

「そうか、治ったか。よかったよかった。話は唐突に変わるが、トショの趣味は? 読書以外に何かあるのか?」

 俺はめげずにご機嫌伺いをする。相手は図書委員なのだし、読書は最初から除外しても構わないよな。

「ちがう。別に読書は趣味じゃない」

「い、意外だな。図書委員なのに」

 一発でノックアウトになりそうな見事なカウンター攻撃が返ってくる。

「それは偏見。読書は生活の一部に過ぎない」

 ……趣味とどこが違うのか、誰か教えてくれないか。

「私の趣味は、松本君をおちょくること」

「……もう好きにしてください」

 俺は白旗を揚げた。

「じゃ、好きにする。学校まで一緒に行こ」

「へいへい。お供いたしやす」

「へいは一回」

「へい、合点だ」

「……松本君って、面白いというか、感性が独特な人だね」

「うん? 俺ってば褒められた?」

「さあ、どうでしょう」

 図書さんの笑った顔は可愛かった。俺たちは平凡でありふれた話をしながら、坂を歩いた。実に普通な日常だ。疲れを感じることなく、俺は学校に到着する。

 けれど上履きに履き替えるとき、図書さんは平凡で異常な言葉をぼそっと俺に伝えた。

「トモちゃんはしばらくお休みだよ。インフルエンザで」

 トモちゃんとは、担任女史のことだ。

 事実、ホームルームに現れたのは教頭だった。俺は同じ話をもう一度聞くことになる。クラスメートのみんながざわめく中、図書さんはポーカーフェイスを保っていた。

 どうして一人だけ知ってたんだ?


「おはよう、松本君」

「お、おう」

 朝、坂の途中にて。今度は図書さんの方から俺に話しかけてきた。

「数学の宿題、全部できた?」

「ん、まあ一応は」

「では、わかりやすい解説をお願いしよう」

「英語と引き替えだ」

「むう。まあいいでしょう」

 このとき俺は平凡な日常会話をしながらも、内心非常にうずうずしていた。

 トモちゃんと図書さんが親類関係にあるなどという話は聞いたことがない。どうして、クラスのみんなが知らなかった事実を図書さんだけが知っていたのか? いくら考えてもわからなかった。それこそ予知ではないか。

 でも訊ねられるわけがなかった。トショは未来を予知できるのか、などと。だってそうだろう。図書さんが聞いてきたとき、俺は自分のカンについて、こんなものはただの経験の積み重ねだって答えてる。そんな俺に質問する権利はない。

 仕方なく俺はすでにカバンから数学のノートを取り出してる図書さんの質問に答えることに専念した。

「ありがと、教えてくれて。はい、英語のノート。写し終わったら返してね」

 下駄箱のところで、図書さんはカバンの中をごそごそとやってから、ノートを俺に渡してくれる。

「写すのは得意だからな。すぐに返してやろう」

「それ、自慢にならないよ」

「では、先に行く」

 俺は図書さんをほったらかしにして、教室にダッシュする。英語は一限目なのだ。加えて、教授しながら歩いていたのでいつもより到着が遅い。急がなければ。

「ハロハロー」「おーす」「おはよー」

 俺は自分の席に座ると、あくせくと二冊のノートを机に置いた。薄ピンクの方は図書さんのだ。紙切れがちらりと覗いている。

 宿題はそこか! ナイスだ、図書さんと俺は高速でノートを開き――、

 硬直する。

『今日の昼休み、震度3の地震。斉藤さんが苺牛乳を頭にひっかぶる被害あり』

 紙切れには短くそう記してあった。


 四時間目終了十分前、俺の心臓はバクバクと高鳴っている。

 地震は本当に起きるのか?

