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どうしてこうなった

「でさー黒い骨にスライムがまとわりついた火を噴く化け物にどう対処したと思う?界面活性剤かけたらあっさりと死んだのよ。スライムかっちゅーの。」

「それ最初に試したやつ天才だろ」

「あいつ気持ち悪いだけで危険度はそんなにないんだよな...あ、すいませんチャーハンと餃子を三人前ください」



中華鍋を振る音が喧騒にかき消され消えてゆく。


今俺はチャーハンを作るだけの機械になっている。


おかしい。

絶対におかしい。


俺は先遣隊が安全を確認したから投入されただけの食料班だったはずだ。

ダンジョン...正式名称多層螺旋洞窟調査のための自衛隊だったはずだ。

簡易的なプレハブでの食料の用意その他雑用担当の一員だったはずだ。


「チャーハン三つ追加で!」

「あいよー!!」


断じてこんな中華屋のおっさんみたいな返事をする立場ではなかったはずなのだ!


そうだ、それもこれも全部!全部!!

俺がまかないとして作った魔法式脱水パラパラ炒飯をうまいうまいと吹聴しまくったあいつら馬鹿三人のせいなのだ!!!


.........................



...............



......



..



「こないだのチャーハンまた作れる?」

「作れるよ」

「ありがとな!じゃ、15人分頼むわ」

「は?」

「大丈夫大丈夫、野菜とかは俺らが切るから、パラパラに炒めるのだけやってくれたらいいから」

「ならいいか」


..


......



...............



...........................


そんな感じで軽く引き受けた中にお偉いさんに出すものが含まれてたとか知らないし。

そのお偉いさんが極度のチャーハン好きで感動したから食堂のメニューに追加されるとかわかるわけないし。

しばらく食堂で提供していたら民間人のダンジョン入場が許可されてじゃあもうここ公共食堂にしちゃおっかとかいわれるのなんて予想ができるわけがないだろうが!

おまけに入ってきたやつがSNSでバズらせやがったおかげで満員御礼で満身創痍。

未来視魔法はどこですか?


とはいえだ。

たぶん俺が今世界で一番魔法を使った人類だと思う。

だからこそ断言できる。


もうすぐこの魔法への熱狂(ゴールドラッシュ)は終わる。

なにせ魔法はできることがしょぼすぎる上に地上じゃ使えない。

おまけに習得のためには観光地(カリフォルニア)と化してるここで最低でも三日、普通は一か月くらい、人によっちゃ永遠に待機せにゃならん。さらにそっから練習を重ねてようやく獲得するはくそしょぼ魔法。

ゲキ高仮設ホテルにくそしょぼ魔法の為に博打で長期間滞在するような人間なんてそんなにいないだろう。そうなりゃここはただの不便な人の手の入った広い洞窟だ。


そうなるまでの辛抱だ。特別手当も出てるしあと少し頑張るかなぁ。


「チャーハン4人前追加で!」

「あいよー!!!」


そうだ、あと少しの辛抱なのだ!!!


..


......



...............



...........................


「あ、(やいと)おつかれさま、大繁盛みたいで何よりだよ」

「もうそろ限界よ俺、みてこれ左腕だけ激マッチョだよ中華鍋振りまくってたら」

「方法公開せんの?後継育てよ?」

「その時間と余裕がないんだよ!!」


少しずつ豪華になってきた洞窟内とは思えぬ快適な居住区で同寮の同僚に愚痴る日々もかれこれ三か月目くらいだと思う。こいつらが原因だからこいつらに愚痴るくらい許してくれるだろう。

というか許せ。愚痴らせろ。


「で、ダンジョン管理は順調?」

「順調。火を噴く化け物も水吹く化け物も界面活性剤で全部何とかなるからね」

「正式名称あったっけ?俺ら骨スライムって呼んでるけど」

「種ごとはまだだけど分類としてクロボネ科って統一されたらしいよ」

「まぁ超べたべたしてる黒い骨だし名称としては適切だねぇ」

「奥に進んでいくほどそいつらの比率が増えていくんだよな、太陽の光の届かない場所で何喰って生きてんだか」

「そうだねおいしそうだね」


聞いておいてなんだがもう無理だ眠すぎる...というか最近むっちゃくちゃ眠くなるんだよなぁ。

よくわからない話がいっぱいだよそもそも界面活性剤で死ぬ化け物ってなんだよロマンが足りねぇよ。

こういうのってあれじゃないの?魔法でしか対処できないやつが来て俺が活躍するとかじゃないの?

銃とかの兵器ですらないじゃん、洗剤一つで解決してるじゃん...ぐぅ。


「あ、(やいと)寝た」

「魔法の使用ってそこそこ疲れるからねぇ、むしろ六時間くらい魔法ぶっ通しで使えるこいつが適正お化けなんだけども本人忙しすぎて気づいてないっていう」

「信じられないくらい才能の無駄使いだよなこれ」

「かといって別に他にさせるべきこともないっていう...ロマンと性能が釣り合ってないぜ魔法は」


一人先に寝始めた男をベッドにぶん投げて彼らもまた眠りについた。

この才能の無駄使いを少しもったいなく思いながら。

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