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雪といったら



「さっむ!」

 部屋で寛いでいると、アクアとアリエルとリブラさんが腕を擦りながら来たと思ったら、私が入っていた炬燵(こたつ)に勢いよく入ってきた。お陰で一瞬足に冷たい空気が当たった。

「外の白いのって雪?」

 炬燵(こたつ)に入ってゴソゴソしながらアクアが聞いてきた。

「うん、そうだよ」

 何飲みたい? と聞きながら炬燵(こたつ)を出る。

「コーヒー」

「暖かいのをお願いします!」

「俺も暖かいのー!」

 寒いと暖かいのを飲みたくなるのは皆同じみたいだ。


「…あ! 皆呼んでこよーぜ!」

 コーヒーを飲みながら外を眺めてたアクア。突然変な提案をしてきたアクアに私達はアクアの顔を凝視した。私の膝にいたワタも顔をアクアに向けている。

「雪だるま作りたい!」

 アクアの提案に未だにハテナマークを浮かべているアリエルとリブラに対して、私は納得した。

 アクアによると、タリウスさんから雪の事や雪遊びの事を聞いたらしい。雪を見て思い出したのだろう。


 アクアが皆を呼びに戻っている間にアリエルとリブラさんに説明する。

「雪を集めたり、固めたりして大きな丸を2つ作るの。その2つを上下に並べて目とか口とか手とかを着けて出来るのが雪だるまだよ」

「…雪だるま」

「雪だるま…」

 説明を聞いたアリエルとリブラさんが小さく呟く。

「雪だるまー!」

 と思ったら、アクアが皆を連れて戻ってきた。突然の事にワタがビックリしてる。


「フッ、雪だるまをやるのか、楽しそうだな」

「雪だるまなんて、また楽しそうな事を思い付いたわね」

「雪だるま?って何」

「なんだか知らないけど美味しいものなら嬉しい!」

「雪だるま、雪を使った遊び。雪を集めて大きく丸めた2つを上下に置き、顔となる上の雪に目、鼻、口を着け、胴体となる下の雪に腕と見立てた木の棒を刺す」

「面白そう!」

「食べ物じゃないみたいだねカンケル」

「外寒いわよ?」

「手が冷たくなるよー」

 来てすぐに、思い思いを述べる皆。タリウスさんのお陰で雪だるまを知ったカンケルは、食べ物じゃない事に少し眉が下がっている。

 バルゴとリコルさんの意見で手袋やマフラーを買ってくる事に決まった。


 私の上着を持ってるだけ皆に渡すと、それを着て外に出る。すると、辺り一面が雪で白くなっている。

「雪だるまつくーろー……」

「つくーろー!」

 あるアニメの挿入歌を歌おうとしたら、アクアが割り込んできた。どうやら楽しみのようだ。

 庭に行くと、足跡一つもない雪景色が目一杯に広がる。

「わー!すごーい!」

「やーっ!イエーイ!」

 カンケルとアクアがその中に突っ込んで行く。

「わぁー、幻想的って言うのかしら。きれーい」

「…わっ、凄い、冷たいけど面白い」

 まだ雪が降っている為、傘を指さない私達の頭には雪が少し乗っかっている。


「雪が冷たいのは知っているが、こんなに綺麗だとは知らなかったな」

「んふふ、そうね、ホント綺麗」

「まぁ、ピスキスの方が綺麗だけどな」

 聞こえてしまった。ピスキスは聞こえなかったみたいだけど、私は聞こえてしまった。


「タリウス! どうやって雪を丸めるの?」

 タリウスさんを呼んだアクアとカンケルとゲミニは、もう一度雪だるまの説明を聞く。タリウスさんが説明をしながら実践するのを見ながら一緒に雪を集めていく。

「アハハハ! 面白ーい!」

「カンケル! カンケルが上の雪を作って?」

「はーい!」

 見てるだけで癒される空間だ。


「……」

「……」

 ベランダのベンチに腰掛けてカンケル達を見てるリブラさんとスコルさん。さっきから一言も喋らないで寄り添うように座っている。


「アリエルとリコルはアクア達と遊ばなくていいの?」

 カンケル達とは違う所で小さい雪だるまを作っているウルさんとバルゴとリコルさんとアリエルの3人。