 俺は一人悩んでいた。紙切れの内容は誰にも教えていない。言ったところで、電波扱いされるだけだ。

 図書さんの英語ノートと紙切れの文字はよく似ていた。聞いちゃいないが、あれを書いたのは間違いなく図書さんだ。

 よし、ともかくできることをしよう。

 終了一分前、俺はようやく決心する。図書さんからの伝言が事実だと想定し、行動計画を練る。例え地震が起きなくても、俺がカロリーを余分に消費するだけの話だ。

 被害に遭うのは、斉藤さんか……。時間があとどれぐらいあるのかはわからない。俺は緊急に斉藤さんを観察しだした。

 机の上に現時点で苺牛乳はない。まあ授業中だしな。もう持ってるのか、それとも昼休みに自販機に買いに行くのか。どっちだろう。そもそもどこで何を要因として、苺牛乳をひっかぶるんだ。斉藤さんは活発な女の子で、一年ながらソフトボール部のエースだ。そんな子が震度3の地震で転けるのか?

 ……まるでわからねえ。

 歯がゆすぎる。

 ついにチャイムが鳴った。

 クラスメートたちがわらわらと動き始める。斉藤さんもその一人だ。俺は激安焼きそばパンを三本机の上に置きながら、彼女をしっかりと観察する。まるでストーカーだ。周りの野郎どもに気づかれないようにしなければ。誤解されるとややこしい。

 斉藤さんは教壇近くで級友たちと群れを作り、食事を始めた。イスを持ってくるのがめんどくさいのか、立ったままだ。手には紙パックのジュースを持っている。

 苺牛乳だ。ビンゴだが、全く嬉しくない。

 どうする? 俺は懸命に思考する。

 その一、ジュースを強奪。うん、速攻で却下だ。斉藤さんはエースだけあって、俺より膂力があるだろう。無理だ。つーか、女子から飲みかけのジュースを奪い取るという行為自体がまずい。リアルに変態扱いされそうだ。

 その二、えーと……えーと、ああ、もうなにも思いつかねえ。

 ――どうする、どうする、どうするよ?

 諦めるか。いやいやいや、それは仁義に廃るだろうって、俺は任侠者ですか。背後で波飛沫が散ってそうだぜ。

 ん?

 半ばパニックになりかけたとき、俺は原因を唐突に見つけてしまう。

 あれだ。確信する。

 机上にある一枚の光沢紙が原因だ。その机と斉藤さんとの距離はおよそ二メートルほど。紙は机からはみ出している。

 俺はさりげなく接近し、紙を机中央に置き直す。キュッキュッとした質感だが、床や机の上では良く滑りそうだ。ついでにその正体を確認する。有名なアニメキャラが描かれたパチンコ屋のチラシだった。席の主は山田。紛う方なきオタクで、パソコン部所属だったはず。……ええい、こんなものは、ちゃんとしまっときなさい。

 念のため、チラシの上にヤツの筆箱を置く。文鎮代わりだ。

 これでよし。

 俺は席に戻り、焼きそばパンを急ぎ気味に食べ始める。

 二本目に突入したときに、揺れを感じた。俺は自分でも上手く説明できない奇妙な心境になる。強いて言えば、喜怒哀楽をなくした人間がなぜか驚きを感じてしまっているような気持ちだろうか……。

 教室に残ったクラスメートたちは天井を見上げたり、イスから立ち上がって中腰になったりしている。

 斉藤さんはそんな中をトコトコトコと早足で歩き、教室のドアをガラガラと開けた。

 避難路の確保だろう。見事な判断だ。

 程なくして揺れが止むと、斉藤さんはドアを閉め、仲間の元に戻ってゆく。スタンディングオベーションで迎えられた彼女の手には原形をきちんととどめた苺牛乳のパックがあった。

 山田のチラシも机に載ったままだ。

 地震の揺れで落ちたチラシに足をのせた斉藤さんが滑って転けて、苺牛乳を頭からひっかぶるという事態は避けられたのだ。

 万々歳だ。俺は二本目の焼きそばパンを胃に収め、今度はゆっくり噛みしめながら食べようと三本目に手を伸ばすが――、

「!」

 その三本目が唐突に消え失せる。

「話があります。付いてきて」

 焼きそばパンを人質に取った図書さんが俺の背後に立っていた。

 俺と図書さんは「裏切り者ー」と叫びながら、追いすがってくる野郎どもをなんとか撒き、図書館の裏に逃げ込んだ。まったく違うっての。勝手に誤解しないでほしいもんだ。

「それで話ってなんだ?」

 「よ」で始まる話題なのはわかっていたが、一応そう訊ねてみる。

 走った直後の図書さんはまだ息が荒かったが、頑張って口を開こうとしていた。

「す、す、す、す――」

 その顔は紅潮している。

「へっ!?」

 え、え、まさかと予想と違う展開に俺はたじろぐ。人気のいない場所で「す」から始まるセリフと言えば、あ、あれなのか。つ、次はもしかして「き」なのか。もしかして図書さんは俺にそういう感情を抱いていたのか。

