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ポポロと王様

作者: shichuan
掲載日:2015/06/19

むかし、むかし、

ここから

ずっと南に行ったところに、

小さい島がありました。

その島には、小さな国があり、王様が一人で住んでいました。

一人しかいないので、毎日が大忙しです。


ご飯の準備に、釣り竿ふるって

 シュルルルンルンシュルシュルン

のどが渇けば、椰子の木にのぼって

 ウンウンウンショでゴクゴクゴックン

雨漏りすれば、

 トントンカチカチトトトトトン




ある嵐の翌日、からっとお日様が出てきたので、

王様は、島を一周パレードすることにしました。


太鼓を抱えて、

 ドンドンドドーーン

トランペットを掲げて

 ピロポロホローーン

胸を反らせて、

 エッヘンヘン ノッシッシ


小鳥は喜び

 チュチュピーヒョロ

犬と猫は肩をくみ

 ワンニャンワンニャー

クジラは潮吹き

 シュッシュッポー



王様が元気よく歩いていると、

浜辺に女の子が一人、倒れているのを見つけました。

これは大変、と王様はすぐさま女の子を担いで

お城へ連れて行きます。


女の子をベッドに寝かせると、

白衣に着替え、聴診器を首からぶら下げ、注射器を片手に、

看病です。


ほどなくして、

女の子は目を覚まし、

「うーん、あれ、ここは?」

「ここは、おっほん、キーング王国。わしは、えっへん、王様である」

「王様?お医者様じゃないの?」

「むむ、違うぞ。正真正銘、王様じゃ」

と、王様はくるりと宙返りすると、王冠をかぶった王様の姿に戻りました。

「わ、本当だ。 わたしはポポロ。王様、わたしを助けてくれたんだね。ありがとう」

「なんの。ポポロ、おぬしを客人として、もてなそうではないか」


王様は、今度はくるりと左に一回転すると、

ピンクの花柄エプロンを身につけ、台所へと走っていきました。



王様は、

歌をうたいながら

右手の包丁でニンジンを切り

左手のおたまで鍋をかきまぜます。


月曜日は、お月見団子をまるまるまるめ

火曜日は、サラマンダーをこんがり串焼き

水曜日は、水炊きグツグツ終わりに雑炊

木曜日は、もくもく豚肉スモーク

金曜日は、しゃきんしゃきんのきんぴらごぼう

土曜日は、どろんどろん土鍋でカレー

日曜日は、えりまきとかげのカリカリ日干し



王様は、とても音痴でした。


夕食の準備ができると、

食事です。


王様は、おしゃべり好きでした。

ポポロは、はらぺこだったので、

相づちをうつので精いっぱい。

もぐもぐとふむふむが一緒になり

 モフモフムグムグモフムグモフムグ…


王様は、タケノコをポポロのお皿に取り分けて、

 ポポロ、これはな、

竜の牙じゃよ

東へ300キロ進んだところに、島があるんじゃが、

火山を噴火させる、悪いドラゴンが住んでいるから、

助けてくれと、言われての。

行ってみたら、確かに暴れとる。

そんで、竜に、ちいとおとなしくせんか、

というたら、歯が痛くて、がまんならんと言うじゃないか。

だから、虫歯を引っこ抜いてやったんじゃ。

竜にも、感謝されたんじゃが、

実は、間違えて、3本抜いてしまってな、

記念に持って帰ったんじゃが、

煮付けにしてみると、案外うまい。

ほら、食べてごらん。


もふもふ


王様は今度は、きんぴらのゴボウを取り皿にわけて、

 これはな、西に200海里進んだところに、

250歳になる魔女のおばあさんがおってな。

何しろ年寄りだから、腰が曲がって、曲がって、

ついには、一回転してしまったんじゃ。

道を歩くにも、くるくる前転して進むしかない。

困ってたところを、

わしが、魔法のアイロンを作ってやってな。

背中にアイロンかけたら、まっすぐになってな。

背が伸びてしまったから、今は3メートルよ

わっはっは

まあ、感謝されて、何しろ背が伸びすぎて

もう杖がつけないわけよ。

それで、お礼に杖をもらったんじゃが、

その杖がこのゴボウだったってわけじゃ。


むぐむぐ


ポポロ、

 このヒジキを食べてみろ、これはな……


ポポロ、

 このデザートのプリンはどうだ、これはな……


