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事態を加速させるのが王道/熾烈な戦いを繰り広げるのが王道

「君もやってみな。」

「え?今のを?」

今のってかっこつけじゃなくて動作なんだ。っていうのはどうでもいいわ。ステータスってなんのことなのかっていうのが重要じゃいボケ。

「そうだよ。」

「わかったけどさ。ステータスってどういうこと?」

「見ればわかるよ。」

花のように右上から左下にかけて人差し指をふると、変な画面が急に出てきた。

「わお!びっくりしたー!え?これ、なに?」

画面には文字がいっぱい並んでいる。

「それはステータス画面。そこに自分のスキルと種族、年齢と名前が書いてある。みてみな。」

えーっとどれどれ・・・

『個体名:風凪鳳花 種族:魔人

生命力:二〇/一〇〇〇 魔力量一一〇/三〇〇 魔力属性:無属性

スキル:劣・魔力操作 天吸 ソウルコネクト』

なんか・・・わからん。ラノベ知識をフル活用しても分からん。いや、個体名とか魔力量、属性とかスキルに種族とかくくりは理解できるけどねぇ・・・

「まあ、言いたいことは分かるさ。一つずつ説明していくよ。」

「あ、はい。」

「まず、個体名は自分の名前ね。そして、種族なんだけど・・・どんな表記になってる?」

「え、そう。何か種族が魔人になってるんだけど・・・僕人間なんやが。」

「やはりか。俺も同じでさ。俺は君の片割れだからなのかと思っていたけど・・・まあ、そこら辺の考察は後にしよう。」

んー。なんか自分がのけ者状態な気がするが・・・まあ分からないことばかりだからしゃーないか。

「そしてだ。魔力量は君も上限三〇〇だろう?」

「え?そうですけどなんで?」

「そこは自分で考えてほしいなー。」

こいつ・・・いや別にいいんだけどさ。なんかうざいなぁ。まあさて置きだ。つまりこれはあれだろ。魂の片割れだからあーだこーだだろ。というか、今魔力が二〇なんだけど平気か?

「魂の片割れだから、魔力量の上限も同じだよねってことですか?」

「そうだね。まあ、魂についてはだいたい理解しているようで何よりさ。」

「てか、生命力一〇〇〇中残り二〇なんですけど・・・平気ですか?」

「あー、今ね君の魂が消えかかってるだけだからから大丈夫。死にはしないさ。まあとはいっても心臓は動いてないけどね。ハハハ。」

いや!笑い事じゃないんですけど?・・・でもなんか今時間は止まっているらしいし大丈夫なんだろう。きっとおそらくね。

「あれ?」

急に花が焦ったような顔になった。なにか問題でも起きたのかな?

「すまない。ちょっともう時を止められないかも。」

いや、なんか、尋常じゃなくフラグ回収早くない?

「え?僕今度こそ死んじゃうの?」

「いや、さっき時間が止まっているっていったけど・・・なんとか俺が止めてるだけで、魔力が底を尽きると、時が進みだしてしまうんだ。」

「はあ。てかさっきの魔力弾が原因では?」

「あっ。っすー。シークレットで。」

「はあ。」

アホなんだろうね。花って。

「とにかくね。今から現実世界に戻るけど意識を交代してほしいんだ。」

「はあ。」

「感覚で何となくでいいからお願い!」

切羽詰まったように早々としゃべっていたし、呆れかえっていたからなかなかに理解できなかったけど・・・まあ、なんか大変そうだということと、時間がないこと、そして僕と花の意識を交代することだけを意識すればいいということは分かった。

「はい。何か知らんけど頑張って。」

「よし、もどるぞ。」

そう花が言った刹那、彼の掌から青紫の魔力が花開くように放たれ、空間を引き裂きながら四方へと散っていった。揺らぎ、軋み、砕けていく空間。呑み込まれるかのように、僕の意識はゆっくりと闇の底へ沈んでいった。