「――す、す、すごいね、松本君」

 俺は盛大に崩れ落ちた。ええ、俺がバカでした。

「すごいのはそっちだろう」

 脱力してどうでもよくなった俺はすべてぶちまけることにした。

「お前の方がよっぽど予知してるじゃないか。違うなんて言うなよ」

「うん。正確には予知夢だけどね」

 図書さんは俺の指摘をあっさりと受け入れ、話し始める。

「小さい頃から、私はいっつも予知夢ばかりを見てた。たぶんみんなが見てるような夢は一度も見たことがない。空を飛んだり、お姫様になったりするような夢は見たくても見られなかった。想いを描けるのは起きているときだけ。……だから、自然と本を読むのが好きになった。この前はからかってごめん」

「いや、別に大して気にしてもいないぞ。本当だ」

 ずいぶんと重たい話だ。故に俺は努めて明るい口調でそう言い返した。

「もうちょっと幼いときは、予知夢の内容を周りの人に話してた。友達はすごいって言ってくれた。大人は変な顔をしてたけど。決定的なことが起こったのは小学三年生の時。私は近所の家が燃える夢を見た。原因は放火。だから私は近所の人全員に火事のことを教えてあげた。……でも、防げなかった。逆に犯人扱いされた」

 ……まあ、当然だろう。誰もまだ知らない、起こってもない結果の原因を言っても、良くて戯れ言、悪けりゃ電波な人だ。ご近所の反応は理解できる。普通は予知なんか誰も信じない。

「しばらくして真犯人が見つかって、疑いは晴れたけど。私は引っ越すことになった。私は他人に夢のことを話すのをやめた」

「う、ん?」

 でも、俺には話したよな。

「私の夢は百発百中。現実への転換率は十割。起きている私がどんなにあがいても変わらない。それが苦しい。平凡な夢は現実が退屈になるだけだから、我慢できる。でも、酷い夢はそうじゃない」

「――」

 俺は想像してみた。例えばさっきの地震がもし震度7だったとしたら、その被害を事前に知っていても何もできることがないとしたら……。寒気がした。俺はその嫌な想像を打ち消すために頭を振る。

「でも――」図書さんの声のトーンが急に明るくなった。眩しいほどの笑顔を俺に見せてくる。「すごい人が現れたの。二台のスクーターに衝突される危機を見事に回避し、私の予知夢を破ってくれる人が現れたの」

「俺? 俺なのか?」

 俺は唖然として自分を指さした。

「そう、松本君! 私の夢では、松本君は事故で頸椎を損傷して暗い人生を送ることになってた。でも、違った。松本君が変えてくれたの! とても嬉しかった。でも、やっぱりなかなか信じられなくて私は松本君をテストにかけることにした」

「……テスト?」

「試すようなことをしてごめんなさい」

 俺の問いかけに図書さんは深々と頭を下げた。

「じゃあ、もしかして俺にトモちゃんのインフルエンザやら地震のことを教えたのは」

「そう。私の予知夢を破ってくれるところをもう一度見たかったから。そして、松本君は私の予知夢を今日また破ってくれた。斉藤さんは苺牛乳をひっかぶらなかった。松本君はすごい人なの!」

