写真
仕事帰りに写真店によって頼んでいた写真を手にする。確認として少し目を通したそれは、楽しそうな表情が沢山ある。
「ありがとうございましたー」
貰ったばかりのそれを鞄に入れて歩き出す。
「ただいまー」
「おかえりー」
家に入ると、声だけがリビングから聞こえてきた。
「あ、スコルさん」
居たのは蠍座にスコルさんだった。こたつを付けて暖かくなっている毛布を肩まで掛けていた。
「あはは、スコルさん、それじゃ隙間から風が入って寒くない?」
「肩が冷たかったから」
私の質問に答えるスコルさん。
「そっか、スコルさんの服装は肩が出てるもんね」
そういった私は、少し考えてから上着を脱ぐ。
「これ、羽織ってていいよ。さっきまで私が来てたからまだ温かいし」
そういってスコルさんの身体に後ろから掛ける。
「え、いいの?」
戸惑いながらも私の上着を手にする。
「いいよ!これから夕御飯の準備で、上着を脱ごうと思ってたし、それにスコルさんに風邪引いてほしくないからね」
そういうと私は、台所に移動して夕御飯の準備を始める。
「あ!」
夕御飯の準備を終えて、今から食べようとした時思い出した。
「スコルさん、はい、写真ね」
思い出してすぐに鞄に手を突っ込む。手探りで探してスコルさんに渡す。
「しゃしん?」
私が渡した紙袋を手にしてスコルさんが首を傾げる。
「そう写真、えっと、この間皆でハロウィンやったでしょ?その時に私が撮った写真。今日出来たから皆に見せようと思って」
カメラで写真を取るポーズをしながら説明すると、スコルさんは理解して楽しそうに写真を手にする。
「アハハ、アクアの顔が可笑しいよ!」
「んー?あはは!ホントだー!」
私は夕御飯を食べながらスコルさんと一緒に写真を見ていく。
「あ!私もこのクッキー食べた!美味しかったよ!」
「そっかぁー、良かったねー。甘かった?」
「甘かった!」
普段は大人しいスコルさんが凄く興奮しているのを見ると、本当に楽しかったんだなと思う。
「この時ね、カンケルが転びそうになったの!何とか私とリコルがカンケル支えて怪我はしなかったけど、カンケル凄くはしゃいじゃって、大変だった」
写真を見せながら当時を思い出すように私に話してくれるスコルさん。
「あ、写真持ってく?」
私が夕御飯の後片付けをしている時に、スコルさんが帰る支度をしていたので、写真の事を提案する。
「え、いいの?」
私からの急に提案に手を止めたスコルさん。
「いいよ!あ、でもアルバムに入れたいからもう一度来る時に持ってきてもらっていい?」
皆が来てから今までの写真をアルバムに入れている。それを見せながら説明すると、スコルさんは少し考えてから首を縦に振った。
「もう2ヶ月かぁ、早いなぁ」
スコルさんが帰った後、1人になったリビングでアルバムを見ていた。まだ2ヶ月と思う人もいるけど、私からしたらもう2ヶ月なんだと感じる。
2ヶ月だけで、沢山の写真を撮った気がする。これからも沢山撮っていくのを楽しみにアルバムを仕舞う。