メイドはエロい事しか考えていない。
「ご主人様」
「なんだい?サニー」
「私とエロい事しましょう」
「…」
真顔の顔で僕にそう言ってきたのは、一人の眼鏡をかけたメイドだ。
ショートの茶髪の髪の毛が特徴的で、いつも挑戦的な胸元をしている。
彼女の名は、サニー=ブヘッド。
この僕、リウル=マーチのメイドだ。
僕は大した貴族でもないが、父様がメイドの一人くらいは必要だろうと、家にやってきたのがサニーだ。
そして、最初の、サニーの突然の台詞のせいで唖然としていると思うが、説明しよう。
「さぁエロい事を」
彼女、サニー=ブヘッドは、エロいのだ。
そうエロいのだ。
彼女は自分の性欲には正直なのだ。
ふとした瞬間に、僕の方へ歩み寄り、このような台詞を僕に言う。
もはやこれは、僕とサニーの間では日常茶飯事。
だから僕の答えは手慣れたもので、こうだ。
「サニー、僕はこれから仕事だ、また後でいいかい?」
「かしこまりました、ご主人様」
サニーは、無表情で僕の後ろへと下がっていた。
これから仕事と言うのは本当だ。
ちなみに言っておくが、僕とサニーはそう言った行為に及んだことは勿論ない。
まぁ…一回襲われそうになったけど…。
そう、もう一年前、つまり僕が19の頃の話だ。
あれは、僕とサニーが初めて会った日の事。
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それは、僕が屋敷で仕事をしているとき。
ちなみに僕の仕事は作家だ。
これでもそこそこ売れている小説家の一人だ。
リウル=マーチと聞けば町の人の一人は反応してくれるはずだ…たぶん。
コンコン、と扉をノックする音が聞こえた。
「リウル、いるかい?」
と、父様の声が扉の向こうから聞こえた。
「はい、父様」
そう僕が返事をすると扉が開き父様が部屋へと入る。
「仕事中にすまないね」
「いえ…それはいいんですが、そちらの方は?」
父さんの隣には一人の女性がいた。
とても暖かそうな茶色のコートを着ていた。
茶色のコートと茶色のショートの髪の毛がマッチしててとても可憐だった。
片手にキャリーバッグを持っていた。
「こちらは、今日からリウルの専属のメイドとなる、サニー=ブヘッドさんだ」
そう、これが僕とサニーとの出会いだ。
「今日からご主人様のせいでメイドとして働かせて頂きます、サニー=ブヘッドです、よろしくお願い致します」
と、無愛想に挨拶をした。
僕はその態度に少々の苦笑い。
メイドなんてこんなものなのかな…と、初めてのメイドだったからそんな事を思った。
そして、僕は机から離れ、サニーの元へ歩み寄り、右手を差し出した。
「僕の名前は、リウル=マーチ、これからよろしくね、サニー」
僕は笑顔で答えた。
サニーは少々の間を置いて、僕の手を掴み一言。
「はい、よろしくお願い致します」
そしてこの日の夜、サニーの本性を僕は知ることになるのだった。
「ん…?」
ふと、夜に目が覚めてしまった。
何か毛布の中がとてもくすぐったい。
「ッ…!なんだこれ…?」
毛布をめくると、そこには「んな!?」僕の体を舐めまくってるサニーの姿がそこにあった。
「ハァ…ハァ…」
サニーは息を荒くする。
「ちょっとー!?何やってるのサニー!?」
僕が大声を上げてもサニーはやめる様子はない。
てか…てか…気のせいか、サニー…ふ、服…着てないんじゃ…?
「すみません…ハァ…ご主人様…はむ…ハァ…我慢できなくて…」
「そんな…クッ…!舐めながら言われても…いいから!早くやめてよー!!」
この日、僕はサニーに、犯されそうになったのだ。
どうにか、僕が抵抗して何とかやめてくれたけど…まったく力が入らず、ずっと、やめてよ、と言いながら抵抗し続けたらやめてくれた。
うぅ…身体中舐められた…いや、僕の息子が舐められてないだけ増しと言うべきか…。
「すみませんご主人様…」
「謝る前に服を着てくれないかい?サニー」
「はい」
サニーは僕の部屋に散らかしてる自分のメイド服を着直す。
そして、僕はサニーに自分のベッドに座らせ、僕は机の椅子に座り、どういうつもりなのかを聞く。
「で、サニー、この状況、勿論説明してくれるよね?」
「勿論」
サニーの無表情は変わらない。
気のせいかさっき舐めてた時笑ってなかったか?
まぁ今はそれはいい。
「で、まず、僕の部屋に入り、僕のベッドに入った理由は?」
「一目惚れです」
「…はい…?」
言われた事が理解出来ない。
いや…納得するべきなのか…?
まぁ…納得は…いく…のかな?
「ちなみに、私はご主人様とエッチしたかったのです、流れでどうにかなるものだと思ったのですが、ご主人様は甘くありませんね」
「サニー、つまり話を纏めると、君は僕の事が好きで夜這いをかけようとした…って事でいいのかな?」
「はい」
「君ね…常識を知ろうよ…」
これが、僕とサニーの物語の始まりである。
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今思い出せば、あれ以来、一日一回はサニーに、エロい事をしましょう、と言ってくるようになったんだけど…。
「はぁ…」
苦笑いと溜め息が出る。
まったく、このメイドは本当にどうしようもないよな。
僕はサニーに視線を向ける。
「どうしました?ご主人様、私とエロい事したいんですか?」
「違うよ」
「そうですか…普通のプレイじゃ満足できないと、私はSMでも構いませんよ?」
「違うからね?」
「大丈夫です、ご主人様が苦痛からのエクスタシーしてても私は愉快に眺められる自信があります」
「違うってば!!!」
こんな会話が僕の日常。
「なら、ご主人様は私と何をしたいと言うのですか」
と、サニーは珍しく不機嫌そうだ。
このメイドは…我が儘なのかなんなのやら。
「ん~…そうだねぇ…じゃ!」
「?」
「僕とデートしてよ、サニー」
「ッ…!はい!」
サニーは笑顔でそう答えた。
エロい事しか考えてないメイドと僕の日常は、いつまでも続くだろう。