「……うーん。すまんが、まったく実感できん」

 たかだか苺牛乳ですごい人と言われても正直反応に困ってしまう。

「……それと、もう一つ言わなくちゃいけないことがあります」

 図書さんの態度が急にひどくおずおずとしたものになる。非常に気になった。

「言ってみ」

「はい、ドッジボールの時。鼻血が出ることを知っていました」

 赤色に染まった体育館の床が俺の脳裏に浮かび上がってくる。ついでに情けなさも。

「……俺はモルモットじゃないんだが」

 唐突に感情が負に反転する。ブチンと血管が切れたような気がした。俺は一人で教室に戻る。席に座るやいなや、野郎どもが色々と聞いてくるが、頬杖をついたまま無言を貫く。

「あの、これ――」

 遅れて戻ってきた図書さんが恐る恐る焼きそばパンを差し出してくる。

「いらねえ。てめえが食っとけ」

 素っ気なく言う。

「ご、ごめんなさい」

「俺、忙しいんだけど」

 頬杖をつくのにな。

「うん、邪魔してごめんね」

 たぶんクラス内での俺の評価は急降下中だろうが、それでも怒りは静まらない。

 家に戻っても、気分は悪いままだった。

 利用された、信じてたのに裏切られたという想いが腹の底に根付いてしまっている。おそらくドッジボールの件もテストの一環なのだろうが、俺をすごい人だと感じているのなら、なぜ教えてくれなかったのだ。ひょっとしたら避けられたかもしれないのに。


 怒りを持たずに、図書さんを眺められるようになったのは数日後のことだ。けれど、話をするまでの関係には戻らなかった。目が合うと、居心地が悪かった。

 ……俺は器の小さい男だ。

「雪村さんと仲直りしたのか?」

 クラスメートたちの質問に俺は答えられなかった。そもそも俺と図書さんがどういう関係であるのか、俺にはわからなかったのだ。


 そんな居心地の悪い日々を崩壊させたのは、朝早くにかかってきた一本の電話だった。

「まだ六時前だぞ」

 俺は布団から腕だけを出し、枕元のスマホを手に取る。

「誰だ、これ」登録していない、見知らぬ番号だった。まったく貴重な睡眠時間を奪うのはどこのどいつだ。間違い電話だったら、怒るぞ。

「もしもし」

『あの、松本君ですか。その、図書委員の雪村です』

 眠気が一気に消し飛んだ。俺は会話ができたことに安堵しながらも、苦笑する。変な自己紹介だな、まったく。図書さんがどうして俺の番号を知っているのかは容易に想像がつく。俺のクラスには野次馬根性を持ったヤツがたくさんいるのだ。

「どうかしたのか? トショ」

『……ドッジボールのこと、黙ってて本当にごめんなさい。ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんな――』

「いいよ、謝らなくて。俺も小物過ぎる態度だった。反省してる」

 俺は図書さんの謝罪の言葉を途中で遮った。止めなければずっと言い続けそうだ。それに、

「それより嫌な怖い夢を見たんじゃないのか?」

 単刀直入に尋ねる。

『う、うん』

 やっぱりそうか。謝罪のためだけに朝っぱらから電話してはこないだろう。

「話してみろよ」

『い、いいの?』

「ああ」

 そうして電話を終えた俺は慌てて制服に着替え始めた。

 とんでもないことが起きるようだった。小さなプライドなんてクソ喰らえだ。


 午前七時発の電車に俺は飛び乗った。初めての電車通学。かなり混雑し始めている車内だが、舞花高校の生徒は俺一人だけだろう。なにせ学校から遠ざかる路線なのだから。十五分ほどで目的の駅に着く。