見慣れた地面。見慣れた柵格子。そして、室外機の上に置いてあるサボテンたち。あたりは夜のとばりが落ちている。

なんでうつぶせなのだろう?仰向けならばよく空が見えて気持ちがいいのに。というか、ほんとになんでうつぶせ?てか、

「いっだぁぁぁぁぁぁぁあああい!」

あー!クソッ!いでぇ。胸がガチでいてぇ!息もできないし、苦しい。全身が冷てえ。

「た・・・すけ、て」

わずか数秒の痛み。しかし、その痛みは、前に複雑骨折をしたとき以上でヤバイ。その状態でもがきながら発した言葉。だれにも届かないのは分かりながらも叫んだ。

それに呼応するようにどこかからか声が響く。

『い・・き、をこうt・・いしろ!』

全身に力が入らず苦しむ僕に聞こえてきたのは声とも言えないフレーズ。焦っていている感じだけどなんて言っているのか分からない。

しかし、その声主の特定だけで全てを思い出した。花の存在を。

「は・・・・な。」

何がどうなっているかわからない。だけど、花がきっとどうにかしてくれる。そう信じる。声にならない思いを胸に、僕はゆっくり目を閉じた

ドックン

『死ぬにしてはなかなかいい感じだったか。来世はかわいい妹かつんでれ幼馴染がほしいなぁ。』

『ハハハ!どんな独り言を言っているのやら。』

ん?自分の声が聞こえる?いや、幻聴か。自分でノリ突っ込みを入れるなんて、頭おかしいんか?まあさて置きだ。目の前にきっと天国があるとおもって。レッツオープンアイ!

『はえ?なんで?』

なんと!目の前に広がっていたのは極楽浄土ではなく、ベランダでした。ガハハ。いやなんでやねん!

『今、心臓動かしたり、血流流したりで大変だから、受けごたえ出来ない!』

視点は柵格子の方で一点。そして、たまに体がぴくぴくしている。

てか、やばくね?死ぬ一歩手前じゃん。あれ?自分で自分の体を動かせない!なんだこれ?

「カヒュッ!ゲホォッ!」

乾いた音が鳴ると、体が起き上がった。若干ふらついているけど・・・大丈夫か?

『え?大丈夫な感じ?』

『うん。心臓とかほかの臓器も強制的に動かしてる感じだけどね。』

『ならよかった。』

大変そうー。頑張ってて感じ!他人ごとではないけどねー。

ピーコン

スマホの通知のような音が鳴った。そして、視界の右端のところにもいが浮かび上がった。

スキル獲得:劣・魔力感知

『あのさ、なんかスキル獲得し・・・』

視界の先、上空に像のような豚のような謎の怪獣が浮遊していた。大きいという言葉では表せられないほどの大きさ。そして、禍禍しい魔力。戦慄。この言葉が今の僕にはうってつけであった。

「なんだ、あれは。」

『え、花知らないの?』

「もちろんだ。ガフッ。」

花がしゃべると、口から血しぶきが飛んだ。倒れかけたが、なんとか踏み耐えた。

『おい!大丈夫か!』

まるでハリウッド映画のような感じに言ってしまったがきわめて真剣である。ふざけたという異論は認めん。

『いや、かなりまずい。心臓を動かすのがかなり難しい。ソウルコネクトで喋らないと苦しい。』

ソウルコネクトね。なんか意識だけで通話できる奴なのかな。知らんけど。

『しかも、殺気がこちらに向いている』

それは知らんけど今の状況はたぶん・・・

『あいつをぶっ殺すってことか?』

『そうだ。しかもあの手紙と同じ魔力を感じる。』

『え?あー!あれね。』

急に手紙って単語が出てきたからびっくりしたわ。てか、あの手紙っていったい・・・?

『あの魔力をみるに、そうとうあいつは強い。魔力が滑らかだったからな。』

そういうのもあるんだ。

『あいつが、何か仕掛ける前に、やらないとだから、まず鳳はこの体から出て。』

『え?』

出てって・・・僕の体?無理というか・・・どゆこと?

『多分できるはずだ。もうこの体との魂の結びつきがなくなっているから。』

あーたぶん。まとめると、この体は死んでるから魂だけで移動できるやろの精神か!よくわからんけど。

『感覚ですか?』

『もちろん。』

でも、殺気も感覚でできたしいけるっしょ。えーっとこの体からでるというかなんか服を脱ぐみたいに・・・

『でき、た?』

なんか三人称視点になってるけど首と足、手、全部動いた!しかも服はそのまま反映されてる!なんだこの感じ!めっちゃ楽しい!

