何か可笑しい?
「ねぇ琴羽、なんだか街の様子がおかしいよ」
仕事から帰って来てすぐにバルゴさんに言われた。
「ん?何が?」
「何か、カボチャの形した人が沢山いた!しかも顔だけなの!」
バルゴさんの言ったそれは、もう少しで始まるこの街のイベントの一つの催し。10月といえばこれだろ!というイベント。2日に渡って行うそのイベントは、この街の子供が積極的になれる楽しいイベントの一つで、あと1週間後に始まる。子供達のコスプレを見たら、大騒ぎになるだろう。
「他にもね?白いお化けとか黒い鳥とか、色んな所にいたのよ!」
バルゴさんは今日も1人で歩いて来たのか、その時の事を思い出しながら私に話す。「何か大変な事が起きるのかしら?」なんて言いながら考えるポーズを取るバルゴさん。
「バルゴさん、別にそんなに難しく考えなくて大丈夫だよ。顔がカボチャの人とか白いお化けとかは、街の人の手作りだから。」
私が丁寧に説明すると、キョトンとしながら私を見てくるバルゴさん。
「…そうなの?」
「うん、バルゴさんには先に教えとくね?もう少ししたらハロウィンっていう日本の行事があるの。ハロウィンって今月の末にあるんだけど、その前の日とハロウィン当日の2日間にこの街でイベントがあるんだよ。バルゴさんが見たのはそのイベントの飾りなの。だから別に、大変な事は起きたりしないかな」
笑いながら言い終えると、バルゴさんはまたキョトンとしている。
「…良かったぁ、私、この街がなくなっちゃうのかと思っちゃったわ。私、この街が好きだからそんな事になったらどうしようと思ったわ」
バルゴさんがホッとすると同時に丁度ご飯を食べ終えた。
イベントの事を誰にも言わないように言うと、バルゴさんは素直に頷いてくれた。そんなバルゴさんは私がお風呂に入ると同時に帰って行った。
帰ってくれて良かった。