 俺は電車から降りると、すぐに自分の居場所をスマホで伝えた。

「松本君」

 息せき切って現れたのは、もちろん図書さんだ。目元が真っ赤だった。

 俺は周りの人に聞こえないように彼女の耳元で囁く。

「本当に電車と車が踏切でぶつかる夢を見たんだな」

 こくりと図書さんが頷く。

『脱輪した車に乗ってた赤ちゃんとお母さんが死ぬの。電車のお客さんも怪我をするの』

 朝方の告白が脳内でリプレイされる。現実に起きれば、最悪の事態だ。

 俺に図書さんの予知夢の結果を変えてしまうような力が本当にあるのか。真偽の程は未だに定かではないが、だからといって、じっとしてもいられなかった。

「事故が起きる踏切がどこかはわからないのか?」

「ごめん、わかんない」

「そうか」

 事故現場になるであろう踏切に行き、車が脱輪しないような手立てを講じる。電車に揺られながら、思いついた案はこれでボツになった。

 よし。電車の運転手に衝突事故が起きるぞって伝えて……も無駄だな。電波な発言は誰も信じない。それは、過去の図書さんが通ってきた道だ。

 焦燥感ばかりが大きくなってゆく。

 考えろ。考えろ。俺は自分に言い聞かす。アイデアだ。アイデアが欲しい。

「その電車はいつこの駅を出るんだ?」

「私がいつも乗る電車の一つ前だから、七時二十五分。次に来る電車」

「もう数分しかないじゃないか……」

 これでは件の踏切が仮にわかったとしても、そこにたどり着く暇はない。最初の案はそもそも不可能だ。たぶん俺はひどく焦っている。まともに脳が動いていない。

 探せ、探せ、探せ。

 見つけろ、見つけろ、見つけろ。

 視線を四方八方に飛ばしまくるが、時間を浪費するだけに終わる。

 うん? 時間を浪費?

「……そうか」

 俺は小さく叫んでいた。

 一気に原因にたどり着く。

「松本君?」

「見つけた。あとで説明する。時間がない」

 図書さんにそう言い残し、俺はホームの先頭を目指し、人混みを縫い始めた。

「間もなく二番乗り場に、七時二十五分発――」

 アナウンスが聞こえてくる。

 急げ、急げ、急げ。

 そして、俺はゆらゆらと歩く一人の男を背後から羽交い締めにした。間に合った。

 男は二十代前半ぐらいか。こちらまで吐き気を催してしまいそうなぐらい酒臭い。話す言葉は支離滅裂でまったく理解できない。むりやりベンチまで引っ張ってゆき、座らせるとすぐに横になり眠り始めた。

 俺はやるせなく情けない気分になり、仕方なくため息をついた。

 原因は、この男だ。ホームから落ち、電車の出発が遅れ、そのために踏切事故が起きる。

 背後でドアの閉まる音が聞こえた。

 結末は見られないが、これで事は上手く運ぶだろう。

 俺は振り返り、去りゆく電車を見送ろうとし――、

 愕然とした。

 どうして乗っている!?

 車内に図書さんの姿があった。


 俺は学校への坂道をいつもの三分の一のタイムで登り切った。

 電車は遅れなかった。だから、無事であることはわかってる。それでも自分の目で見なければ安心できなかった。

 校舎に入っても俺は全力疾走だった。今なら全陸上部員に勝てる気がする。

 廊下を歩く図書さんが、こちらの荒い息に気づいたのか振り返った。びっくりした顔をしている。俺は安堵と疲労ですぐに倒れ込みたかったが、辛うじて堪える。まだやることがあった。

「馬鹿トショ。ちょっと来い」

 俺は図書さんの手首を掴み、屋上へと続く階段の踊り場まで連行した。ここなら邪魔は入らない。

「すごい汗」

 図書さんが俺の額をハンカチで拭ってくれる。俺はそのハンカチの下から彼女を睨み付けるような表情のまま質問をした。

「なんで、あの電車に乗ったんだよ? ひょっとしたら怪我してたかもしれないんだぞ」

「だって、動かずにはいられなかった。……できることは何も見つけられなかったけど」

 情けないことだねと、図書さんは悲しそうに舌を出す。

 ……そうか。

 俺はスクーターに襲われたときのことを思い出し、唐突に図書さんの本質を理解する。あの時、聞こえた「さけぇ」という声は図書さんのもの。助けには全くならなかったが、あの叫び声は図書さんの努力の結晶。図書さん、いや雪村早樹は己の無力さを痛烈に理解していながらも、決して諦めてはいない。たった一人で絶望に立ち向かっていた。