『よし。防御は任せた。俺は魔力弾でいくから。』

『え?まって!どうすんのって防御!魔力広げるだけ?』

『そう!君ならできる!もうやるぞ?』

悪寒、禍禍しい魔力が一点に集中する。そして、咆哮。怪物から閃光が放たれる。その閃光は恐ろしいスピードでまっすぐこちらに向かってくる。僕の本能が叫ぶ。避けろと。しかし、後ろには魔力をためている満身創痍な花がいる。まだ出会って一時間も経っていない・・・けれども僕は。

『より楽しい方へ。』

左の手のひらに全て魔力を込めて、自分の動体視力と反射神経と頭脳で着弾点を割り出し、そこに合わせるように、手を振った。

ドン

鈍い音とともに激しい痛みが襲い掛かった。

「いってぇぇぇぇえええ!」

火花のように魔力と魔力がはじかれてきらめく。

腕が衝撃で折れている感触がする。脳が揺れて気持ち悪いし、くらくらしてきた。

魔力が付きそうになるまで手のひらで受けている閃光を弾き飛ばす。

命を懸けたフルスイング。ズタボロの体に鞭打って防御する。

初めての感覚。魔力と魔力がぶつかる。感じれば感じるほど、痛いけど痛くないと思える。

そして、初めての経験。夢にまで見たラノベの戦闘シーンのような戦闘。

人生でこれほどまでに強烈な刺激を感じることがるだろうか。

避けなくてよかった。友を信じる自分がいてよかった。

今、僕はさいっこうに―――

「きもちい。」

警告:魔力が底をつきます。

クソッ!耐えろ僕!魔力切れは根性でどうにか・・・!

「おらぇぇぇぇええーい!」

バンッ

全ての攻撃をいなした。たった数秒の攻撃であった。

そんな中で僕は戦闘の気持ちよさを知っしまった。

しかし、生命力が多く削られてしまい、魔力が切れてしまいそうで、いまにも彼の魂は消えてしまうところであった。

「鳳!スキルの天吸を使え!死ぬぞ!」

花が叫んでいる。そういえば天吸ってスキルもあったな。あれ?僕話してたっけ?

「りょーかい。」

使えと言ってもどんなスキルか分からないけど、まあやってみるか。せっかく気分がいいんだからな。

「天吸!」

そういうと、あちこちの家、部屋がひかりだし、魔力が浮かび出てきて、僕のもとへと運ばれていった。きっと、魔力を吸うスキルなのだろうな。知らんけど。そして、ステータス画面を表示し、今の魔力量と生命力を確認した。

生命力一〇/一〇〇〇 魔力量:三〇〇/三〇〇

すごい!魔力量が満タンだ!だけど生命力がなさすぎでしょ。全身痛いし。え、てか痛っ!

『すまないのだけど・・・もう一発耐えられる?』

「無理―!死んじゃう!」

『大丈夫だよ。鳳が倒れない限り死なないから。』

「全身痛くて気絶しそうなんだけどー!」

『その痛みが君を突き動かす!』

「暴論かよ!」

まあ、実際けっこうシビア。本当に死にそう。全身が痛い。けど、花も言ってたように、痛みで何とか持ちこたえている感がとてつもなく感じる。それにさっき味わった、あの快楽のために戦うとしますか。

非常に短絡的かつ勝手。しかし、その瞳には、信念を宿している。

「今からあいつに突っ込むわ。」

『はい?』

「直接殴って、殺す!」

ぶっちゃけそっちの方が早い。あんな防御をもう一回したら今度こそ魂が壊れるわ!

『ちょまっ!』

『信じとけって。』

そういって僕はあの怪物の方を向いた。距離はある。飛ぶしかない。よし。

「レッツ―――」

魔力を脚部に思いっきり貯める。ばねのように飛び跳ねるイメージ。集中する。魔力の波長がちょうどいい時に飛ぶように!

「ゴー!」

僕は魔力を込めた足で思いっきり柵格子を蹴り、大きく飛んだ。地上にあるマンションやビルが見る見るうちに小さくなっている。

「フー!」

さすがに高すぎて怖い。しかも、徐々に失速し始めた。ここのまま落ちるとまずいと美菜は思うであろう。が、僕はある秘策を考えていた。

なぜ、あいつは空を飛べるのか。攻撃を受けた後、魔力感知を行ったら、かすかに怪物の足から魔力が放出されてるのを確認していたのだ。そして今も同じ原理で浮いている。つまり!僕も足から魔力を放出させればいいんじゃねという考えだ。実に天才だと思わないかね!