「うん、今日はウル達と遊びたいから」

 アリエルの言葉に同意するように頷くリコルさん。

 さらっと言ったアリエルにウルさん達は感動したのか、固まったと思ったらアリエルを同時に抱き締めた。 その行動分かるよ。

 突然抱き締められてキョトンとしてるアリエルとリコルも可愛い。


「この感覚……だから雪は楽しい」

 私は、ただただ雪の上を歩くばかり。雪の上を歩く時の、足に感じる少しの浮遊感が面白くて楽しい。

「……琴羽は何をやってるんだ?」

 皆が私の事を見ているとは知らない私は、一心不乱に雪の上を歩く。

 雪の上を歩く時は気を付けよう! 雪が積もっていると、滑りやすいし、歩きにくいだろうからゆっくり歩きましょう。間違っても私みたいに走る事は危険行為です。

「うっ……」

「琴羽ー!!」

 ほら、私みたいに転びます。真似しないのが良い子だよ。


「……雪合戦しましょう!」

 雪の上に寝転がりながら大きい声で提案する。

「雪合戦か、良いな」

「懐かしいなぁ、ねぇレオ」

「雪合戦? って何だっけ」

「雪合戦……って何?」

「雪合戦とは、(てのひら)で作り出した雪玉を相手目掛けて投げるゲームだ。ルールは場所によって違うらしい」

「雪合戦……」

「面白そうー! 雪合戦!」

「雪合戦やるー!」

「俺もー! 皆もやろーぜー!」

「アクアがやるなら僕もやろうかな」

「私もう手が冷たいわ」

「だよね、出来ればもう中に入りたいな」

 レオさんとピスキスさんは、雪合戦を知っているらしく昔話をしている。 タリウスさんが知ってる情報を話すとゲミニ達がやりたいと言い始めた。それを聞いたバルゴとリコルさんは反対のようだ。


「バルゴ、リコルさん。やりましょうよー! 楽しいですよ? 結構動くんで体も暖かくなりますし。ね?」

 反対する二人に私が説明する。二人は少し悩んで了承の声を上げる。

「じゃあルール説明しますね。ピスキスさんがリーダーの女性陣と、レオさんがリーダーの男性陣で戦いましょう! 先に全員倒したチームの勝ち! あ、当てるのは体だけですよ? 顔はセーフです。ここが……線です! こっち側が女性陣で、そっち側が男性陣です」

 私は女性陣の方に入りますねー。と言って女性陣と男性陣が別れると、リーダー同士が前に出て会話を始める。


「フッ、例えピスキスでも容赦はしない。俺達が勝ったら1ヶ月の家事全般を要求する」

「私だってそうよ、絶対に勝つわ! そうね~、私達が勝ったら1ヶ月私達に服従して?」

「なっ…フンッ良いだろう」

 何とか賭事を成立させた二人はいがみ合う。

「俺達が勝つ!」

「私達が勝つ!」

 同時に言ったその言葉がスタート合図となった。


「あぶっな、んやっ!」

「きゃーっ」

「わぶっ」

「雪玉沢山作れ!」

「掌サイズっと」

「リブラ、もっとだ」

 男性陣の声がこちら側にまで聞こえて来る。私の投げた雪玉が見事アリエルに当たった。先に投げたリコルさんの雪玉が顔に当たった事でクラクラしていたから当てやすかった。


「カンケル! スコル! 気を付けて雪玉作ってね!」

「はーい! 掌サイズッ、掌サイズッ」

「掌サイズッ…」

「バルゴー! 同時よ!」

「せーのっ!」

「わっ?! っぶない!」

 ピスキスさんのリーダーぶりが良く、カンケルとスコルさんが一緒に雪玉を作っている。それを守るようにバルゴとウルさんが板を盾にしながら投げる。 私は、アリエルに当たったのを良いことにプロ野球並の構えを取って投げる。が、投げるよりも先にこっちに向かってくる雪玉。

「おうっ」

「琴羽ー!!」

 思いの外雪玉は重く、私の体は雪の中に半分埋まる。重い雪玉はレオさんが作ったらしく、向こう側でガッツポーズをしていた。



 猫は炬燵(こたつ)で丸くなる、といった風に炬燵カバーにくるまっていたワタ。

「にゃ~ぁ?」





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