射手座のタリウス
「今日は本当にありがとう、琴羽」
梨を皆で食べ終えた後、タリウスさん以外の皆は帰っていった。
タリウスさんは、改めて私に感謝の言葉を言う。
「はい!楽しかったですね。タリウスさんはどうでした?」
「楽しかった」
「良かったです!」
タリウスさんの顔は、いつも見る険しい表情とは違い、嬉しそうに笑っていた。
「タリウスさん、いつも険しい表情しているので、笑っている顔は新鮮ですね」
「そうだろうか?」
「はい、レオさんもそうですけど、険しい表情してますよ?でも今日は、レオさんもタリウスさんも笑ってました」
「…楽しかった、からな」
「私、12宮の皆さんに、もっと色んな行事を教えたいです。だから、これからの1年間楽しみにしていて下さいね。皆さんにも伝えといて下さい」
「了解した。でも、本当に良いのか?迷惑にならないか?」
「なりませんよ!私も、行事をあまり知らないので。今日は勉強になりましたよ、お月見の事も、レオさんのあんな表情も」
「ふはっ、そうだな。これから、楽しみにしているな」
「はい!」
話を終えたタリウスさんは満足したような顔で帰っていった。
「…あ、ばあちゃん?ありがとう、ばあちゃんのお陰でお月見楽しめたよ」
『そぉか~、よかったなぁ、彼氏さん喜んだか?』
お月見の事を教えてくれたばあちゃんに電話をすると、変な勘違いをされた。
「いや、ばあちゃん!彼氏じゃないから!」
『なんだぁ~、違うのけ?じゃあ、誰だ?』
何と言えば良いのだろうか。う~ん。
「えっと、お友達だよ!仕事仲間!」
『そぉか~、まぁ、楽しめたんならばあちゃんも嬉しい。今度いつ帰ってくんだ?』
この間電話した時と同じ質問された。どんだけ帰って来て欲しいのか、それだけ私の事が心配なのが分かる。
「とりあえず、ありがとうって事だけ伝えたかったから。いつ帰るかはまた今度ね?おやすみ」
『アッハッハッ!はぁ~い、わかったぁ、おやすみぃ、あっはっは』
ばあちゃんの笑い声を最後に電話が切れる。
黄道12宮の皆がいなくなるまでの1年間を存分に楽しもう。そう思えた1日だった。