「ハハハ、フハハハハ!傲慢な怪物よ!ゆくぞ!」

魔力を足から放出。魔力は別に気にしなくていい。あとでスキルによって吸収できるから。だから、思いっきり行くぞ!

「へいやああああーー!」

ロケットのごとく空を駆け上った。殺気の蹴りよりは速度は劣るが、怪物が攻撃を繰り出す前に攻撃ができる速さ。きたっ!これでやれる!

しかし、その刹那。結界が怪物と鳳を包む。

「なんだ・・・これ?」

怪物は敵を甘くは見ていなかった。怪物の攻撃が鳳によって防御されたとき、怪物は直感した。なぜ避けなかったのか。

それは守るものがあったから。では、なぜ守るのか。それは攻撃準備なのか回避行動不能なためなのか。前者であれば非常に不利である。そこで、本能が言う。

さしで戦えと。鳳がジャンプしたと同時に攻撃準備をやめて、結界作成にうつっていた。その結界は非常に細かい網目状で形成されており、完全に覆わない分、魔力で結界が固められて、どんなに強い魔力弾でも通れないし、人が入れないようになっている。

「ブルグルオl」

唸る、挑発という思念は言葉を介さずともわかった。

「僕のこと、なめてんのか?」

両者臨戦態勢。緊張した空気が数秒、あまりにもわずかな時間だけであった。鳳の額には無数の汗が噴き出た。初めての生死の関わる殺し合い。ゲームとは違う感覚。それに恐怖と緊張をしている。

しかし、心の奥にあるものは違った。

「ヒャッハアアアーーーーーーーーーー!」

「フグオオオオーーーーーーーーーーー!」

雄たけびをあげながら鳳と怪物がお互いにお互いを目がけて突進する。それは、狂気そのものであった。

まず、鳳は魔力で剣を作った。切れ味は皆無だが、鈍器としては重宝するバールのようなものである。一方怪物は、爪をたたて切りかかろうとしてきた。魔力を使って機動力をつけた怪物はまるで戦車のようであった。

カキーン

爪と剣の力比べでは、剣が即座に砕け散った。そして、鳳は吹き飛ばされた。しかし、なんとか魔力操作によって体制を整え、即座に剣を作り直し、怪物が繰り出す次なる攻撃も砕け、吹き飛ばされながらもいなす。

気持ちは戦闘狂であっても、戦闘の経験も知識も何もない一般人であった鳳はいなすので精いっぱいであった。しかし、攻める努力はしている。それでも、怪物は皮膚をちょっとかすめただけで無傷だった。

衝撃音が徐々に早くなっていくにつれて、鳳の魔力量と生命力が削られていく。鳳の限界が近づいていた。しかし、鳳は諦めない。一発一発が重い攻撃をいなしながら、全身に攻撃を加えていたのだ。

ザグッ

「ぶはっ!」

ついに、鳳の脇腹には大きな傷ができた。しかし、鳳ではなく怪物がよろけた。

鳳はわざと重い攻撃を着弾のタイミングを速め、怪物に一瞬の隙を作ったのだ。

「おっらぁぁあーーーーー!」

「フグ!」

怪物の頭部めがけて一突き。決死の攻撃であった。しかし、怪物は即座に反応し、防いだのだ。そう、全身に攻撃を食らっても無傷であったのにかかわらず。

「ヒヒッ!馬鹿がよお!まもっちゃたねえ。」

スキル発動:ソウルコネクト―――!!

『今だ!頭狙え!』

『ふっ、了解!』

ソウルコネクト。魂が同じもの同士はどんな状況でも魔力がある空間であれば、意志だけで通信できるスキル。だから、魔力さえ通っていれば、はるか遠くに花がいても通信できる。

鳳は探していた。無傷だったことを踏まえ、魔力弾でしか倒せないと悟った鳳は、怪物のウィークポイントがどこなのか。全身くまなく攻撃して探していた。

「「ぐっばーい。」」

ブシュッ

細く青紫の閃光が走った。それは、結界の網目を丁寧にかいくぐり、怪物の脳を貫き、血しぶきを出した。

「グブルボォ」

結界は壊れ、怪物は魔力の粒子となって消えた。

次回はちょっと長くなります。

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