王様の話は、ポポロのお腹が、いっぱい、満月のように丸くなるまで、続きました。



それからというもの、


夜空を眺めては、

無数の星々のひとつひとつ、物語を。

森に出かけては、

そこに住まう、動物や虫たちの家族の話を。

川へ泳ぎに行っては、

流れてくる木の葉の、これから待ち受ける運命を。



王様とポポロは、何日も、仲良く暮らしました。


ある日のこと、

王様とポポロは、

海へ、クラゲに落書きしようと、出かけました。

王様が捕まえ、ポポロが七色に色を塗ります。

しばらくして、岩にのぼって一休みしていると、

遠くに、白い船が、見えました。

二人は、カラフルなクラゲを振り回し、

おーい、おーい、と叫びます。

その白い船は、遠すぎたのでしょう。

二人には気づかず、そのまま小さくなって消えてしまいました。

ふと、お互いの顔を見合わせます。

ポポロは、はっとして、ぽとり、涙がこぼれます。

王様は、ポポロの涙を見、はっとし、頭をなでてあげました。


次の日、

王様は部屋にこもってしまいました。

ポポロが、王様の部屋に遊びにいっても、

トンカラトンカラ

という音が聞こえるだけ。


その翌日。

王様は部屋から出てきました。

「ポポロ、ポポロ、できたぞ!」

ポポロが部屋に入ると、

高さ10メートルはあろうかという大きな帆船が、できています。

「さあ、家に帰れるぞ」


ポポロは、少し悲しい顔をして


「こんな小さな船じゃあ、嵐が来たら沈んじゃうわよ」


「むむむむ、そうか」



王様は、また、部屋にこもりました。

三日後

眼の下にクマをつけた王様は、ようやく部屋から姿をあらわし、

「さあ、家に帰ろう」


ポポロが部屋にはいるとそこには、

白く輝く翼をもった飛行機でした。


ポポロは、ぷりぷり怒った顔をして、

「こんな飛行機じゃあ、雷に打たれたら、おっこちてしまうわよ」


「むむむむ、そうか」



王様はまた部屋にこもりました。

一週間後

疲労困憊でも、眼がきらきら輝いた王様がでてきました。

「今度は自信作じゃ」


ポポロが、中にはいると、そこにあったのは、先のとんがったロケットでした。

「はっはっは、どうじゃ。火星経由で、ポポロの家にいけるぞ」


ポポロは、突然泣き出しました。

「王様のバカ。わたしがあのとき、船を見て涙がこぼれたのは、ホームシックなんかじゃないのよ。もし、あのとき、わたしあの船に乗って帰っていたら、王様が、また一人になっちゃうじゃないの。一人は寂しいよ」


王様は、紳士的にポポロをきゅっと抱きしめ、

「ポポロ、おまえは優しい子じゃな。でも、心配ない。わしに任せなさい」

そして、にっこり笑いました。


それから、

王様はまたまた部屋に引きこもりました。



庭に植えた珈琲の樹に、ポポロが水をやります。

キュウリを漬けたぬか床を、ポポロがかき混ぜます。

割れかけたお城の窓を、ポポロがステンドグラスに張り替えます。


そうして、一ヶ月


王様の部屋から、

トントコクルクルバッタンチンチン

トントコクルクルバッタンチンチン


変な音が聞こえはじめ、

どっかーーーーん

爆発したかと思うと、


真っ黒けになった王様が、部屋から出てきました。

白い歯をにやっと見せて、

「できたぞ」

と一言。

右手と左手に、ひとつずつカラフルな球根があります。


「なにこれ?」

「虹の種じゃ。お城の庭に一粒、ポポロの家に一粒植えるのじゃ。

雨の降った翌日には、そっちとこっちを結ぶ虹がシュルシュルはえてくる。そしたら、助走をつけて、駆け上がるんじゃな。てっぺんを超えたら、滑り台みたいに、しゃーっと滑っておりてくればええ。これで、雨の次の日は、わしに会いに来れるぞ。どうじゃ?」



王様はポポロをロケットに乗せ、途中、火星や土星の輪っかに寄り道しながら、

家まで送っていきました。


それからというもの、王様のお城とポポロの部屋には、てるてる坊主を逆さにつるして飾っています。


雨の翌日は、ポポロが王様のところに会いに行き、それからいろいろなものを作り、いろいろな場所へ冒険に行くのですが、それはまた、別の機会に。


おしまい


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