 なら、俺は――、

「雪村!」

「はっ、はい」

 我知らず、図書さんの両肩をつかんでいた。

 図書さんはまじまじと俺を見つめている。やばいっ、疲労やら何やらがたまりすぎて心臓が破裂しそうだ。とっとと用件を済ませて倒れてしまおう。

「酷い夢を見たら、俺にすぐ教えろ。馬車馬のごとく駆けつけてやる。独りっきりで抱え込むのはもうやめろ。俺も一緒にあがいてやるから」

 言い切った途端、視界が歪み始める。

「松本君!?」図書さんが俺を倒れさせまいと踏ん張っていた。

「だ、大丈夫、心配すんなって」そう言いながらも、俺の瞼は下がり続ける。あかん、もう限界です。

「うん、うん、ありがとうね」

 図書さんは涙声だった。泣くなっての。


 次の日曜日、俺は早速、図書さんに呼び出されていた。

「顔見知りのお婆さんが飼ってるダックスフントが土佐犬に襲われる夢を見たの」だそうだ。

 やれやれだ。俺は解決方法の入ったビニール袋を手にし、駅前で図書さんを待つ。

 なかなか来ないな、緊急なのだから待ち合わせの五分前には来てるものだろうなどと思っていると、いきなり見知らぬ妙齢のお嬢様に袖を引っ張られた。よくよく観察すれば、私服の図書さんだ。

 すでに解決方法を見つけていることを教えるとほっとした顔を見せる。

 図書さんの住み処は、三方を川に囲まれた小さな町にあった。古い町並みが多く残っていて、その中に建売住宅が点在している所だ。

 とりあえずそうした建売住宅の一つである図書さんの家に行き、飼い犬の雄太(柴犬、性別はなぜかメスだった)を紹介され、俺は絶句した。雄太は、俺の名前でもあるのだ。

「雄太を飼い始めた頃、弟が欲しかったんだよねえ、私」

 俺は複雑な気分になった。

 図書さんの両親は留守らしく――挨拶をせずにすんでちょっとほっとした――、そのまま二人と一頭で散歩を始める。

 散歩道は土手沿いにあり、時刻は午前十一時過ぎだ。

「この時間によく犬を連れて、散歩してるの。そのお婆さん」

 やがて、そのお婆さんと遭遇する。

「こんにちは、お婆ちゃん。ほら、雄太も挨拶しなさい」

 図書さんがそう言うと、柴犬の雄太がわおんとひと声鳴いた。俺も頭を軽く下げる。ダックスフントもわんわんと吠える。

 ……何の羞恥プレイですか、これは。

「あらあら。こんにちは、お嬢さん。今日は彼氏さんと一緒なの?」

 おいおいおい。

 えへへー、と図書さんは笑った後、言葉を紡いだ。

 ん? 今、何言った?

 周囲を警戒していた俺は図書さんの言葉を聞き逃していた。

 会話に耳をそばだてようとしたが、そのチャンスはなかった。

 いきなりだ。出やがった。土佐犬というものはかなりでかい生き物だった。突進してくるその姿は迫力に満ちている。勘弁してくれ。

「トショ!」

 俺が叫ぶと、図書さんは頷き、雄太(柴犬の方だ)と共にお婆さんの前に立った。簡単に言えば、盾だ。

 俺は更にその前に立ち、ビニール袋に手を突っ込んで、中のものを掴む。それを土佐犬に向かって投げつけた。

 土佐犬はそれに気づくや急停止した。

 よし、成功だ。

 土佐犬はステーキ用オージー・ビーフに夢中になり始めた。お値段は、一パック二枚入りで七百八十円。くそっ、この贅沢ものめ。

 やがて、土佐犬は飼い主に確保され、お婆さんも頭を下げながら去っていった。

 これで解決だ。

 しかし、俺はため息をついた。

「どうかしたの?」

「俺の財布が非常に財政難です。恨めしや、オージー・ビーフ」

「うぅ、ごめん」

「ステーキ、俺も食べたかった」

「……じゃ、じゃあ、駅前でオージー・ビーフのハンバーガーをおごってあげよう。それで手を打たない?」

「よし、いいだろう」俺は即座に復活した。「四個は余裕で食えるぞ、食欲の秋だし」

「却下、三個までです。そのかわりウィンドウショッピングにつきあってあげる」

 散歩用ロープを後ろ手に持った図書さんがにっこりと笑う。

「……それはトショがしたいことでは?」

「てへ、ばれちゃった。でも、好きなようにしていいんでしょ」

 ……覚えていやがったですか。

「へいへい。お供いたしやす」

「へいは一回」

「へい、合点だ」

「うん、よろしい。……どこまでもいつまでもだよ」

「が、合点です」

 火照った頬に当たる秋風が気持ちよかった。


   了


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